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スペインでお仕事探し〜振り出しに戻ったら、春が来た編〜

前回記事の通り、ひょんなことから近所の町の日本食レストランの立ち上げに関わることになった。

8月、9月、10月とオーナーから電話がかかってきては、車で1時間ほどのところにある監修シェフのレストランに集合して試作会をした。
もだえるほど美味しい料理の数々。私も何品かアイデアを持っていったり、色々意見を求められたりしてなかなか面白かった。

11月の試作会の電話がかかってきた時、
ん?試作会?と思った。
と言うのも当初11月にオープン予定だったはずだからだ。

オーナーに聞いてみると、リノベーション中の建物の工事が遅れていてね。とのこと。

11月の試食会も無事に終わり、
12月に無事に滞在許可(兼労働許可)カードをゲットでき、
気づいたら年が明けていた。ようこそ2023年٩( ᐛ )و

待てど暮せど日本食レストランはオープンしなかった。

さすがにもう約1年も無職なので貯金も底をついてきて、
冷静に考えて、労働許可も降りて働ける状態なのに、
いつオープンするかわからないレストランの仕事を
待ち続ける訳にはいかなくなってきた・・・。

そしてまた周りの友人に
「仕事を探している。どんな仕事でも良い」と言いまくった。
今度は結構色んな仕事を紹介してもらえ、「ほい、これ電話番号」と渡されたが、

・22時〜7時の夜勤 蜂蜜収穫の仕事
 「ごめん、やっぱ蜂怖いからだめだ。でもありがとう。」

・日本語音声の文字起こしの仕事
 「前に一回やったことあるけど時間かかりすぎて時給200円になったことあるから、やめとく。でもありがとう。」

・町の集会場の掃除の仕事
 別に断る理由などなかったけどなんとなく気が乗らず電話をかけないでいたら、
 相方に「そんな考えすぎず、なんでも良いからかけてみなよ」と言われ、
 渋々かけてみると
 「あ、もう見つかったの。ごめんね」とのことだった。

電話を切ったら涙が溢れてきてしまった。
せっかく見つけたワクワクする、自分が望んでいた仕事に出会えたのに、
また、選んじゃいけない仕事探しに戻って、
しかも特に希望していたわけでもない仕事にも断られた。
何やってんだか。と思った。

その後、就職サイトを見たり、州の就職支援コーナーに相談に行くも、
なんだかモヤモヤが晴れず、仕事を見つけられないまま、
気づけばアーモンドの花が咲く季節になっていた。(2月後半)

そんな時またオーナーから試作会の電話が来た。
もはやこれは、試作会という名の、
"単に日本食を作って食べたい人たちの集い"なんじゃないかとさえ思えてきた。
(性格悪っw)

もちろん行きますと言って、自分ん家の畑の野菜のラインナップをチェック。
春に合うような一品をこしらえて向かった。
監修シェフはレストラン立ち上げの進展がない中でも「畑をやっていると聞いたけど、今の季節の野菜で何か和え物できないかな?今日は野菜の皮できんぴらを作ってみたよ!見て!」なんて連絡を欠かさずくれていたので、期待に応えたかった。

1時間かけて到着すると、監修シェフは浮かない顔をしていた。
「Que tal?元気?久しぶりだね」と言うと、
「Hmm, estoy bien pero…(僕は元気だけど・・・)」と言い、
キッチンメンバーの右腕的存在&洗い場のメンバーが急遽来月末に辞めることになり困っていると教えてくれた。

私の目は輝いた。これしかない!
「シェフ!私、商社か農家でしか働いたことないし、
学生時代のバイトもいつもホール担当で、
キッチンで働いたことなんて一度もないけど、
有り余る時間とモチベーションはあるし、
オカンがさりげなく作る美味しいおかずのレシピの提供
なら、なんぼでもできます!!!

この町まで電車は繋がってないし、車も無いしで通勤が難しいので、
住むとこさえどうにかできれば
働かせてもらえませんか!
来週からでも来れます!」
と、それはそれは前のめりに言った。

シェフ「え?ほんま!?そりゃ猫の手も借りたいくらいだし、スタッフに日本人はいないから君がきてくれたら僕もたくさん学べるし最高だよ!
ん〜住むとこね。母が民宿をやってるから安くできるか聞いてみるよ」

オーナーも私にはオープン前にキッチンの研修をして欲しかったらしく、
「あ、良いんじゃない、それ。こっちの店がオープンするまでの間ここで働いてくれたらベストだよ」と。

!!!!!

キター!!!!!!!

や、ちょっと待て。
前回もキター!ってなってからのオープンしないパターンだったから、
期待しすぎてはいけない。落ち着くんだ。
本当に働かせてもらえるのかとか、民宿とはいえコストはかかるわけだし冷静に考えないと。

試作会が終わってから、心配ばかりしていたら、
監修シェフはちゃんと具体的な詳細の連絡をくれた。

あとは宿だけなんとかなれば。
シェフが話をしてくれて民宿は割引をしてもらえたものの週6で泊まるとなると、貯金ギリギリの私には痛かった。

片っ端からレストランのある町の宿、Airbnb、ルームシェア、ホステルまで調べたが、都会から離れた小さな町かつ歴史的な町ゆえ、旅行者向けプライス。。
民宿からスタートするか。

なんていう一連の話を仲の良い友人ルドウィックにした二日後、
彼が電話をかけてきた。
「見つけたよ。君の住む家。
 知り合いがその町にセカンドハウスを持っててさ、
 あんま使って無いんだって。電話してみ、ほれ電話番号」

!?!?

即電話。
「あのルドウィックの友人のxxと申しまして・・・」

「創作和食の店っていうから、まさかと思ったらうちん家のすっごい近くよそのレストラン。週末、家の案内するから、その時鍵渡すし、よかったらもう荷物持ってきてくれて良いわよ」

まさかのレストランから徒歩10秒の家に、ガス代と電気代だけで住めることになった。

ルドウィ〜ック!!!泣

何がなんやらまた友に助けられ、お仕事、ゲット!泣
脱1年間の無職期間!

あぁ、来た。私にも春が来た。
その日は3月5日だった。

ふとインスタグラムで見かけた記事によると、
今日は二十四節気でいう
啓蟄(けいちつ)の日なんだそうだ。

啓蟄(けいちつ)
寒さが緩んで春の陽気になってきたことで、土中で冬眠をしていた虫たち動き出す季節のこと。
暦生活 二十四節気のページ

虫たちと同じように、ようやく私にも動き出す時が来たみたいだ。

庭に出て静かに耳を澄ますと、
確かにいつもより少し、
自然の中にたくさんのうごめく音を感じた。

つづく。

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このnoteではスペインでのへっぽこ山奥生活を通して、
以下のようなお題について書いてみようと思います。

・Self care 自分の取扱説明書を持つことについて
・Bloom your potential 得意を活かすこと、自分の可能性の伸ばし方
・ Food and farm 私の生活を豊かにしてくれる食べ物や畑のこと
・Japan and the world 違う考え方、言語、人、食べ物を知るって楽しい。日本と海外それぞれから学ぶこと
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