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モンブランは好きですか

ガラスケースに並ぶ、キラキラのケーキたちの中でも異彩を放つフォルム、安心するほっくりとした甘さの「モンブラン」、あなたは好きですか。

僕は、大好きです。

いつから好きか覚えていませんが、子どもの頃からケーキはモンブランを選ぶことにしていますし、いまでもモンブランだけを見つめています。

そんな”モン”のこと、語らせてください。モンは僕が勝手に呼んでいるモンブランの愛称ですが、フランス語のモン(mon)は「わたしの」という意味があるそうです。

いまでは年中食べられるモンもあるけれど、栗の季節は秋です。特に和栗を使ったモンは秋の季節限定であることが多いし、個人的にも季節限定であるべきだと考えています。

モンが好きの概要

自分が好きなものを楽しんでくれるというのは、とてもありがたいことです。僕にとって、話すことと書く事は、なかなか同じではありませんが、いろいろな場面で「あいつは、モンブランが好き」と知ってもらう機会が増えました。

上の記事は、8月の祝日である”山の日”にモンを食べた時の話。初めてnote編集部おすすめ記事に選んでいただきました。嬉しすぎる…!

投稿には、祝日くらいモン食べてもいいじゃないかと書いていますが、実は、山の日だけでなく、11月の文化の日も個人的に「モンの日」と呼んで、モンを食べています。そして自分の誕生日にも食べています。

これまでに、どのくらいモンを食べたのかスマホを確認しました。モンを食べた時にはだいだい写真を撮っているのです。過去3年間で、およそ180枚ものモンの写真が…思ったより多くて、僕も驚きました。

おそろしいことに自覚が無かったのですが、年間でならせば、およそ1週間に1つ以上、モンを食べていることになります。

ただ、冒頭に書いたようにモンの季節があるので、時期が来ると週に何個か食べている時もあります。一方で、通年でモンが食べられるチェーン店のカフェも重宝しています。やっぱり食べたいのです。我が家では、秋に「モンのための特別会計」が認められています。

上島珈琲店。美味しい珈琲と、クリーミーなモンの組み合わせがとても好きでしたが、
僕の身近な店がなくなってしまいました。

少し冷静になってみましょうか。ラーメンやカレーなどが好きなら、週に1回食べることは、まったく不思議ではないはずです。とはいえ、食事ではなくケーキなので控えめにしないとダメですが。

さて、長い前置きとなってしまいましたが、少し姿勢を正して、モンのことを僕なりにもっと深く考えていきたいと思います。

ビッグ・ボーイ(ファミレス)金の大俵モンブラン…中は、バニラアイスをクレープで包んだもの。
最高か。

遺伝子レベルの好き

突然ですが、縄文時代の主食って何を食べていたかご存知でしょうか?

稲作が広まったのは、弥生時代。縄文時代は、木の実が多く消費されていました。その主役は、栗です。

ちなみに、ドングリも漢字で書くと「団栗」。今のように、実(実際は種子)が大きくて甘いわけではなさそうですが、木の実としての栗こそが人類の命を作り、繋いできた、遺伝子レベルで”人間が好きな食べ物”だと思うのです。

そんな人類の始まりをも支えていた”栗”が、現代では、甘くて美味しい”癒し”の存在になっているのです。

実際、日本では各地で栗の栽培が盛んで、季節になると、熊本や長野、岐阜、茨城、秋田など、さまざまな産地の名を冠した”和栗”を見かけることがあります。

茨城県笠間市のふるさと納税の返礼品。
上品でボリュームのある、教科書的な味。

好きの理由

好きになるのに理由なんかない、そんな言葉もありますが、僕がモンを好きになったのには明確な理由があります。

それは、モンが日本で独特の進化をしているケーキだから。そして、総じて美味しいからです。いろんな形があって、それは店ごとのセンスでもあり工夫でもあります。

突飛な味が少ないのも、僕が好きな理由です。淡い甘さと、こっくりした食感、それに合わせるホイップと台のバランス。何度も言いますが、僕は小学生の時からケーキといえばモンでした。

だいちとくるみ(稲城)僕が初めてモンを食べた、タカラブネに似ています。
厚手のホイルの中に、濃厚なマロンクリーム。

ね、分かりますか?

