悶絶するラーメン 鹿児島•萬寿園
『べらぼうにうまい店がある』
ある日そんな言葉が
友人の口から漏れた。
こんな、
鼻毛がチラッと漏れ隠れしている
ガサツな男の言う漏れなど
信用していいものかどうか。
しかし気がつけば私は
愛車【はっちゃん】を走らせていた。
（低燃費）
30分ほど走り
ほどなくして、お店に到着。
そのお店は、
昭和の香りただよう
商店街の一角にあった。
『街中中華 萬寿園の回』
意気揚々と
お店の暖簾をくぐる私。
私はお店の暖簾をくぐる際に
必ずある儀式を心の中でおこなっている。
（1人だけど、あいてる？）
そう心の中でつぶやくことに決めている。
（※あくまで個人の自由です）
そうする事で
今からこのお店にお世話になりますよ〜と、
お店におうかがいをたてる。
店主にではない。
お店自体にだ。
【やっときやがったか雷蔵〜
待ちくたびれたぞ〜】
DX超合金ばりにロボ変形した
妄想のお店ロボがそう叫ぶ妄想をしながら
私は店内に潜入。
雷蔵コモンスキル
【気配消し隠密】を使用しながら。
（いいじゃん。
いいじゃな〜い。
めちゃくちゃ雰囲気あるじゃな〜い。）
そう思いながら店内の写真を
撮り忘れる私。
お詫びにこちらの画像をどうぞ。
撮影用ビジネスカップルの画
お店に入ると
白髪でオールバックの店主が
常連さんであろうカウンターのお客さんと
楽しそうに談笑をしていた。
新聞を広げながら店主に話しかける常連。
そばにたたずむ店主。
これこれー！
昭和はこれじゃなくっちゃー！
もちろん瓶ビール飲んでるよね？常連さん！
常連さんらしき人は
瓶ビール（麒麟ラガーがベスト）は
飲んでいなかった。
すかさず店内を再び
雷蔵レアスキル【サーチアイ】で
くまなく観察する。この間、0.05秒。
このお店は 旦那様と奥様、
お二人で切り盛りされていると
お見受けする。
年季の入った、落ち着く店内。
赤を基調としているのに
こんなにホッとするものかと
不思議な感覚におちいる。
ハッと私に気づいた奥様が
『いらっしゃいませ〜』
とお声をかけてくださった。
まさか、私の気配に気づいたのか‥
奥様まさか‥私と同じスキルを‥
‥できる！できるぞ奥様！！
私は、スキルを見破られたことを隠すように
かっこいい表情とイケメンボイスで
『✨どこの席でも良いんですか✨』と
奥様にメダパニをかける。
圧倒的に乙女の目になっただろうな
すまんな、店主。いや、旦那様よ！
と謝罪しながら奥様の顔を見る私。
圧倒的に普通にほがらかな目で
奥様はニコニコしながら
『どこでもどうぞ！ﾆｺﾆｺ』
と対応してくださった。
カウンター4席？
テーブル4席？
座敷3席？
くらいだったと思う。
漠然としたミソっかすな記憶力で
お送りすることをお許し願いたい。
お許しついでにあなた、
このnoteをフォローしてもいい。
フォローしたっていいんだ。
あなたは自由なのだから！！（よろしく！）
営業時間11時からなのに対して
11:32に入店した私。
お店はまだ常連さん1人だったので
カウンターはご遠慮して
4人がけのお座敷（真ん中）に
鎮座ます私。
素敵な奥様にあらためて
『いらっしゃいませ〜』とお言葉を
かけていただきながら、
もう私のトリコなはずの奥様が
お冷とお漬物を運んできてくださった。
さすが私！！これはもう
私だけの特権かもしれないな！きっと！
もう気分は昭和全盛期！（めちゃくちゃ感激•最高）
とりあえずお冷をひとくちいただく。
甘い。お水が甘く感じる。
伝わるかどうかわからないが、
昭和の雰囲気の食堂とかのお水って
なんか甘い気がしないだろうか？
