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なんちゃっていねい生活 都会に近い田舎に住もう

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関東の小都市・神奈川県横須賀市在住の文筆家が、なんちゃってな「ていねい生活」の日々を綴ります。スキやシェアしてもらうと面白いことがあるかも!
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#日記

癸卯葉月 処暑 四国行 夏休み編その2

廿七日午後  宇佐美さんに松山駅まで送っていただき、さあいよいよ旅前半のメインイベントに挑むことになった。  四国の有名観光列車「伊予灘ものがたり」に乗車するのだ!  プチ乗り鉄としては一度は乗っておきたい列車である。詳細は下記をご覧あれ。  ワタクシ、なぜか海の側を走る電車が大好き。  たとえば海の上を走るJR西日本の参宮線や京都丹後鉄道の由良川橋梁、側ぎりぎりを走る三陸鉄道リアス線などなど、“海と鉄道”は最高のごちそう。我が心のふるさとだ。生まれ育ちは大阪内陸部の煤け

癸卯葉月 処暑 四国行 夏休み編その1

廿七日 午前 温泉宿に泊まったら早起きして朝風呂せねば気が済まぬ貧乏性ゆえ今朝も五時起き、開湯時刻にあわせて大浴場へ赴く。他に人もおらぬだろうと思いきや、同じことを考える人が多数いるとみえて、洗い場は夜より盛況。それでも混んでいるというほどでもなく、朝日輝く露天風呂を堪能した。 炎陽の 倒景もおかし 湯の面  今日の午前は宇佐美まことさんのご案内で松山観光……なのであるが、その前にごくプライベートな予定を入れていた。 義理の伯母の墓参りである。色々と事情があって長らく疎遠

癸卯葉月 処暑 四国行 仕事編

廿六日 羽田から一路松山へ。 愛媛県男女参画センター主催の「人生100年時代のウェルエイジングセミナー」で憚りながら講師を申し付かったのだ。 松山在住の小説家・宇佐美まことさんが拙著『死に方がわからない』をセンターの方に紹介くださり、それがご縁となっての仕事だった。 ありがたいばかりである。 とはいえ、私のような無名の物書きの話を聞こうなどという方がいかほどいようかと心配していたのだがお陰様で杞憂におわり、当日は満席となった。 思っていたより年齢層が高かったので、当初予定

癸卯葉月 処暑 綿柎開の間 

廿三日 明後日には四国に経つので直前仕事のラストスパート。 なんとか目処がつきそうだ。 廿四日 午前に〆切のある原稿はすべて送り、昼からは二十六日の講演会の準備に入れた。暑い中お越しいただくのだ。少しでも面白かったと思っていただかないと。 自然の気合も入る。 廿五日 メンテ日。眉と爪を整えに行く。 ひさしぶりにネイルサロンに行き、はじめてジェルネイルをしてみる。 なるほど、これは丈夫だ。自宅でキットを揃えてみてもいいかもしれない。 爪先に 海辺広がる 心地かな

癸卯葉月 立秋 蒙霧升降の間

十八日 諸々の〆切がようやく一段落、事務作業も片付き、ひとまず一息つけるように。とはいえ、来週は廿七日から取るつもりの夏休みめがけてスパートをかけなければならないの、スケジュールは厳しい。なんとか乗り切ろう。 十九日 家事日。早朝から始めたものの、あまりの暑さに休み休みにしかできず。 来た秋は どこにおわすぞ 風もなし 日が傾き、ようやく少し炎暑も和らいだので買い物へ。 途中、通りがかった公園からなにかの音頭が聞こえてきた。どうやら盆踊りらしい。帰路、同じ道を通ると、今

癸卯葉月 大暑 大雨時行の間

二日 「不機嫌さ」で他者をコントロールしようとする人を目の当たりにする。 しかも御本人の立ち位置は”被害者”である。反面教師とはよく言ったもので、彼の人の振る舞いには学ぶべきところが多々あった。 三日 仕事で埼玉県の川越へ。 関東内陸の酷暑を体験してきた。 なにが驚いたって、電車を降りた瞬間に浴びた熱風である。てっきり換気扇の排気口かなにかの前に立ったのかと思ったが、違った。なるほど、体温以上とはこういうことか。まさに異次元の暑さである。いくら暑くても体温以下、夜には30

癸卯文月から葉月 大暑 土潤溽暑の間

廿八日 仕事の関係で届いたとある作品を昼過ぎから読み始めるも、大作であるためにまったく終わらず結局ほぼ徹夜に。 ページを繰る手が止まらないおもしろさだった。これぞ読書の醍醐味。 懐かしき 人の俤 文に見る 廿九日 本来家事日であるものの、流石に徹夜がこたえて心身動かず。 洗濯は朝からやったものの掃除は最小限、買い物にも行かず、作り置きだけ数品作った。とはいえ、おかげで食材も一掃できたし、前向きに捉えることにしよう。 卅日 休息日。出かけようにもこの暑さでは外に出た途端に

