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1月(2):ぶどう農家とMasia。

さてカタルーニャ地方タラゴナ県郊外にあるぶどう農家さんのところにやって来た。

農家さん宅に滞在することは難しいとのことだったので、歩いて5分のところにあるMasiaに滞在する形となった。

Masiaマシアとは:旧アラゴン王国エリア(現スペインカタルーニャ・アラゴン・バレンシア地方+南フランスの一部にまたがった王国)に多く見られる昔の田舎の農家の家・農家用の建築様式。1階は野菜の貯蔵・農作業用、家畜用のスペースで2階に農家住居スペースがある構成となっている。大抵、masiaは建物自体が大きく、田舎の広々とした敷地に独立して(他の家と連なっていないと言う意味)建っていて、現在では昔の形に少しリノーベーションを加え、住居、別荘、民宿、レストラン、ローカルツアーセンターとして使われている。

オリーブ農園社長(前回記事参照)が手配してくれたのだが、特に詳細を聞いていなかったので、まさかこんな味のある建物に泊まれるとは嬉しいサプライズ。

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上の写真の一番奥にあるのがメインの建物でこのMasiaの半分にオーナーが住んでいて、もう半分のスペースで民宿を営んでいるそうだ。

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1階部分はキッチンと大きなダイニング&リビングスペース。
ここはその昔羊や馬などの家畜用のスペースまた奥は穀物やぶどう、オリーブの貯蔵庫だったと教えてくれた。
2階は客室となっていて、私の滞在する部屋は山からの風景が一望できる大きな窓のある部屋だった。

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出勤初日。いざ歩いて5分の農家さんの畑へ。
Masiaの大きなドアを開けると、、
2頭のロバがいた。
ロバたちにジロジロ見られるので小走りで出勤。

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社長の事前情報によると
このぶどう農園にはHay un "chico" aleman tambien.とのことだったので、
 英訳: There is a German "boy" too. → 和訳:「小学生か中学生くらいのドイツ人の”少年”もいるのか。農業体験か?」と思っていたら、
髭にニット帽の冷たい視線を放つ30代後半らしき男性が出て来た。

あ、chicoって”boy(少年、ちっちゃい男の子)”じゃなくて、guy(男性、男の人、奴)って意味かい。私に、chico=boyと教えたスペイン語の先生に心の中でツッコんだ。

36歳のドイツ人”少年”はここで働いているらしい。



農家さんはMostoと呼ばれるぶどうジュース用にぶどうを育てていた。
ぶどうの収穫は9月なので私の訪問した1月にはもちろん実はなっていなく、枝の剪定の時期だった。
農家さんと"少年"と一緒に枝の剪定や、カビ・病気を予防の自然由来調剤(殺菌力の高いニンニクがたっぷり入っていて手がすんごいニンニク臭になった)をかけていく作業をした。

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この時の私のスペイン語は絶望的だったので
何とかジェスチャーで農家さんの指示する作業内容は理解できたものの、
注意ポイントや重要なことは"少年"に英語で説明してもらい作業をした。

作業のある日は、ランチを農家さん宅でご一緒させてもらえるとの事で、
野菜中心の美味しいご飯だった。

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2日間畑でお手伝いをした後、
3日目は雨が降り、休みとの事だった。
4日目、農家さんのご家族が風邪を引いたそうでお休み。作業がある日はこちらから連絡する。との事。
5日目・6日目、連絡来ず。(;_;)

普段からお忙しい中、看病しないといけない人もいたら大変なのだろう。

1週間のみの滞在予定だったので、じっとしていても時間がもったいないし、何か他のことをしてみる事にした。

この農家さんとMasiaは山の上にあり、スーパーを始め、店は1軒もない。見渡す限り山のみ。
車が無ければ到底町には出れず、唯一山を片道1時間半かけて歩いて下れば、
有名な修道院がある小さな村にたどり着けるとの事だった。

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車もないし、水筒を背負って歩いて山を降り、有名な修道院にたどり着いた。Santes Creus, サンテスクレウス修道院である。
チケットを買い、中に入ると、トンカツが大好物だと言う受付のお姉さんがAudioVisual presentationをお勧めしてくれた。
これが素晴らしかった。
修道院の当時の生活や歴史についての上映なのだが、シーンに沿っていくつかの部屋を歩いて進みながらストーリーを聞く構成になっていて、大それた物じゃないけれど、とてもよく作り込まれている。まるで自分が当時の修道院の生活を体験しているようだった。

