人生プランのないアラフィフ会社員が、副業ライターをはじめて第二の人生をスタートさせた話
「課長、長い間お世話になりました。
退職しても、たまには顔出してくださいね」
広瀬すず似の新入社員、
あいかちゃんがとびっきりの笑顔で花束を渡す。
こういう場面での自分の役割を心得ている。
「これからは孫の面倒でもみて、ゆっくりするよ」
鼻の下を伸ばし、照れくさそうに花束を受け取る課長は
小日向文世のような風貌。
60歳を迎え、本日無事定年の運びとなった。
笑顔と拍手でつつまれる社内。
若かりしころに、愛のムチで指導してくれた先輩とも今日でお別れ。
ああ、また先輩が定年退職で会社を去っていく。
ひとり、ふたり……。
■はじめまして、自己紹介
アラフィフ会社員のもなかと申します。
ここ数年、会社を去る先輩をどのくらい見送ったことでしょう。
定年退職の4文字が現実味を帯びてきた今日この頃。
退職したら悠々自適。
そんな時代はもう終わりました。
お気楽OLのわたしにだって、そのくらい分かります。
「孫の面倒をみながら、最近はじめたボランティア活動を
本格的にやろうと思ってる。これが楽しくってね。
あ、野菜も作っていて良心市もはじめるんだよ、いそがしいなぁ」
その笑顔が眩しく、先輩は輝いていました。
それに比べて、わたしはどうだろう。
会社員の肩書がなくなったら、もはや何者でもなく、
毎日何をすればいいのか。
自分のスキルでお金を稼ぐなんてことは、到底できません。
この歳になって、
初めて自分の置かれた状況が危険だと気が付いたのです。
わたし……
会社員を卒業したら、何をする?
■そうだ、副業をはじめよう
定年後の人生プランがまったくないことに焦るわたし。
何もできないまま時間だけが過ぎてゆく……。
そして世界中の誰もが想像もしなかった世の中が幕を開けました。
新型コロナウイルスの蔓延です。
いまだ経験したことのないウイルスとの闘い。
人との関わりは遮断され、
会社へ出勤する日よりも自宅待機が増えました。
どこへも行かずに自宅で過ごす時間が降ってわいてきたのです。
これは自分と向き合うチャンス、
何かをみつけなくては。
会社員の肩書きがなくなっても、これからの人生を生きていく何かを。
まずはお金の不安をなくすために副業を探そうと決意しました。
■Webライターに挑戦
「さあ、やるぞぉ~」
自宅待機になった家族がネットフリックス三昧で楽しむなか
誘惑に打ち勝って、ひたすらパソコンにむかう毎日。
様々な副業を挫折してたどり着いたのは
インターネット上の記事を書く「Webライター」でした。
実績をつくるために
クラウドソーシングサイトへ登録して、
誰でも書けるカンタンなタスク案件
はてしない数の記事を執筆する奴隷案件に挑戦しました。
どちらも単価が安い割には、量が多くて時間がかかるものばかり。
記事を書きあげて報酬が振り込まれても、
一切充実感はありません。
思考回路はショート、
目は真っ赤に充血、
目の下のクマだけが成長する毎日。
会社に出勤すれば、眠気が襲ってきて遠のく意識。
知らず知らずに眠ってしまい、
パソコンに額をぶつけてしまったことも
一度や二度ではありません。
だめだ、このままでは体力がもたない。
「あー!どうしたらいいの?」
だれか私に教えてください!
だれか……だーれーかぁぁーーー!
■能天気炸裂、できるかもしれない!
すっかり思考停止、
げっそりとやつれた顔でYouTubeを見ていたある日。
ベレー帽のにあう素敵な女性が
初心者ライターのためのノウハウを発信している動画をみつけます。
その投稿主はWebコピーライターの野口真代さん、まよ先生でした。
心の中まで響く言葉と声
論理的で分かりやすい解説
実績に裏付けされたノウハウは説得力にあふれていました。
ご自身の失敗談や成功者との対談動画もあり
リアルで有益な内容に没頭、夕飯をつくるのも忘れて
家族からのクレームを浴びるのが日常になっていました。
「いいですね!」
「すばらしい!」
「いけます、できます!」
実績を出した人が、動画の中でホメられるたびに
なぜかドキドキ、ワクワク、自分ごとのように高ぶる気持ち。
先生が「できる」といえば、わたしにもできるかも、と思わせる
不思議な魅力の持ち主でした。
調べてみると、電子書籍出版が目的のライティングスクールを
主宰されているではないですか。
「この人から習いたい、成功してホメられたい!」
何も考えず、その想いだけで入学を決意。
震える指先で入学金の決済ボタンをクリックしました。
■やっぱりわたしはダメ人間
念願のまよ先生の生徒となったわたし。
通勤中や会社の昼休み、料理しながら、お風呂へ入るときも
頭の中は電子書籍のことでいっぱい。
ところが……ネタが無い。強みも得意も分からないまま。
まよ先生に習いたい一心で入学したわたし。
一方、自分の想いを電子書籍という形にしたくて集まった人たち。
「自分が体験した出来事を伝えたい」
「今やっているビジネスの集客をしたい」
す、素敵……。キラキラと希望に輝く同期たち。
会社で定年退職の先輩を見送ったあの時の気持ちが脳裏をよぎります。
わたし、何一つ成長していない……。
色々と頑張っているつもりだったのに
わたしは何をしているのだろう。どうすればいいのか分からない。
同期の仲間が、着々と執筆を進めていくのを横目にみながら
ただ、ホコリをかぶったパソコンをながめていました。
■師匠のアドバイス
そんなある日、まよ先生とお話しする機会があり
わたしの闇を察してか否か、アドバイスを受けました。
「大丈夫ですよ。みんな同じ。
大変だけど、頑張って書籍を出版してみる。
そしてライターに集中してやってみる。
それから、何者になるかを考えてみて」
そうだ!まだなにも始まっていない。
何もせず、考え込んで出来ないと悩むわたしに
自分を信じてやってみることを教えてくれたまよ先生。
まずは目の前にあるやるべきことからやっていこう。
講義で学んだことを、何も考えずそのまま実行。
奴隷案件なんてやってられるか!もう、オサラバだ。
根拠のない自信をつけたわたしは
少しだけレベルの高い案件を選んで応募しました。
すぐに返ってきたクライアントからのメール。
そこに書かれた文字に、思わず息が止まりました。
「ぜひ、あなたに執筆していただきたいです」
■やっとスタートしたわたしの道
この歳になって何の実績も強みもない自分を恥じていました。
死ぬときに絶対に後悔する、そんな人生はイヤだ。
頭で色々と考えて、ひとりモヤモヤしても
実際に行動しないと何も始まらない。
行動したから、動き出したのです。
あれから、まだ電子書籍は出版できていません。
会社員と両立出来る範囲で継続案件をこなす日々を送っています。
目の下にクマを作りながら、お風呂で眠り込んで溺れそうになりながら
目の前のことにひとつずつ取り組んでいます。
でも、定年後が不安で
人と比べて落ち込んでいた私はどこにもいません。
ほんのわずかな額ですが、会社員としてではなく
自分でお金を稼げる力を手に入れたこと。
わたしにとって、何より大きな希望と自信になりました。
目の前のワクワクに素直に取り組んで行くことで未来へ繋がっていく。
あきらめずに、やめずに続けて行くこと。
その先にはきっと私じゃなきゃ出来ないことがある。
そう信じて、アラフィフ会社員は今日もゆくのです。
PS・あなたの第二の人生、夢は何ですか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?