癸卯文月 小暑 鷹乃学習の間

十八日  久しぶりに三連休を堪能したせいか、昨夜は勤め人時代のような「連休最終日ブルー」に陥る。なにやら懐かしい心地がした。  払暁、蝉の鳴き声で目覚め、そのまま起床。午前の涼しいうちに今日のノルマを片付けるつもりが、7時になる頃の室温がすでに30度。これでは仕事にならぬとエアコンをつける。 十九日  午前はあいかわらずの気温。だが、午後になって風が強くなり、少し暑気が払われた。こんな夕べは海辺に出ると夏の良さを思い出せるのだろう。 二十日  ここのところどうも夢見が悪い

癸卯文月 小暑 蓮始開の間

十二日 朝、原稿を推敲後送信。 昼、夜の取材に向けて資料確認。 夜、オンラインで三時間しゃべりっぱなしの取材。今回はする方じゃなくてされる方。 深夜、寝た。 十三日 ひとまず喫緊/デッドライン/伸ばせない系の仕事は午前中にすべて終了。 残り半日ぐらいはと休養を取るつもりが、結局こまごました残務整理でおやつ時ぐらいまで作業。それら終了後も気がかりだった庭仕事や本の整理をやっていたら、すっかり夜に。休みきれないのは貧乏性ゆえか。 なんにせよ、花期が終わった紫陽花の枯れ花剪定がで

癸卯文月 小暑 温風至の間

七日 七夕だが、梅雨の間の七夕はまったく駄目だ。今年はまだ夜空が見えただけましか。星辰の位置も正しくない。五節句のうちでも七夕ほど旧暦でないと意味がない祭りもない。 今日は月に一度の身体メンテ日。午前は払暁から仕事を始め、とりあえずの目途をつけ、午後からは予約してあった鍼灸とシェービングに出かける。途中、図書館、古書店、ベーグル店、インド物産店をまわり、最後は中央の各店で買い物。これがお定まりのコースだ。 いくつかの店ではつかのまの会話を楽しむ。少しずつではあるが街になじみ

癸卯文月 夏至 半夏生の間

二日 今日から半夏生。そして一年の日数のちょうど半分。 夏も本番に入っていく。 庭では紫陽花がそろそろ色を失い始め、代わりに自生する百合のつぼみが膨らんできた。勝手に生えたのを放置していたら、年々地味に増え、今では盛夏を呼ぶ顔になりつつある。品種はおそらくスカシユリと思うが、何分勝手に生えてきたものなので正確なところはわからない。 なんにせよ、夏本番は間もなくだ。 夕飯には蛸の天ぷらと造りと酢の物をこしらえた。 蛸を食む なりわい農にあらずとも 三日 取材で当邦最高学府の

癸卯水無月 夏至 菖蒲華の間

廿七日 仕事で東京へ。飯田橋や神楽坂が出てくる小説の話を、その近隣のビルで聞く。景色も人気も何もかも違おうが、それでも何やら格別の趣き。 帰途、ふと海が見たくなり、途中下車して横須賀の港を散歩した。海のある街に住む醍醐味だ。 廿八日 夢見が悪く、日中もなにやら心身ともに優れないまま過ごした。 蒸し暑さがこたえたのだろうか。まだ夏の一合目までも行っていないだろうに、こんなことでは先が思いやられる。 蒸す朝は ふた月分の気の疲れ 廿九日 脳がオーバーフローを起こしそうなのを

癸卯水無月 夏至 乃東枯の間 

廿壱日 珍しく太陽が顔をのぞかせた夏至。晴れれば日本の六月も初夏らしく爽やかなのだ。    外つ国の 夏至のまつりの懐かしき 廿弐日 今日は旧暦で端午の節句。なるほど今なら葉菖蒲も花菖蒲も自然な盛りだ。しかし花屋では見かけない。新暦ならばスーパーでも売っているのに。季節感とは何なのか。ふと考える。  香りせぬ 葉で立てた湯や 新節句 廿参日 歯医者へ。軽い虫歯ありとのことで治療してもらったが、その最中、頬に穴を開けられてしまう。  黒き穴 歯で塞いでも 頬で開く 廿

皐月十五日 祝百日連続投稿

 特に何の目標もなく始めた日記ではございますが、15日に連続百日投稿を達成しました。“三日坊主のアイコン”を自認するほど何事も続かない私の生涯において、稀に見る快挙です。これもひとえに愛読し、「いいね」を押して下さる皆々様のおかげでございます。心より御礼申し上げます。  毎日ネタなんてあるかしらと疑いつつ始めたけれども、いざやり始めると何やかやで書くことはあるようで、退屈な我が人生もそれなりに彩りがあるものだと少々見直したり。  特に方針を立てることもなく、ゆるやかに続け