日本語音声はないのですが、スペイン語か英語で挑戦して見てください、おすすめです。

そういえば、、、

用事があって”少年”宅へ寄った際、
キッチンに大きな5Lタンクがいくつもあって、何かと聞いてみるとSantesCreusの湧き水を汲んで来て飲んでいると言っていた。水道の水を飲むの好きじゃないし、と。

というのを思い出し、水汲みスポットへ行ってみた。

タンクを両手に抱えた近所の住民らしき人たちも汲みに来ていた。SantesCreus修道院は私が降りて来たあの山の麓にある。このSantes Creusの水=その山の湧水だそうだ。(この後、まさかこの湧き水に1年間お世話になる事になろうとはこの時は思いもしなかった。)

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特に特別な看板があるわけでもないただの水汲み場なので、「え、ここ!?」という感じだったけど、ボトリングされ、町でも販売されていてこのエリアでは有名だそう。この後出てくる例の有名なお祭りでは、チケットを買うとまさにこのSantes Creusの水がもらえます。

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という事でSantes Creusにお越しの際はボトルを持参して、湧き水をぜひ。数カ所あるのですが一番近いところは修道院から出て、3分くらい歩いたところにあります。(写真1枚目)※修道院の中にはありません。

さて、

お腹が空いたので修道院の近くのレストランに勇気を振り絞って乗り込んだ。
何かこの地方ならではのメニューある?と聞いたら、手袋とエプロンと共にこれが出て来た。

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そう、これがかの有名なCalçots(カルソッツ)である。カタルーニャ地方タラゴナエリア特有の栽培方法で育った玉ねぎの炭焼き。*長ネギに見えるが長ネギではない。

焦げた外側の部分を剥いで、中のトロトロの部分にこのソースをつけて、口を大きく開けて食え、と。

炭とソースで手と顔がベチャベチャになりながら食べた。甘くてトロトロでそれはそれは美味しかった。
横のグループから視線を感じる気がして恥ずかしかったけど。
(そもそもこのカルソッツはみんなでワイワイ食べるもので一人で食うものじゃないと後に知る。)



食後、その村を歩いているとどうもこのネギ、いや玉ねぎ推しなので何やろなと思っていたら、

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このエリアがイッテQで宮川大輔が参加したあのカルソターダ祭り(Calçotada, カルソッツを食べる集まり、祭りのこと。)の開催される地域なのだとようやく理解した。*カタルーニャ地方タラゴナ県Vallsという町。

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調べてみると何と今月末にその祭りが開催されると!
Theこの土地の食文化!そんな有名なお祭りがここから車で20分の所で開催されるなんて!この機会を逃してはもったいない!
滞在は今週末までの予定だったけど、月末までここでの滞在を2週間延ばして参加しよう!!

・・・。

でもこの時同時に、こんな考えがよぎった。
「この滞在の後は、社長が別の地方のハーブ農園に行く話をつけてくれているし、
せっかく手配してくれたのに予定変更したら迷惑だよなぁ。辞めとこ。予定通りこの後は一旦社長の住む町へ戻ろう。」

でも心の奥底では「本当はやっぱり行ってみたいなぁ。各地方の農家を回りながら食文化を学びたいなと思っているのに、、まさにそのチャンスがすぐ近くにあるのに。。」と思っていた。


や、待て。2020年のテーマは、”自分の心の声にちゃんと耳を澄まし、それに従って、、etc”と決めたではないか!

考えを改め、社長に連絡すると、もちろん、君の好きなように決めたら良いよ。ハーブ農園の友人には言っておくから。エンジョイ&cuidate(=Take care=気をつけて)!と気さくに言ってくれた。

勝手に気を揉んで諦めないでよかった。


翌日。もう少し長くここにいる事になったから、もしお手伝いをできることがあればお声掛けください!とぶどう農家さんに伝えてみたが、やはりその後お誘いはなかった。泣 (スペイン語ができなさ過ぎてダメだったのかな😱もっと勉強しよ。。)
1週間の予定だったぶどう農園でのお手伝いは2日半で終わり、お礼を告げて、いざMasia(民宿)で追加の2週間のはじまり。

もちろんカルソターダ祭りまではノープラン。車なし。最寄りの店まで片道1時間半の山道。

何も無いなしかし。スーパーもバルも店も。

山しかないやん。

・・・。

つづく


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2020年 in スペイン

大テーマ:【自分の心の声に”ちゃんと”耳を澄まし、それに従って日々生きてみる】

サブテーマ:スペイン各地方(17ある自治州, Comunidad autónoma)の有機農家を巡りながら土地土地の食文化とスペイン語を学ぶこと。今後の生き方のアイデアを集めること。

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