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ツラツラ小説 膝の裏の骨。

ツラツラ小説。 膝の裏の骨。


明け方。明るくなるのが早くなってきた。
寒い、憂鬱、喉が痛い。ネガティヴなことを考えるたびに生きてるなぁと実感する。生きることはネガティヴと同居することなのかもしれない。軽く伸びをして、発声して、ルーティンをする。繰り返し、毎日が送られている証明、日常から地続きにある今日。
毎日見ているはずの夢も1個くらいしか思い出せない。言うべきことを忘れ、何をすべきかも忘れた夢を見て冷や汗をかいた朝。
仕事に行く夢を仕事に行く前に見た日なんかには疲れが倍になる。思えば幸せな夢って久しく見ていない。前はどんな夢を見ていたか。思い出せなくなってきた。

つけっぱなしにしていたテレビからは、大したことない商品を大袈裟なリアクションで紹介している朝の番組がやっていた。これもいわば通例行事のようなものだ。一般常識にもなりつつある。そうして生活が決まっていき、生き方なんかも決められる。レッテルを貼られ、ラベルを貼られ、消費され、土に還っていくのか。

私は怖くなってきた。膝の裏の骨を触ると、骨を感じる。祖父にも祖母にも父にも骨があった。物凄い炎を使って焼いても骨は残る。骨は生命だ。骨は強さだ。生きている。生きていた。そう実感させてくれる。
骨に触れ、朝早い時間から、私は生を感じている。ネガティヴになっても、落ち込んでも、意外と終わらない毎日はなんだかんだ愛おしいものなんだと思う。そんな毎日をもっと好きになれるように。乾杯。

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