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【掌編小説】結婚式場の下見に行って来た♪

 友人と、久々に、立呑屋たちのみや

「乾杯!」
「乾杯♪」

 ー チン♪ ー

 とりあえず頼んだ生中なまちゅうを、お互いにグビグビッ! と、ひとくち、ふたくち。

 付き出しのゴボウサラダをつついていると、

「俺、昨日、彼女と結婚式場の下見に行って来たんだよね~♪」

 と、友人からの突然の告白!

「あ、そうなんだ~、……って、えーッ?! おまえ、彼女いたの?!」
「テヘッ♪」
「『テヘッ♪』じゃねえよ! へぇ~ッ! そ、そうなんだぁ~! アハハ~……」

 正直、驚いた!

「彼女、いくつ?」
「25」
「えーーーッッッ!!!」
「えっ? 何か、おかしい?」
「いやいやいやいや、今時、別におかしかねぇ~けどさぁ~、年の瀬に、なかなかの、年の差だよ」

 友人も私も65歳。40歳差のカップルかぁ~。

「へぇ~、65歳で、お65むこ(婿)さん! そりゃ、おめでとう♪」
「何が?」
「『何が?』って、おまえ結婚するんでしょうよ?」
「しねぇ~よ!」
「何でだよッ! その彼女と結婚するから、結婚式場の下見に行ったんでしょうよッ?!」
「その彼女は彼氏と結婚するけど、俺とはしねぇ~よ」
「おまえの言ってる『彼女』って……」
「ただ単に、三人称単数の意味だよ! sheシーだよ、she~!」
「ただ単に、三人称単数の意味での『彼女(she)』と、ややこしいとこ行くなよ!」
「いいじゃねぇか」
「おまえとその彼女、どういう関係だよ?!」
「俺は彼女のアッシ~くん♪」
「バブルかよッ!」
「俺は、彼女のお屋敷に雇われてて、運転手と雇用主の関係だよ」
「そう言えやっ!」
「つまり、彼女(she)は俺を雇っているっす(s)♪」
「あっ、何気に、三単現の『s』付けた!」
「あっ、分かっちゃった?」
「分かっちゃった分かっちゃった~♪」

 こういうバカ話に花が咲くと、酒が進むっす(s)♪

 あっ、三単現のs付けた♪

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