これはきっと僕の勉強不足で、ほかのケーキだって色々な道をたどって発展しているとは思うのですが、モンは店によって形が様々ある代表格だと思うのです。それを許容しているのは、日本ならではという感じもします。

モンブランは、そもそもフランスに発祥があるケーキです。しかし、その元祖はイタリアの田舎菓子らしいことを本で読んだ記憶があります。発祥と言われている、パリのカフェ「アンジェリーナ」のモンはこちらです。日本にもお店があります。

僕は、これを初めて食べた時に、すごく甘くて驚きました。そして、分かってはいましたが、ほとんどがクリームです。台はメレンゲでしたが、全体的に重厚なモンでした。

そのフランスのモンを、日本流にアレンジして売り出したのは、東京の自由が丘にあるケーキ屋、その名も「モンブラン」です。写真を見てください…元祖モンとは異なる雰囲気になっていると思いませんか。

マロンクリームはフランスのものよりも黄色く、鮮やか。

いまさらですが、モンブランの由来は、フランスにある雪山の風景。白い粉糖がその象徴なのかも知れません。日本初のモンは、果たして雪山なのか…、なんて意地悪なことを思ってしまうくらい変わりました。

ちょっと調べてみたら、この「モンブラン」の店主(迫田千万憶)は、モンを広めたいという意思から、商品名を”商標登録しなかった”らしいのです。モンが店ごとに変化する礎を築いた人がいたからこそ、僕のモン好きが開花したとも言えるでしょう。

M&C(丸善)カフェ(川崎)のワッフル。注文のたびに形が変わる印象。
焼きそば然としたマロンクリームに感激。焼き立て万歳。

モンの特徴あれこれ

モンは、いくつかの素材によって構成されていて、僕はそれを、外側(マロンクリーム)、内側(ホイップクリーム)、台(焼き菓子)と3種類に分けて呼んでいます。

モナムール清風堂(府中)むっちりした台は、なんだか懐かしい味が。
たまに無性に食べたくなるモン。

僕が考えるモンの魅力のひとつに、形がそれぞれ違うというのがあり、カットケーキタイプ(ホールケーキを切り分けてる三角や、四角のやつ)、ドーム型、ロールケーキなどがあります。

ロールケーキ型のモン。以前、カフェプロントで食べることができました。
(現在は三角のカットケーキになりました)

さらに、先ほど書いた部分ごとに、それぞれを見ていきましょう。

外側のマロンクリームは、色も風味もかなり差があります。ゼラチン質と混ぜてぷるんとしたものもあるし、硬さも違うし、なによりも盛り付け方が、まるっきり本家からは変わっています。最近は和栗や、渋皮と言った素材の違いもあり、モンの顔です。

オクトーブル(三軒茶屋)見た目も味も独創的な、大人向けのモンでした。
中にカシスの粒が。

内側のクリームも、生クリーム(ホイップ)から、カスタードや、ホイップとカスタードを混ぜたもの、チョコレートムースなどもありますね。さらに、中に栗粒やダイスカットされた栗が入っているかどうかも、その店の独自性が出ます。

メゾン・ジブレー(中央林間)内側のクリームに、くるみが混ぜてあり、
一口食べて、目が覚めるような美味しさでした。

台は、本家はメレンゲ(卵白と砂糖を泡立ててオーブンで焼いたもの)でしたが、日本初のモンの台はカップケーキでした。ほかに、スポンジ、タルト、フィナンシェ、クッキー、ガレット、カステラ…焼き菓子だけでなく、最近では”大福”も台になっています。

三大フルーツパーラーのひとつ、新宿高野。外側も硬めで個性的なのと、
とても地味で薄い台なのですが、その台の説得力がすごい。ぜひ台は最後に。

こんなに要素があれば、味もさまざまです。僕は、急に酸っぱいベリー系とクリームとの組み合わせが苦手で、モンの中にはアクセントとして採用されているものもありますが、甘いままでいいのに、と感じてしまいます。

ラヴィエイユフランス(千歳烏山)クールな造形でしたが、印象的な甘さでした。
甘さがコーヒーと良く合いました。(めっちゃ甘い)

