私も、本当の私を、探してた。
青海エイミーさんからメッセージが来たのは、突然でした。
私がnoteにアップしているイラストを、次の本の表紙に使ってもいいだろうか、というお話でした。
エイミーさんは、noteのカバーに私のイラストを何度も使ってくださっていたこともあり、全く知らない方ではなかったのですが、こんなメッセージをいただいたのは初めてでした。
イラストの使用に関しては、大丈夫ですよ、高解像度のものを用意しますね、と返したと思います。
それが、まさか私まで、「本当の私」を探す旅に出ることになろうとは・・・。
私はかつて、漫画やイラストを描いていました。
一応プロでした。
ところが、だんだんと描きたいものが無くなってしまったのです。
イラストの仕事は依頼が来てお受けするものですが、漫画の仕事は自分から持っていかなくてはならないことが多いのです。
企画というか、ネームを出して、編集会議で通ると掲載号が決まり、締め切りが決まるというのが、当時の仕事のやり方でした。
最初から掲載が決まり、発注されることもありましたが、だんだんと少なくなってきたと思います。
というのも、私の方から、もう何も、出せるものがなくなってしまったのです。
漫画の仕事から遠ざかるとイラストの仕事にも縁がなくなってきました。
それから、全く違う環境で、全く違う仕事をしながら、細々と生きてきたのが今の私です。
絵の描き方も忘れかけていたのですが、時々noteに投稿して、どんな絵が描けるかな、と感触を確かめていました。
そして、私には顔が描けない・・・何より、思ったように目が描けなくなってるなぁということに気がついてきました。
似顔絵や目的のはっきりしている説明的イラストなら描けるのですが、オリジナルの人物となると、どんな顔をさせていいかわからない。
目の焦点が合っていないような感じになるのです。
そういう訳で、noteに出している初期の頃の絵には顔のない絵が多いです。
目をつぶっているものもあります。
いつか、この子の目が開く日はあるのだろうか。
そう思いながら描いた記憶があります。
エイミーさんの表紙の件はそれから色々あって、既に描いていたものを使うはずだった当初の案が、何と新しいものを描く方向になっていきました。
それはそれで光栄なお話です。
でも、果たして今の私に描けるのだろうか・・・?
細々と、静かに生活する毎日に慣れてしまって、それも決して悪いものではなかったので、これでいいじゃん・・・と思っていました。
でもどこか、自分を使い倒していないなぁとも感じていたのだと思います。
本の表紙を描くことは、そんな生ぬるい生き方をしていた自分を、かなり追い込む作業になりました。
イラストの仕事はしたことがあっても、誰かの書いた本の表紙を丸ごと手がけることは、今までありませんでした。
自分のものなら適当にあきらめもつくのに(それもどうかとは思うけど)。
表紙だから、エイミーさんの本だから、私だけの問題じゃないから、適当に逃げるわけにはいかない。
ここだと思える所まで、なんとしても行くんだ。
いつの間にか、本の中でエイミーさんが語っていたことと同じようなことを呟いていました。
実は・・・夢でうなされたこともありました。(テヘ)
イラストの案は二転三転し、直前になってガラリと変えてしまったりもして、本当に申し訳なかったです。
でも、その中で私は「顔を描く」ことを取り戻していったのかもしれません。
何度も言葉を交わして、形を探して、最終的に出来上がったのは・・・
この、ずっと描けなかったはずの顔のアップだったのだから。
できた子の顔は、なんだかフレッシュで、自分が描いたような気がしない気もします。
これでいいのかな、という気持ちはいつもあるのだけど、見ていると、ついこの子の視線の先を探していて・・・しばらく見つめてしまう自分がいます。
この本を見かけた方が、同じように、ふと、この先に何があるのかな?と思って手に取ってくださったらうれしいなと思います。
エイミーさんの「本当の私を、探してた。」は、10月7日発売です。
クンダリーニヨガとの出会いと、ヨガティーチャーになるためのストーリー。
なんて書くと、ドラマチックでポジティブな物語を想像しますが、その時エイミーさんが住んでいたのはマレーシアです。
周りとは言葉も通じない。
簡単なことすら自分にはできない、わからない。
孤独と劣等感に苛まれる日々の告白です。
自分ができないことに怒り、みじめで悔しくて泣きながら、それでもあきらめなかったティーチャートレーニング。
それは一体何故だったのだろう。
この先に、一体何があるというのだろう。
ボロボロになりながら勉強を続け、最後の最後に見た景色は・・・
クンダリーニヨガは「気づきのヨガ」とも言われているそうです。
エイミーさんが見たものは、本を読んだ人の心の中をも照らし、きっと何かを気づかせてくれるだろうと思います。
本を読むと、エイミーさんのヨガもやってみたくなると思います。
こちらで申し込みできますよ!
エイミーヨガ The Space
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余談ですが、実は今、漫画を製作中です。
企画物なので販売される訳ではなく、私が作った物語でもないのですが、久しぶりにコマを割ったり人物に表情を付けたりするのを新鮮に感じています。
とはいえ、相変わらず力不足で、ボロボロになりながらのたうち回っている真っ最中なのですが。
漫画制作から随分離れていたので、最初このお話がきた時には、お受けするかどうかとても迷いました。
もしエイミーさんの案件がなかったら、お断りしていたかもしれません。
うんうんと自分を追い込みながら毎日絵を描いていた時間が、次へ進む勇気を育ててくれたのかもしれないなと思います。
こんな機会をくださったエイミーさん、本当にありがとうございました。
絵に取り組めた時間はとても幸せなものでした。
この本が、多くの人に、ちょっとした「何か」を届けることができますように。
いただいたサポートは、日々を少しだけ優雅に味わうために使わせていただきます。ありがとうございます。