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『三日月』にまつわるエトセトラ

ついこのあいだの話。
近所のカラオケスナックの前を通ったら熱唱が聴こえてきた。
「がんばっているからねーって、つーよーくー-なるからねーって」
この曲、好きな人多くないですか。
中でもオッサンでこの曲好きな人って多くないですか。
絢香の『三日月』。

私的に「なんでおじさんってこの曲好きなんやろランキング」上位に入る。
統計をとった訳じゃないからあくまで「私的」やけど。
あの歌詞。あの歌い方。あの歌詞。
エモいなんて言葉もなかった2006年にリリースされ、
まさかの2022年月見バーガーCMでも使われるなんて。
根性の曲がっている私は初めて聴いた時、
「なんて押しつけがましい歌詞なんだ」と思った、でも唸った。
狙って作った訳じゃ絶対ないと思う。でも、まさに〝エモい〟の極みみたいな曲やん、って。

と、好き勝手を言うのには訳がある。

この曲を女形で踊るオッサン役者が居た。
過去形。今はどうなのか知らないし、観てもいないのでわからない。

若い頃女形で名を売った。
女形にはプライドと自信がある。
旅芝居の世界には幸か不幸か
こういうオッサンにキャーとなる客も少なからず居て、
オッサンになってからも若いかわいいファンがついた時代があった。
よくある「贔屓の娘」「贔屓の孫」的な当時高校生だか中学生だとかってやつだ。
だから嬉しくて、この曲と、HYの『NAO』だったか『366日』も女形で踊っていたという。

ちなみに、当時HYを踊る役者は〝あやしい〟という通説があった。
舞台から客席への〝私信〟ってやつだ。
でも客席の女性たちはある意味嫉妬も含めてそれを友人同士で語り合う。それも含めて旅芝居だったりも(も)する。

話を戻す。

そんな若いかわいいファンとお別れになった後、
またまた奇特な、若くはないけれど頑張ってくれるファンがついて、
彼女のリクエストで踊ったというのを私は一度だけ観た。
〝がんばっているからね〟
手を両方とも拳にして胸の前でグーとして、笑顔を見せていた。
何その振り。Theアテ振り。✊って。笑顔って。
しかもふわふわの洋髪で、キラキラの帯で、おひきずり(という女形の衣裳)で。

「あほちゃうか」

その客はめっちゃがんばっていてがんばりすぎていた。
がんばりすぎているからしんどくなってややこしくなっていたりもして、私も関係ないのに巻き込まれたりした。
自らの生活をオール注ぎ込むようにしてがんばっていた、けれど結局は他人である。
オッサンはいわゆる単身赴任座員で、遠く離れた地に嫁と娘と孫がいるのである。
どこから聞いたのか、その曲その舞踊が「過去に居た若いかわいい子のための」だったと知って、リクエストをした彼女は、観て、ヤキモチを妬いて、後でやはり喧嘩になったらしい。

ふわふわで、拳グー。

恋と愛と、ふわふわの、拳。

元気かなあ。

カラオケスナックから聞こえてきた熱唱は、ちょっと泣きそうな声にも聞こえて、
そんなことを思いだした。
彼女にもいろんなことがあるのかな、あるのだろうな。
とか言って、お客さんの前で、泣きながらも、心の中で舌をぺろっと出してるのかもしれないな。それなら、それくらいなら、いいな。両者共に。

月見バーガーってもう終わったっけ。
でもまた来年出るよね。ジャンキーだけど美味いよね。

昨日、同じ場所を終電ちょっと前くらいに通ったら
違う曲と合いの手が聴こえてきた。
「キャンユーセレブレぇぇぇ~」「はぁい!はぁい!」
「キャンユーキスミー、とぅなぁいと」「いえー!」
そんな歌とちゃうよね?! 合いの手いらんよね?

でもでも、アイキャンセレブレイト、と意味もなく思いながら帰りました。
この英語絶対おかしいってずっと思ってるんだけどもういいや。


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これ書きかけてアップする前に放っていた今日。
街を歩いていたらミスチルの『シーソーゲーム』が耳に入ってきました。
恋なんていわばエゴとエゴの、ですね。いえーい、いえーい。笑

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大阪の物書き、中村桃子と申します。 
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
普段はラジオ番組の構成や資料やCM書きや、各種文章やキャッチコピーやら雑文業やらやってます。
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舞台、演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。酒場好き。いや、劇場が好き。人間に興味が尽きません。

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