木田 りも

北海道の人間。創作活動に興味を持ち始めました。生きた証を残したい。脚本。小説。独り言。

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マガジン

最近の記事

小説 廃屋の奥の部屋の写真と、普通に生きている僕が交錯する部分。

小説 廃屋の奥の部屋の写真と、普通に生きている僕が交錯する部分。  その廃屋は、人里から随分と離れたところにある。もちろん既に人なんていないし、山奥で木が密集し立ち入りづらいことから、いたずらしにくる人も来ないようなところにある。昔、ここは、どこにでもあるような1つの村で、なんてことない普通の生活が営まれていた。座椅子が2つ、テーブルが1つ。もう黄ばんでしまったタンスと、蓋が空いた炊飯器。泥で汚れた昔のパッケージのレトルト食品。そして隅の奥の、キッチンの、奥の部屋に、飾られ

    • 小説。 名前にできない焦燥。

      小説。 名前にできない焦燥。 ____________  左足が重い。普段、左重心で歩いているからか、右足を上げるよりも左足を上げる方が重く感じる。歩いていると少しずつズレを感じて、身体の歪さを感じる。今日も真っ当な人間のふりをする。正社員として会社に入ってからもうすぐ4年目。仕事も板についてきたことと未知数なことが半々くらい?になってきたような気がしている。今必要なのは経験値だと幾度も言われ続け、少しだけ毎日が気怠くなりつつある。仕事で動いている時の方が生き生きしている

      • 小説。 夢、首と欲。可能性の先。

        『私には3分以内にやらなければならないことがあった』 と、私の心が語りかける。先輩と過ごした時間などあっという間に過ぎた。2人きりの部室。最後の時間。好きだった先輩が目の前にいるのだ。夢が現実になる瞬間がもう少しで訪れようとしている。思えば長い長い道のりだった。  夢は叶えるものだけど、叶わなくても夢は夢と、どこかの歌詞で聞いた歌詞が頭の中で反芻する。私は、辿り着いたのだ。成し遂げて、その先へ進もうとしているのだ。 _________________________

        • 小説。 朝、始まり。言葉がぼやけて、まだ。

          小説。 朝、始まり。言葉がぼやけて、まだ。  遠くに見える「街」を見ながら、冷たい空気と会話をする。外が明るくなり、新たな朝がやってきたことを知る。何度も何度も朝を迎えて、いつもと同じような、しかしいつもとまた違う朝を迎えていることを世の中は知っている。世界は変わる、人も変わっていく。思考も思想も便利さも自由さも、昔あった良いことも悪いことも淘汰されていくみたいで、平均的にみんなが幸せになっていくような世界が、僕は少し嫌なのだ。いつまでも変わらない朝とか太陽とかそういったも

        小説 廃屋の奥の部屋の写真と、普通に生きている僕が交錯する部分。

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        • 短歌
          2本
        • 短編小説
          11本
        • 小説
          6本
        • 独り言
          10本
        • 思ったこと。
          4本
        • 脚本
          0本

        記事

          小説。 ぬるい部屋と小さいテレビの音。あと、1つの芯。

          小説。 ぬるい部屋と小さいテレビの音。あと、1つの芯。  時計の針が、時間を進めている。その音だけが響いてる部屋。午前7時32分。君と一緒に寝た日。目が覚めた時間を覚えている。僕は君の額にキスをして起きる。君が起きる前にお風呂を洗い、沸かし、ご飯とお茶を用意する。君が起きた時に何不自由ないように。君が僕に気がつくように。ストーブはエコモードにして動かしているから暖かい部屋。2人で過ごす朝、時計の針が止まらず、昼過ぎ。もう冷めたピザまんが2人の時間の経過を明らかにするみたいだ

          小説。 ぬるい部屋と小さいテレビの音。あと、1つの芯。

          ツラツラ小説。ザットイズメリークリスマス。

          ツラツラ小説。 ザットイズメリークリスマス。  カーテンを閉めた部屋の中から、窓を開けて外を眺める。僕の部屋に陽は差し込まないが、一本先の道路が照らされてるのを見て、不意にそこに行きたいと思った。外に出てみると、思ったより寒かったのと、思ったより太陽が眩しくて目が眩んだのと、それを上回るさっぱりとしたスッキリしたような気持ちにもなった。  暗い部屋か蛍光灯で照らされた部屋を行き来していたため、自然の光に触れたのは久しぶりだった。僕は、今、陽を浴びている。全身で浴びている。

          ツラツラ小説。ザットイズメリークリスマス。

          小説。 普通の実証。

          小説。 普通の実証。 ・前書き  この話はただの僕の告白です。 何か自伝のようなものです。小説なんて大袈裟なことは言えないけど、こんな小説があったって良いのではないかと思って小説にしました。 はじまり。  うまくいかないものはうまくいかない。 そんなことはわかっているのだ。ずっと待っていた。ずっと暗い夢を見ていた。ずっと不幸になろうとしていた。あなたがいないところに幸せを感じないように、あなたがいなければ幸せを感じないようにしていた。普通とは何かずっと模索している。今も

          小説。 普通の実証。

          歌集 世の中の 希望というもの 全てが叶えばいいのに

          すすすすす 好きですと言った 彼の言葉 1行無駄にして しまうくらい愛しい 朝起きる。なんてことない 1日も 起きているって 伝えるんだ 良い返事を もらえた瞬間 ゴールに 辿り着いてしまった 気がしたんだ ああそうか 付き合ってるのか そういえば 既読つけずに 2度寝する俺 私といて 楽しいのかと サイコロ振って ネガティヴにしか 進めなかった 僕といて 楽しいのか 考えていた まあ、今は、 僕→俺になったけど 君はいつ、 あなたはどこ、 私は今? どこにあるの

