当たったなんて言えない #書もつ
先日ここでも紹介した、「億男」で見た、お金と幸せの関係。なかなか言葉では説明できない難しさがあります。多ければ多いほど幸せ・・ならいいのですが。
ひとりの男が宝くじを当ててしまう。
それだけで物語が始まってしまう、そんなお話を読みました。分かりやすいタイトルに惹かれて、気が付いたらレジにいました。
毎週木曜日には、読んだ本のことを。
もしも当たってしまったら、慌ててこんなことにならないように・・と読み始めたら、転がる物語に追いかけられて、あっという間。
宝くじが当たったら
安藤祐介
戒めを噛み締めながら、羨ましさに身を焦がし、結末に嘆息してしまうような、目まぐるしい展開でした。
この作家さんの書くお仕事小説は、基本的に主人公が真面目な若手社員というところ。
すでに、共感よりも先輩風やら親心、なんなら老婆心のような感情も渦巻いてしまう読み手でしたが、展開の堅実さに安心しました。
何か懸賞で当たったり、コンテストで賞を獲ったりすると、なぜだか誰かに話したくなるものです。
すごい!羨ましい!
と言って欲しいのか、驚いて欲しいのか。それとも自慢したいだけかな、なんて気もするのですが、宝くじの1等は別格です。
なんと言っても、賞品がお金であるし、金額も普段の生活ではお目にかかれないような桁数。まさに目が眩み、足がすくむ感じがします。
当たったら嬉しいだろうなぁ。
そして、怖いだろうなぁ。
個人的には、厳しい言葉になりますが、主人公の行動はとても間抜けに見えました。無知だけではなく、人を信じすぎているのか、ネットを軽視しているのか、そこは読みながらモヤモヤしました。
友達が増える、親戚が増える、秘密が破られる、そして人が変わる。お金と人間の関係性が暴かれて、大金によって人生に変化が起こって。
お金はお酒のような物で、たくさん持つ(飲む)と本当の人間性が出てくるような気がしました。お酒と違うのは、周囲の人も変えてしまうこと。
お金によって殺されてしまうことだってあるし、お金に人生を狂わされたという人も結構います。
でも、お金って何でしょうね。
この作家さんの他の作品も、お仕事小説なんて呼ばれていたりしますが、仕事をしている人には元気の出る内容が多く、言葉遣いもあえて分かりやすいものが選ばれている印象があります。
働くひとを、堅実にあれと励ます物語は、いつ読んでもホッとします。きっと社会人として沢山の経験もありつつ、作家として活躍されているのかもしれません。
宝くじ、当たってほしいけれど、当たってしまったら、宝・・じゃなくなるような気がします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました! サポートは、子どもたちのおやつ代に充てます。 これまでの記録などhttps://note.com/monbon/n/nfb1fb73686fd