もちろん砂糖的な甘さではない。
優しい口あたりという意味での甘美な味。
もう注文前から、お店にメロメロな私。
すべてがツボなんですけどー！パナい！
さてさて、どちらをいただこうかしら。
もうお腹いっぱいな気分ですらあるが…。
こんな抜群に好みな店が存在してい…
！！
550！？
550えん！？ウソだろ！？
なんて良心価格！！！
綾波レイもじょうぜつになりかねないよ、この価格は！！
ぽかぽかする！！
ぽかぽかしかしないよ、
シンジくん！！！
私はもう、この時点で
次回来店の胃袋補完計画を立て始めた。
まだ食べてもいないのに。
常連になろう。
もう、常連になるんだこのお店の。
そんなゲンドウにもなるわな。
さて‥
迷いますな‥
全部食べたいやんかぁ！
ラーメン
みそラーメン
湯メン
豚骨ラー‥
ああ！決めらんない！
昔、松岡修造が言っていた。
メニューを見たらすぐ決断！
迷わずいけよ、いけば食べるさ！（当たり前）
心の松岡にせかされた私は
奥にいかずに私の近くでニコニコと待つ
奥様に向かって
力強くハキハキと喋る妄想をしながら
『‥あの‥この‥
みそラーメンと‥
ギョーザをください‥』
と、男らしさ満点で注文した。
あまりの男らしさに奥様は
驚いたらしく、
『ん‥みそラーメン‥？と
ギョーザ？でいいですか？
ﾆｺﾆｺ』
と、答えてくださった。
わかる、わかりますよ、奥様。
あまりの男イケメンオーラに
ビックリされ圧倒されたんですよね。
罪ですよね‥。
すいま
ぐらいのタイミングで
チャチャっと奥に注文を通す奥様。
照れなくてもいいのに‥。
乙女が溢れてしまったんですね‥。
わかります‥。
そう思ってニヤついていると
単体のお客様が4組立て続けに入ってきた。
『こっち、ラーメン！』
『僕はチャハーン！』（←ほんとに言った）
『ギョーザと焼きソバ！』
『ラーメン！』
お冷もままならぬまま、次々と席に座り
奥様に注文をする単体×4組。
一気にすげえ混みだし、ピリつく奥様。
マイペースな店主。
なんだこの展開‥激アツじゃん‥
昭和か！？
昭和にタイムスリップしているのか私！？
店の角の天井近くに
小さなブラウン管のテレビ持ってこいや！！
そう思いながら、雰囲気を味わう私。
安堵しながら目を閉じると
おじさんが漬物を食べるポリポリ音が
耳に響きわたり
私はすぐさま目を開けることにした。
〜しばらくたって〜
『お待たせしました』
そう、優しく
ラーメンの器を私の前に置く奥様。
置く奥様。
置く奥様。
いい響きだ。
置く奥様。
ルネッサンス！！
ラーメン界の印象派！
はぐれ刑事は純情派！
目の前に置かれた器からは
湯気と美味しい香りが立ちのぼっている。
（‥このかほりは‥まさか‥
‥みそ！‥みそか！？）
みそラーメンを頼んだのだから
みそで当たり前なのだが
香りで何ラーメンかを当てる雰囲気を
店内にかもし出す私。
それを圧倒的に無視する客達。
こちらを見てすらいない。
少しの寂しさと
大きな食欲と期待に胸を躍らせた私は
手を合わせて小さく『いただきます』と
つぶやいたのちに
萬寿園みそラーメンに箸をしのばせた。
うん。いい麺だ。
これは始皇帝が愛した麺と似ている。
始皇帝がどんな麺を好きだったかなど
知るよしもない私だが、
これだけはわかる。
始皇帝も思考停止。
そんなラーメンだ、こるは！！
あえて誤字を残した。
これは！！と打つはずが
こるは！！になった感じが
私生活での滑舌の悪さを表現できたと
感じたからに他ならない。
それでは、いただきます。
麺をミソの風呂からつまみあげ
フーフーする私。