          歌集 世の中の 希望というもの 全てが叶えばいいのに

          小説。 時間、大人。ボウフラ。洗顔。そして気付き。だから継続。

          ・最初で最後の導入。  自意識が繁殖している。 薄暗い夢を見た翌日のこと。本当は難しい単語を羅列した小説を読んだりして自分にも書けないだろうか考えたし、売れる方法を考えて、もっと自分らしくない本を書いたりしようかなんて考えたのだが、気分じゃない時にそんなことをすべきではない。いつ雨が降ってもおかしくないような天気が続いていて、刻一刻と、休憩時間は減っていく。明らかなのは、気分が憂鬱なこと。怠惰な日々を過ごし、次の予定までまるでサナギのように静かに過ごしているということ。こんな

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          小説。 時間、大人。ボウフラ。洗顔。そして気付き。だか…

          ツラツラ小説。 P.M9:00

          ツラツラ小説。 P.M9:00 夜風に当たりながら、街をふらついてみる。 コカコーラの炭酸が抜け始めた頃、僕は、無防備で街を歩いていた。ニヤニヤしながら過ごしていた毎日が、いつのまにか終わっていて真剣な顔したもう1人の自分が真剣に生きろって諭してくる。そんな自分からずっと耳を塞いでいた。学生であろうとして、自由であろうとして、自由を謳歌しようとした。ぬるくなって美味しくなくなったコーラはもう誰も買わない。コーラを作れる世界にたった2人しかいない人間ですら歳をとるのだ。僕が

          ツラツラ小説。 P.M9:00

          独り言 環境のせいにする。

          生活に限界を迎えていた。 だから、今日は、急性胃腸炎になって会社を休んだりしている。朝早く起きて仕事に行ってそこから休みなく演劇の稽古をしている。 非常に充実しているし、芝居を理由に仕事を休む気もサボる気も手を抜く気もない。また、仕事わ理由に芝居の稽古の手抜きをするわけもない。そんな生活を頑張って続けていたら経、ポッキリ折れたなって思った。もうだいぶ回復して明日には復帰出来る。経だけで済みそうな具合だから良かったけど、自分の体のSOSは信用してすべきだと感じた。周りのせいとか

          独り言 環境のせいにする。

          小説。 20人入るカラオケの部屋。

          小説。 20人入るカラオケの部屋。 ・参考曲  いきものがかり 『風が吹いている』       ・この物語はフィクションです。 ______________________ ★  金曜日の夜だからなのか、カラオケは多くの部屋が埋まっていて60人くらい入るパーティールームしか空いてないって言われた。そのあと、やっぱり20人くらいの部屋を提案された。なかなかこんな経験はなかったので、僕たちはその部屋を選んだ。 ______________________ 「好きな人が

          小説。 20人入るカラオケの部屋。

          小説。 逆光。

          小説。 逆光。  ファインダー越しにあなたを見つめる。素敵な笑顔のあなたがそこにいて、愛おしさが胸を締め付けている。 瞬間を区切りたくて撮ったはずの写真に、その顔は映っていない。僕が紡いだ思い出の中から、最も容易くいなくなってしまったことを、僕はなんだかふわふわとしたまま重要じゃないものとして流れていった。毎日みたいに。 ______________________  財布から落ちた白い紙。 100円玉を追いかける。  落としましたよ、って言われた。 君への地図。それ

          小説。 逆光。

          小説。 幸せよ。どうかこちらへ。

          小説。 幸せよ。どうかこちらへ。  気がつくと泣いていて。 気がつくとそこにいるのが自分でなくても誰かであっても回る世界を嘆いていた。  そして、人が人につけるラベルを誰かに貼って、気づいたら、誰かに貼られていたそれを剥がしたくなって。でも、現実はこのようなものでもうすでに出来上がっていて、常識から弾かれた魂のこもったそれらは選ばれることもなく捨てられていく。そこに宿っていた魂の行く末を僕はしらない。一度迷えてしまい機会を失った魂。移ろっている。虚ろに。 ________

          小説。 幸せよ。どうかこちらへ。

          ツラツラ小説 膝の裏の骨。

          ツラツラ小説。 膝の裏の骨。 明け方。明るくなるのが早くなってきた。 寒い、憂鬱、喉が痛い。ネガティヴなことを考えるたびに生きてるなぁと実感する。生きることはネガティヴと同居することなのかもしれない。軽く伸びをして、発声して、ルーティンをする。繰り返し、毎日が送られている証明、日常から地続きにある今日。 毎日見ているはずの夢も1個くらいしか思い出せない。言うべきことを忘れ、何をすべきかも忘れた夢を見て冷や汗をかいた朝。 仕事に行く夢を仕事に行く前に見た日なんかには疲れが倍に

          ツラツラ小説 膝の裏の骨。

          脚本 みなも。

          脚本 みなも  ____________________ (照明変化)(上手奥からソースフォー。海底に差し込む光) (水に揺られ、真っ白な女の子が現れる。) 夢、始まり。 (音楽、Ⅿ➀『ドビュッシー水の反映』) (夢の中で言葉を発するように、実感のないようにぼんやりと) 曇り。人混み。淀み。つまり、苦しみ。 滞ってて、ドロドロ、もやもや、ガサガサ。 喉に詰まって息がしづらい。 汚れ、埃、苔。ゴミ。藻。昔。むかし?(ふいに昔という言葉を恐れる) 昔。 ぽぽぽぽぽぽ

          有料
          300

          脚本 みなも。