瞠目結舌の破片
飛び散る破片が、あなたを傷つけてしまわないか。
この柔い白い花弁が、時の経過と共に、黒くくすんでいくから。
端から端から闇に染まっていくのを、私と共に、どうか、静かに…ここで見ていて…
あれから、もうどれ程、経ったのか。知りたくもないことを言わないで。
悲しみも、悦びも、この憂いの園では、まるではしゃぐ子供のように、足早に駆け抜けていくけれど。
誰も繋ぎ止める術を知らずに、廻る針を睨むしかできない。
あの花びらを見て。
闇から、闇が抜け落ちて、透きとおる形骸の美しきことよ。
触らないで。
崩れてしまったら、もうもとには戻らないの。
壊すのは、わたしがするから。
あなたはただ、この破片が、眼にささらないように、その瞳でしっかり見ていて。
世界はいつも瞠目結舌。
だって、そうでしょう?
わたしも、あなたも、飛び散っては、またもとに戻ろうとするだけでしょう。
このかき集めた破片の巻き戻しを何度も何度も。嫌と言うほど。
何度も何度も何度も。
繰り返し繰り返し。
ねぇ。
その破片で、手が血だらけじゃない?
その血まみれの手で、
私に触らないで。
私に、近付かないで。
fragment の花はもう要らないの。
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