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少年院 №11 初等少年院

 考査寮での生活は過酷ではあったが、身体も徐々になれ少年院での生活の基本も身について来た。新人教育の場であるこの考査寮は、2週間と言う期間ではあったが、不安や恐怖による孤独感や連帯責任を強いられる為、自然と仲間意識が芽生えていくのであった。でも親しみが生まれて来た頃には、一般寮へ別々の寮へと配属されるので、必ずバラバラになってしまうのだった。

  

 俺にも、1日違いのほぼ同期と言える仲間が出来た。その人は暴走族の間では超有名な紫連合をまとめる総長の木嶋さんだった。俺よりも年は2つ上で背は高く、かなりのイケメンだった。俺はこの木嶋さんと、教官の目を盗んでは良く喋っていた。木嶋さんの罪名は共同危険行為だった。簡単に言えば暴走である。複数の暴走族をまとめその頂点である木嶋さんの存在は、少年院でも一目置かれていた。俺も、噂では数々の武勇伝を聞かされていたが、イメージとは似つかず、気を使う事無く会話が出来た。      木嶋さんの素性をしれば、誰もが一歩後退した。俺は年齢が一番低く幼い為必ず舐められるが、負けん気が強く態度のでかい俺に対し、

「その年で年少来るとは気合い入っとんなぁ!!」

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