すでに、溢れんばかりに紹介していますが、これまで食べてきたモンの中で、強く印象に残るモンたちを紹介したいと思います。もう、たまらないですよね(何が)。

日本全国を食べ歩いたという経験はなく、数少ない中での紹介となり、エリア的にも広がらず、偏りがありますことを最初にお詫びします。

まずは、ケーキの概念を超えて、“飲む”モン。

バニラビーンズ(川崎)チョコレート専門店の季節限定ドリンク。
初めて飲んだ日に、二人目の子が生まれた、"幸せのモン"。

台は、その店が得意とする焼き菓子を使うことが多く、それに注目すると食べるのが一層楽しみになります。名物、と謳っている焼き菓子が入っていると、なんだか得した気分です。

アンヌ国立スイーツ(国立)栗もアーモンド(タルトの原料)もナッツだからか、
とても合っていました。タルトが絶品。


田園ポテト(新百合ヶ丘)なんと、スイートポテトが台になっているモン。
お店もとてもおしゃれ。
エミリーフローゲ(立川)フィナンシェが台になっていて、
乾燥を防ぐためコットンで包まれている。和栗らしい淡い甘さのクリームが印象的。

マロンクリームはあまり工夫できないからなぁと思っていましたが、そんなことはありませんでした。かねてから、モンとアールグレイは合うと思っていたところで、このモンに。

TWG(自由が丘)マロンクリームの中にアールグレイが。さわやかなコク。
トップのホイップはレモン風味で、これまた驚き。紅茶専門店のモン。

和栗を使ったモンも、増えてきました。黄色いマロンクリームのモンが少なくなってきて、いまはブラウンのほうが多いかもしれません。

ファウンドリー。小布施の栗が、どすんと乗る迫力のモン。
食べ終えて、おにぎりを食べたような満腹感でした。
エチエンヌ(新百合ヶ丘)造形の技が見事なお店。
実物そっくりのケーキを作る(ぬいぐるみとか、靴とか)のが有名です。
モンも毎年デザインが違う。こちらは期間限定のモン。

マロンクリームの加工技術が向上したのか、多くのお店のモンが美味しくなった気がします。ケーキ屋さんだけでなく、和菓子屋さんも、モンを作ってくれるようになりました。

末広庵(川崎)モン大福。クリームの濃厚さも、大福の安定感も、とても好き。
去年から大福が大きくなって、さらに迫力と説得力が増しました。


ブーランジェリー道(稲城長沼)パン屋さんのモン。ホイップなしのマロンクリームのみの潔さ。
期間限定で売り出したけれど、いつまでたっても売っています。嬉しいのは僕だけでないはず。

気づきと深まり

モンの好きなところは、日本独自の変化を遂げているから…と書きました。それは、完成形が出来上がったわけでもなく、お店ごとの工夫が光っているから、同じモンがあり得ないということになります。さらに言うなら、お店の中での変化もあります。お店によっては、毎年デザインを変えているところもあります。

スタバ。2022版。カステラの台の存在感と、マロンクリームの説得力に唸りました。

ずっとモンを食べ続けていると、あれ?ちょっと変わったかな?と気がつくことがあります。この店、この形だったかな?とか、明らかに味が変わっていたり。

例えば、大手のカフェチェーンのモンも、ある時期に変わりました。理由は何かあるとは思いますが、見た目だけでなく、味も変わっているのです。カットケーキからドーム型へ。

モンの可能性がまだまだあることを、日々感じることができます。

あれ?変わったかな?と気がつくと、それがまた嬉しかったりして。でも、だいたい一人で食べているので、誰にも確認も共有も出来ないのがさびしいところです(笑)

最近は、ドーム型が増えている印象があります。凝ったデザインはまさに職人技が必要ですが、ドーム型は台、クリーム、マロンクリームを重ねていくだけでも出来てしまう形でもあります。

だから、凝っているデザインのモンを見かけると、とても嬉しくなってしまうのです。もちろん、ドーム型が悪いというわけではありません。どれでも好きです。

生搾りモンブラン専門店(飯田橋)見た目はモリモリ。
でも意外と軽くて、甘さ控えめ。
スタバ。2023版。流行りのモンをきちんと踏襲する心意気に惚れました

ケーキにも必要だ

今回の記事に載せている写真は、ほとんど自前のものですが、中には箱の中が背景のものもあります。それは、食べる時に箱の中だから。外で食べる時には、フォークやスプーンをつけてもらい、箱のまま、隠すように食べています。

