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モンゴルで怪我の対応をしていて、不思議に感じること5選

モンゴルで活動を始めて4年が経過。大学の病院やスポーツ現場、はたまた個人のお宅に出向くなど、数多くの人々をみてきました。

文化や価値観の相違でしょうか?謎に思うことが多々あります。その中で、特によく遭遇する出来事の5つを厳選してご紹介します。

普段、モンゴルに関する内容や、過去にトレーナーとして様々な国へ帯同で行った時のことなどを記事に書いているので、そちらも合わせてご覧ください。


1. 治療回数

「治療を何回受ければいい?」

どの人からも、ほぼ100%聞かれます。病院においても、4回コースや8回コース、セットメニューなどが料金表に書いてあったりします。


「〇○病院で治療を10回受けて、前よりは良くなってきた。でもまだ痛みは残っていて、これからどうしたらいい?」
このように聞かれることもありますが、どうしたらいいも何も治療を継続すればいいのでは?と思うところです。

僕自身、治癒するまでの回数は推測できないので、あくまで回復期間は伝えるようにしています。

そんなある日、ふと実験をしてみようと思い、大きく見積もって「10回受けた方がいいよ」と言ってみました。すると10回分の料金を先払いでいただきましたが、5回くらいで症状は完全になくなりました。そこで、今日で治療は終わりにして、残り5回分のお金は返すと伝えたところ、「先生が10回って言ったから、10回受けるよ」と言い、本当に10回終わるまで治療を受けに来ました。

日本の治療院では回数券制度に賛否両論ありますが、モンゴルにおいてはビジネスとして容易に成り立つように感じます。

完治を目指すよりは、ある程度改善したらそれでいいのかな?


2. 腎臓が痛い

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「Бөөр өвдөөд байна 」

訳が間違っていなければ、腎臓が痛いという意味です。僕が日本にいた22年間で、腎臓が痛むと訴える人には一度も会ったことがありません。それがモンゴルにいる4年間では当たり前のようにいます。むしろ”腰が痛む”より多く聞くような印象があるほどです。

「腎臓じゃなくて、腰じゃないの?」と聞くと、「いや、これは腎臓の痛みだ」と言います。泌尿器疾患を疑いますが、どうもそのような症状な見られず...

腎臓の痛みを訴えるモンゴル人があまりにも多すぎるため、ひょっとしたら”Бөөр”という単語にはただ”腎臓”を指す以外にも別の意味があるのではとも考え始めています。

本当に”腰部の筋や脊椎”と”腎臓”の痛みを区別できているのか、はたまた東洋医学的に腎臓関連の部分が痛いのか。真相は謎です。

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3. 関節が鳴る

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あなたは指や首、腰などを捻って音を鳴らしたことはあるでしょうか?長時間同じ姿勢を取っていて、鳴らしたくなる瞬間を経験する方は多くいらっしゃるかと思います。

癖で日常的に鳴らすのが当たり前かのように、スポーツの現場では相手との接触やジャンプの着地時で膝や肩、肘などが鳴って怪我をしたと訴える選手に非常に多く遭遇します。実際に調べたわけではありませんが、3人に1人はいるような印象です。

特に膝に関しては、半月や靭帯などの損傷時に断裂音やクリック音と呼ばれる症状が現れることがあります。音というのはケガを評価する際、一つの判断材料になりますが、動作をチェックしてみてもそれら特有の症状は見られず、次の日から普通にプレーするケースが多々あります。たしかに音が鳴ると不安に感じることは理解できるし、こちらとしても身構えてしまいます。

身体構造的に日本人と異なる部分があるのか、それともバキバキ音がなるほど激しく動いているのか...


4. キネシオテープは痛みを和らげるもの

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キネシオテープとは、伸縮性のあるテーピングで、スポーツ現場ではよく使われているかと思います。関節の可動域を広げたり、筋肉のサポートなどの効果が期待できます。使い方によっては、たしかに痛みを軽減させることも可能だと思われます。

ただ、モンゴルでは、どのような機序で痛みが軽減されるのか深く理解されていないのでしょう。

「首を捻って痛い」

「相手の膝が太ももに入って痛い」

このように怪我をした直後に、キネシオを貼ってくれという選手がちらほら。逆にドクター側もアイシングや固定に使う材料が無いから、とりあえずキネシオを貼るという光景をよく見ます。

張力はバラバラであり、筋に対してではなく、ただその痛む部位に貼っているだけです。ところがプラセボなのか、「ありがとう、ちょっと良くなった気がする」という選手が多いです。そのためか”キネシオテープ=痛みを和らげるもの”的なイメージを持っている印象があります。

ちなみにですが、一般的な湿布は、”鎮痛効果のある湿布”としてキネシオとは別で確立されています。


5. 第一に薬や注射

怪我の評価をして、どのような状態であるか、どのような治療をした方がいいのか説明をします。そうすると多くの場合、「どの薬を飲めばいい?」「どの栄養が必要?」と聞かれます。

また、サッカーや柔道のチームで合宿や海外遠征をする際は、選手から必ず点滴を求められます。調べていただければわかるように、点滴はあくまでも脱水症状により失ったものを補ったり、どうしても食事で栄養が摂取できない方に用いるものです。たいした成分は含まれておりません。

僕の勝手な憶測ですが、これの背景には国民に親しみ深いモンゴル伝統医学が関係しているのではと考えております。モンゴル伝統医学については、過去の記事で紹介しているので、そちらをご参照ください。


この伝統医学の一つに漢方があり、日頃から何かを服用することが身近にあります。そのため、サプリメントかのように薬や注射を頼るのでは?と感じます。

モンゴルでは、薬局で注射器を誰でも購入することができます。僕がやらない代わりに選手たち自身で点滴を打ったりコーチが痛み止めの注射を打ったりします(もちろん、医師の資格は持っておりません)。

点滴は、選手が元気になっている様子だからお好きにどうぞという感じですが、痛み止めに関してはどうかなというところですね。

”アイシングや治療よりも痛み止めを服用すれば、とりあえずOK”みたいな風潮があるので、少なくとも自分が関わっているチームでは何とかしたいものです。

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最後に

モンゴルで様々なケガに対応してきて、遭遇する出来事についてご紹介しました。

国が違うと、文化や価値観に相違はあるものです。一部批判するような表現もあったかもしれませんが、それらを受け入れています。むしろ違いが見られるのは、非常に興味深く感じます。

何より、他の記事にも書いておりますが、この国や人々に自身のやり方・考え方を強要するつもりはありません。あくまでも別の方法やそれぞれのメリット・デメリットを説明したうえで、どれを選ぶかはその人に任せます。

改めて補足ですが、今回の内容については僕が経験した出来事であるため、一部偏った情報があるかもしれないことは断っておきます。


今後も様々な地域を見ていき、さらに視野を広げていきたいと思っております。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。このようなモンゴルの日常、スポーツ現場、医療などに関する内容を書いております。ぜひ過去の記事も見てみてください。

いつもスキを押していただき、大変励みになっております。これからもよろしくお願いいたします!

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