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束縛が激しすぎるインド人ムスリム夫の話

気づいたら、最後の投稿から二年も経っていました。わお。
当時大学生だった私は、結婚するかしないかで散々葛藤し(イスラム教で伝統的には、結婚しないと交際も当然同棲も大罪だそう)、結局勇気を出して一歩踏み出してみることにしたのでした。

といっても、彼は戸籍上の結婚は重視しておらず、とにかく神様に対して胸を張って、「この人を妻として迎え、夫婦として支え合って生きていきます!!」みたいな誓いを立てることが重要なのだそうで、イスラム式のミニ結婚式を開くことになりました。

さて、ムスリムと結婚するということは、私もムスリムにならないといけないということです。

もおーーーこれに関しても散々悩みました。
私は別に神道や仏教に対して全く信仰心が強いということはないのですが、霊的なもの、スピリチュアル的なものには昔から興味があったので、それなりに自分の考えを持っていました。

イスラム教の聖典はコーランですが、結構厳しいことが書いてあります。
イスラム教徒以外は地獄に落ちるとか、信仰を拒否する者は神様に目玉抉り取られて耳を塞がれて暗闇で一生さまよい続けるとか、そんな酷いことが書いてあったかと思えば、「アッラーは全知全能で本当に慈悲深いお方である」とかも書いてあって、正直私は全く受け入れる気になれませんでした。笑

散々喧嘩を繰り返して、私もコーランを読んでみたり、他のイスラム教徒の友達に話を聞いてみたり、他の宗教との共通点を探してみたり、まあまあものすごい努力をして、最終的にムスリムになる道を選びました。
あまりにそのことばかり考えていたので、そのまま卒論にしてしまうほどでした。

東京で入信の儀式をして晴れてムスリムとなった私は、人生で初めてインドへと渡り、結婚の儀式を決行しました。

私は高校生の時からバックパックで世界を貧乏旅行することに憧れていて、インドはその中でも最後に訪れる国というか、ものすごくハードルの高い国だったので、大して海外旅行歴もないままインドを訪れるのは不本意だったのですが笑、そんなことよりもワクワクが勝り、あっさりインドに来てしまいました。

インドの家族は本当に、それはそれは本当に暖かく私を迎えてくれて、まるで自分の娘のように扱ってくれました。緊張でガチガチの私を可愛がってくれて、イスラムに関しても、自分のペースで少しずつ学んでいけばいいよと、私に何かを強要することは全くありませんでした。

儀式は渡航して数日後にひっそりと自宅で行われました。
家族は、インドの他の一般家庭と同じように親族を何百人と呼んで、1週間とかかけて結婚式を挙げたいと言っていたのですが、彼はそういう派手なことが嫌いで、「人々の好奇の目に晒されるのは嫌だ」と激しく抵抗したので、自宅でひっそり行うことになりました。
私はどうせ結婚するなら、その派手なインドの結婚式を体験してみたかったのですが笑、両親がまだ心の準備ができていない中勝手にインドに来てしまった後ろめたさもあり、心のうちではこのひっそり結婚式で安心していました。


あれから二年が経ち、私たちは日本とインドをお互いに行き来したり、東南アジアをちょっとバックパックで回ったり、時々遠距離生活、時々喧嘩もしながら、仲良く夫婦生活を送ってきたのですが、久々にまた大きな山に直面しています。

私はインドがすっかり気に入ったので、若くて元気なうちはインドに住みたいと思っています。
将来的には、二人で自然の豊かな場所で自給自足生活をするという夢があるのですが、それを始める前に私は20代のうちにもっと世界を見たいし、もっといろんなことに挑戦したいと思っています。インドに住むことも、子どももいない自由な今だからこそ挑戦できることです。

しかし彼は心底インドが嫌いで笑、早く日本に住みたいと言い続けてきました。
二人でインドに住む分には、私は簡単にインドの長期観光ビザを取れるし、彼の実家も私を快く受け入れてくれているので、住む場所にも生活費にも全く困りません。
しかし日本に住むとなるとそれはそれはもう面倒な手続きが必要になります。数週間の観光ビザをとるだけでも、私は何枚もの書類を用意しなくてはならず、口座の残高を補充して、往復の航空券も用意して、二人の馴れ初めやらラブストーリーをまとめた書類を作って信用材料にして、1ヶ月くらいかけてやっと彼の観光ビザが手に入ります。

しかしインドにせよ日本にせよ、長く住むなら配偶者ビザが必要で、そのためには籍を入れなくてはなりません。私たちは2年前にイスラム式の結婚の儀式はしたものの、まだ籍は入れていませんでした。観光ビザで十分だったのと、お互い無職で放浪している状況で、両親に余計な心労をかけてまで無理に入籍したくなかったからです。

