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癸卯文月 夏至 半夏生の間

二日
今日から半夏生。そして一年の日数のちょうど半分。
夏も本番に入っていく。
庭では紫陽花がそろそろ色を失い始め、代わりに自生する百合のつぼみが膨らんできた。勝手に生えたのを放置していたら、年々地味に増え、今では盛夏を呼ぶ顔になりつつある。品種はおそらくスカシユリと思うが、何分勝手に生えてきたものなので正確なところはわからない。
なんにせよ、夏本番は間もなくだ。
夕飯には蛸の天ぷらと造りと酢の物をこしらえた。

蛸を食む なりわい農にあらずとも

三日
取材で当邦最高学府のキャンパスへ。
朝一番の出発だったが、途中緊急停止ボタンでのストップあり、線路の混み合いでノロノロ運転ありで、スムーズな移動とは言い難い。それでも数分の遅れですんだのだから、我が国の鉄道会社は実に心強い。

鉄の道 今防人は幾人ぞ

取材後は一般利用可の学食に潜入し、スタミナ焼き定食を食べた。
さして美味とはいえないのは承知の上で、時折学食や社食が懐かしくなる。何であれ、使わなくなるとノスタルジーの対象になるものなのだ。

帰路、渋谷で買い物でもと思ったが、あまりの蒸し暑さに断念。早々に戻ったホームタウンは多少蒸しても十分快適な初夏の風が吹いていた。
やはり横須賀はいい。

四日
今朝は早起きしてたまりつつある仕事を片っ端から退治していくつもりが、昨夜夜半過ぎの暴雨激雷で目が覚め明け方まで眠れなかったせいでむしろ寝坊してしまった。
それにしても年々天気が荒々しくなってきている気がする。気候変動の怖さを実感することが増えた。
穏やかな四季は、記憶の中だけのものになっていくのだろうか。

昼下がり、仕事が一段落ついたので、庭に出て百合を手折り、仏前に備えた。お土産物の仏頭ゆえ御利益もなにもあったものではないが、鰯の頭よりはありがたい。

花粉こぼれ 仏も夏の化粧かな

五日
ひたすら原稿。書いて書いて書いて書いて。
書く原稿のあるありがたさ、と己に言い聞かせながら書いて書いて書いて書いて。

六日
昨日に同じ。目が痛くなってきた。

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