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歴史の中に生きる #書もつ

毎週木曜日は読んだ本のことを書いています。

がっつりの歴史小説は細かすぎて読むのが辛い、SFでは現実味が無くて違和感がある、・・そんな読み手だった僕が、あっという間に没入して、読み終えるのが惜しいと感じた作品を。

君の名残を(上・下)
浅倉 卓弥

(上)
読み始めたら止まらない物語に驚きました。この作品は、緻密な歴史小説といった趣。

彼らの数奇な出自には、こんな秘密があってもおかしくないような気さえしてしまう推測に納得しつつ、数多くの命が奪われていく世を走り抜ける彼らを応援したくなりました。

当たり前に生きている我々を1000年前の大先輩は、どんな思いで見てるんだろうか。

(下)
上巻から入り込んだ平家物語の世界観のまま、学校で教わった通りに歴史が描かれていきました。

この作品の歴史小説のような重苦しい雰囲気が、命の重さを意識しているからなのだと分かり、読み進めるのが怖くもなりました。

あの時代に限らず、死が約束されているならば、なぜ生きなければならないのか、人が歴史という「時」に生かされているという発想は明確だが残酷なのではないかと思いました。

失踪という不可解な消失であっても希望を捨てない彼らの心意気がスゴイ。

自分の回りの人たちを大切にしようと感じられた作品。

上下巻・・と聞いただけでも、ちょっと身構えてしまう人でも、教科書に出てくる歴史上の人物の描写に、ハッとするはずです。なにより、この物語は現代に生きる若者が、歴史と呼ばれる過去にタイムスリップしてしまうという設定が、とても明解です。

そして、出てくる人物も、それぞれ知っているし、歴史の流れも教科書で読んだようなスムーズさ。それでいて、フィクションの奇抜さも残っているので、読み手は物語に”つっかからず”読んでいくことができるのです。この作家さんの筆力の高さにほれぼれします。

時代が違えば、死はとても身近にあったはずです。そのことを感じると、この現代に生きていることが、とても幸運であり、また同じく周囲で自分を見守ってくれている存在にも気がつくことができる作品でした。

現実的ではないと思いつつも、自分と近しい若者という存在が描かれていることで、いつの間にか自分と重ねて合わせていました。自分の特技が、まさに命を繋ぐためのひとつの技となり、術となっていることが、とても印象的でした。

サムネイルは物語の舞台として登場する橋・・infocus📷さんに作っていただきました・・って、作品の中身を調べてサムネイル作っていただけるの贅沢ですね。ありがとうございました!



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