私は入籍するのはお互いに経済的に自立して、子どもを産む段階になってからで十分だと思っています。(多分、結婚って普通はそんな感じですよね?w)
今私たちはそれぞれインドで求職活動をしていますが、あまり学歴のない彼が満足のいく給料を得られる仕事はなかなか見つからず、フリーランスでたまにバイトが入る時以外は、実家でゴロゴロしています。
私はジャーナリストになりたいという夢があるので、お金にはならないですが執筆活動をしながら求人情報を探していて、それなりに毎日忙しくしています。

そんな実家の脛齧りをしている彼の様子を見ていると、私の両親を無理に説得して入籍して、日本で二人でゼロから生活を始める気には到底なれないのです。笑
日本語が全く話せず、学歴もない彼が、日本でできる仕事は本当に限られています。悲しいですが、日本の外国人労働者に対する扱いは信じられないほどひどいので、彼にそういう思いをしてほしくないですし、彼が仕事を見つけられるまで、仕事の見つかりやすい都市部で高額な家賃を支払いながら、私が一家を支えていくぞーー!!なんて気も全くありません。

というわけで、私たちは現在インドの彼の実家でお世話になりながら、求職活動をしています。

私はインドの多様性がとても好きで、もっとインドを深く知りたいと思っています。だからインドでジャーナリストとして生きていけたらそれはもう最高なので、この夢に向かって準備を進めています。

ジャーナリストですから当然、外に出て取材します。家にいてネットの情報だけで記事を書くジャーナリストなんて聞いたことありませんし、私はとにかくインド中を回って取材がしたいのです。

と、いう話をしばらく前から彼にしているのですが、猛反対されています。
実家の脛齧りをしてゴロゴロしている彼に、です。笑
インドは危ないから、私に一人であちこち行ってほしくないのだそうです。
かなりインドアな彼は、一緒にバックパックで東南アジアをちょっと旅しただけでもかなり疲弊してしまい、私が行きたい場所もあまり行けなかったので、一緒に着いてきてもらうのは嫌ですし笑、彼としてももう私に着いてくるのは嫌みたいです。

こんな、女一人で外を出歩くような妻はほしくなかったそうです。私は大学3年生の時に一人でドバイに行って、1ヶ月ほどドバイの外国人労働者について調査していたのですが、その時に彼と出会いました。
…だったらそういう女だってことは出会った時からわかってただろ!!!w
大人しく家にいて、リモートワークでもしててほしいそうです。半年前、リモートワークの仕事で鬱になって退職したんですけどね。忘れちゃったんですかね。

それに極めつけは、もはや安全面の問題ではなく、私が「夫の意見を尊重せずに」外を出歩くことが許せないらしく、先日はアパートの敷地内の庭を一人で散歩しに行っただけで、離婚騒動になりました。笑
そんなに言うことを聞きたくないなら、そんなに一人であちこち出かけたいなら、夫婦でいる必要ない、と。

…いや、散歩も自由にできず、夢も追いかけられず、「夫の言うことを聞く大人しい妻」を演じないといけないなら、こっちから御免です。
なんでそんな束縛ばっかしてくる実家脛齧り男の妻でいないといけないんですか?笑

もうこれは文化的な問題なのか、彼個人の性格的な問題なのか、全くわかりませんが(多分後者ですね)、こればっかりは受け入れられないので笑、しばらく実家を出てインドで一人暮らしを始めるつもりです。

でもこのアジアのバックパック旅で彼の分の旅費も私が出してしまったので貯金もなく、あまり長くインドにはいられません。残りわずかな期間ですが、あと1ヶ月くらいのうちに仕事を見つけて、一旦日本に帰国してバイトでもして少し貯金を作って、また戻ってこようと思っています。


人生、どうなるかわかりませんね〜!!☆
また彼が折れるような気がしていますが、本当に別れてしまうのかもしれません。
人の出会いと別れというのは本当に儚いですね。

この束縛問題以外では、彼は本当に優しくて気が利いて、マイペースで、一緒にいてとても楽しかったし、幸せでした。
今は私はジャーナリストを目指していて求職もしているのでガツガツしていますが笑、いずれは自然の中でひっそりと自給自足の生活をしたいという夢も変わっていません。二人で家を建てて自然の中でのんびり暮らせたら、どれほど良いでしょう。

絶賛喧嘩中ですが、次もまたこのnoteを更新できることを祈っています。笑

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