パティスリー・マナ(黒川)とても可愛い造形のケーキが多く、
モンも独特の形。和菓子の練切のような食感でした。

お店で食べる時に、お店の姿勢を感じて「さすが。」と心の中で唸ることがあります。それは、ケーキを食べる時に、ナイフが用意されるかどうか。

コーヒーハウス・ミキ(二子玉川)カフェというより喫茶店な、とても心地よいお店。
場所柄、お上品な方が多く、ちょっと緊張します。
この店のモンもカットケーキから、ドーム型に。

ケーキなんて柔らかいから、フォークで十分なんて考えている方は、ぜひ思い直して欲しいのです。モンについて言えば、タルトやガレットなど、硬い台もあります。ナイフで食べたことがない方は、ぜひ試してみてください。格段に食べやすくなりますし、断面がキレイに見えます。

形や味など、あれこれ書いてきましたが、そんな店の姿勢も含めて、これまでに「お店で食べた」なかでの1番は、このモンかなと思っています。

パクタージュ(玉川学園前)ケースの中で、さらにケースに入っていました。
バランスがとても良かった。

これからのこと

僕のモンブラン好きが高じて、5年前の文化の日に行われた、地域のモン食べ比べイベントをしたことがありました。稲城のケーキ屋さんのモンたちを集めて、ひたすら食べ続けました。

ハルキ(稲城)ダグワースで囲まれている個性的なモン。多くの店が、得意な菓子をモンに組み合わせるてくれるので、ありがたい(笑)

市内のケーキ屋のモンが集まった景色と、やっぱり店ごとに違う姿形に、いちいち感動していました。

シュエト(稲城)台がババロアでとても柔らかなモン。栗の形のチョコも美味しい。

食べ比べることもとても楽しかったのですが、人数が集まって、好きなものを楽しく食べることの幸せ感は、日頃ひとりでモンを食べているからか、とても強く感じられました。

振り返ってみると、こうして、好きなモンのことを書いたり、まだ見ぬモンを探したりすることは、子どもの頃からの夢でもありました。

大人になったからこそ、ケーキを食べ続けることができているとも思います。子どもには、お菓子を控えさせているというのに…。

反面で、体調管理なども気になる年頃になってきて、本当に美味しいモンを食べたいとも思うようになりました。

結果的に、どのモンも美味しいものが多く、改めてモンのすごさを感じます。

モロゾフ。プリン台のモンも最高です。マロンクリームも利平栗を使ったこっくり感。
プリンに負けないコクに唸りました。

テレビで紹介されているようなお店にも、価値はあるし、プライドを持ってこだわっているのもわかります。でも、僕は有名なモンよりも、美味しいモンを食べたいと考えています。

モンが好きな方は多いと思いますし、この記事をここまで読み進めていただいたかたは、相当なモン好きとお見受けします。

ココス(ファミレス)期間限定のムッシュ・モンブラン。
マロンクリームが2種類使われていて、手の込んだ美味しいヤツでした。


どうか、一緒にモンブラン文化を継承していきましょう!継承なんて難しい言葉ですが、要は食べるだけです!

もし出来るならば、まだまだ色んなモンを食べたいなぁと思っています。そして、こうしてモンを語ることも続けていきたいです。

神戸市のふるさと納税の返礼品。くり松(神戸)の、くり松千本
台は一口大福で、幸せすぎる味わい。

登場したお店は、日本語ではない言葉については、便宜上カタカナにさせていただきました。
ここで紹介したモンたちは、季節限定のものや、その年かぎりのデザインのものもあります。そんなわけで、お店によってはご迷惑をおかけしているかも知れません。ごめんなさい。


モンの季節だとか、モンが好きだとか言ったり、これだけ食べていると、よく聞かれるのが、「いままで食べたモンで、1番美味しかったのは?」という質問です。

すでに、お店で食べたモンの1番を紹介しましたが、いままで食べた中では、間違いなくこれです。

僕の誕生日に食べた、手作りのモンブラン。


誰が作ったかは、・・ご想像にお任せします。



最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

お腹は、モンブランの準備万端ですね。

さぁ、今日は、モンブラン食べましょう!

あぁ、そうでした。「今日も」の間違いでした(笑)

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