『お待たせしました
ギョーザです』
フーフータイミングで
ギョーザを置く奥様。
置く奥様。
なんて可愛い、置く奥様。
フーフーした麺を
再び熱いミソ風呂に戻す私。
食べながら奥様に対応するなど、
イケメンの風上にも置けない。
そんな事をしてはいけない。
むしろ私はイケメンですらない。
イケメンになりたい。
悲願すぎる願いだ。
気持ちを落ち着けて
再びミソ風呂からラーメンをつまみあげる私。
『食べちゃぅょ〜〜？』
急にキモい男にキャラ変したくなる私。
しかしながら
自分の妄想に愛想を尽かしてきたので
普通に麺をすすることにした。
『うまっ！！！』
ホースの馬ではない。
美味しいの うま である。
爽やかな中にジワジワと麺にからむ
ミソの風味。
わかりやすく言うと、まるで
お祭りでたまたま見かけた好きな人の
浴衣姿を目で追うぐらいのうまさだ。
口の中で主張する麺の弾力。
わかりやすく言うと、
軽自動車から大型SUVに
乗り換えた時のような重厚感とワクワク。
これは、うまい。
お世辞ぬきにうまい。
こうなってくるとギョーザは‥
ゴクリとツバをのむ感じで
ギョーザに熱視線を送った私は
みそラーメンを一旦待機させ
ギョーザ皿に箸をのばす。
『食べちゃぅょ〜〜？』
リスクが高いのに
キモキャラを再降臨させる私。
客の誰も見ていないというよりは
みんな目を合わせたくないのかもしれないと
思い出した私はおとなしく食べることにした。
弾けるジューシー！！🌊
肉汁どかーーん！！🚀🥟
頭から語彙力が消えた。
捜索願いを出したいくらいだ。
めちゃくちゃうまい。
ラーメンもさることながら、
ギョーザ、めちゃくちゃ味しっかりしてる。
しかも9個も入っている。
ここから、記憶があまりない。
むさぼるように食べることに
夢中になったからだ。
行儀が非常にわるいのだが、
私は美味しい食べ物を口に運ぶ際に
香りを嗅いで
幸せを堪能してから食べる癖がある。
この癖のために
昔付き合っていた彼女から
『私が作った料理、臭い？』と、誤解を受けたほどだ。
直さないといけないとわかってはいるのだが
なかなか直せないこの癖。
この癖を
私自身嫌いじゃないと思っていることが
一番のやっかいな問題なのである。
ごちそうさまでした。
美味しくいただいて
手を合わせてレジに向かう私。
注文作りに忙しい店主が
私の顔を見てニコリと笑い
『ありがとうございましたー！』
お礼の言葉をかけてくれたと思った刹那、
店主はチャハーンを作りだした。
『お会計時に
私が気になった注文、
（注文の仕方含め）
チャハーンの
伏線回収をしてくるとは！
あなどれん！
あなどれんぞ、この店！！
また必ず舞い戻り、
次はチャハーンを
成敗してくれるわ！！』
そそくさとお会計をすませて
店を後にする私。
本来ならば
爪楊枝をシーシー言わせながら
暖簾をくぐり出て
【一旦違う方向を見てから歩きだす中川家のサラリーマンモノマネ】
をするのがスジなのだろうが
そんな余裕はなかった。
‥あなどれん‥
あなどれんぞ‥
Mr.アナドレン！！
エンディングテーマ、
『tomorrow never knows』が
頭の中で流れる中、
雷蔵は商店街を後にした。
ほんのり汗ばむ身体に
最近、少し肌寒くなったなあ という
気づきをうながすような
季節の風が沁みてきた。
〜おわり〜
あー、おいしかった！🍜🥟✨
萬寿園
営業時間11:00〜21:00 水曜日定休
〒891-0102
鹿児島県鹿児島市星ケ峯４丁目２−６
頂戴いたしましたサポートは全額有意義に使用させていただきます。主にカレーパンになるかと思われます。