ももぐらんぱ

臨床工学技士→病院の医療・サービスの質を改善を推進する部署へ|TQM(総合的品質管理)…

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臨床工学技士→病院の医療・サービスの質を改善を推進する部署へ|TQM(総合的品質管理)、QC(クオリティコントロール)、組織開発などのスキルを取り入れて、医療・サービスの質を向上しています。|看護師の妻、心優しい娘、ヤンチャな息子、猫3匹

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  • これからの医療者のシゴトのしかた

    これからの医療者が納得できるキャリアを歩むために必要な、シゴトのしかたを発信していきます。

  • 医療サービスの質向上論

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    笑っているパパには、きっと福が来るはず。 笑っているパパになるために、日々感じたことを。

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医療における「仕事の範囲」は「野球の守備範囲」であるべき

病院で医療の質を改善するにあたり、他業界のことも勉強せねばなりません。 車の生産で世界に誇るトヨタ自動車のことを知らないで、質管理について語ることはできないと思い、大野耐一元トヨタ自動車副社長著「トヨタ生産方式」を読んでいます。 その中で、印象的だった文脈があったので、ご紹介したいと思います。 それは、医療業界の縦割りにメスを入れ、タスクシフトシェアを進めるうえで重要な考え方です。 「第二章 トヨタ生産方式の展開」に「チーム・ワークこそすべて」という節があります。これ

    • 「医療の質を改善すること」のコスパタイパがわかるのはだいぶ先かもしれない

      臨床工学技士として臨床で働くことに一区切りをつけて、医療の質を改善する部署に異動してから、はや2年が経過しようとしています。 2年経過して気づいたことのひとつを、今日はシェアしたいと思います。 それは、「医療の質を改善すること」は、コストパフォーマンス、タイムパフォーマンスが悪く見えるということです。 コストパフォーマンス、タイムパフォーマンスという概念が流行しています。なるべく少ないコスト(お金)や時間(労力)で、得られる効果や満足度を最大化できるか、ということです。

      • 医療の質改善のための目標の達成の仕方

        前回のnoteでは、医療の質のためにより具体的な目標を立てました。 今回のnoteでは、目標をどう達成するかについて考えていきたいと思います。 ここで重要になってくるのは、目標達成までの手順をより細かく設定するという点です。 1つの手順は、できれば1日~3日くらいで達成できるような粒度にしておきたいです。 なぜなら、ひとつの手順が一か月もかかるものだと、絶対に人間は忘れるからです。 そのためにも、より重要になってくるのが、前回のnoteで共有した「目標をより具体的に

        • 無関心ゆえの優しさほど甘く、残酷で危険ものはない

          あなたは、優しい上司や先輩、厳しい上司や先輩、どちらが良いですか? 「今、ここ」での感情やストレスを考えると、優しい上司や先輩のほうがいいんですが、本当に将来を考えると厳しい上司や先輩のほうが良いと思っています。 無関心ゆえの優しさほど甘く、残酷で危険なものはないです。 自分が全く仕事で通用しているレベルに到達していないにも関わらず、無関心な優しさで誰も手を止めて注意をしてくれず、本当の自分のレベルが隠されたまま、年数だけ経っていくという事案が散見されます。 パワハラ

        医療における「仕事の範囲」は「野球の守備範囲」であるべき

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        記事

          流動性がないと組織が淀むから専門職はスペジェネ両方であるべき

          「医療専門職のスペジェネ論争」には、個人的なキャリアという意味では自分の中である一定の答えが出ていますが、今回はそれを組織論的にも捉えてみたいと思います。 組織的に捉えたとしても結論は一緒であり、「ジェネラリストでもあり、スペシャリストでもあれ」でございます。 医療の現場、とりわけ医療専門職の現場は、流動性がありません。故に組織が硬直化する傾向にあります。 皆さんご存知のように、臨床検査技師が、臨床工学技士の部署に異動したり、理学療法士が放射線技師の部署に異動したりする

          流動性がないと組織が淀むから専門職はスペジェネ両方であるべき

          「想い」と「想いを実現する能力」両方ある人は稀

          医療の現場では、医療者の「想い」で動いていると言っても過言ではありません。 今の時代にはそぐわないのかもしれませんが、自身を犠牲にして、身を粉にしてきた諸先輩方の努力があったからこそ、ここまで医療の技術は発展してきました。 時代は移り変わろうが、患者さんへの想い、というものが医療を動かす原動力であることには変わりありません。 医療者になりたいと思った方の動機は様々だと思いますが、地域住民のために、患者さんのために、貢献したいと思って資格を取ろうとする方も多いのではないで

          「想い」と「想いを実現する能力」両方ある人は稀

          タスクシフトシェアの実現には高度なマネジメント能力が必要

          医師の働き方改革に伴う法令改正によって、いくつかの医療専門職の行うことができる行為の範囲が広がりました。 一連の流れは「タスクシフト・シェア」と呼ばれており、自分たちの業務をだれかにシフト、シェアしたり、他職種の業務を自分たちにシフト、シェアすることで偏在している業務を平準化していこう、という流れです。 法令による業務範囲拡大に対して、実際の技術習得ができるように、告示研修が行われており、国家資格のアップデートが行われているところです。 しかし、法令が改正され、研修を受

          タスクシフトシェアの実現には高度なマネジメント能力が必要

          医療の質改善のための目標の立て方

          前回のnoteでは、問題点に優先順位をつけて、解決すべき問題点をひとつに絞りました。 さて、いよいよ改善を実行するにあたり、重要となってくるのが目標の設定です。 目標をあらかじめ設定しておくメリットは、「うやむやにならない」これに尽きます。 問題を解決すること自体が仕事ならともかく、ちゃんと言語化された明確な目標を掲げないと、日々の忙しい臨床業務に追われて、改善は埋もれていきます。 そうならないためにも、目標はなぜやるのか、何をやるのかが一目でわかるように具体的に明文

          医療の質改善のための目標の立て方

          心理的安全性と職業倫理(モラル)は医療安全の両輪

          安斎勇樹さんのVoicyが、本当に学びが深くて、ここ最近ずっと拝聴しています。 「#4 ”心理的安全性の誤解”の誤解」で話された内容が非常に学びが深かったのでシェアします。 「心理的安全性」は、ビジネスだけなく「医療安全」の分野でも注目されています。 心理的安全性とは、 と定義されています。 医療現場において、心理的安全性が低い組織やチームでは、自分の意見や懸念などを言いにくくなったり、ミスを報告することができない状態が慢性化することで、安全性が低下すると言われてい

          心理的安全性と職業倫理(モラル)は医療安全の両輪

          医療の質のために解決すべき、問題点の優先順位の付け方

          ここまでで、医療の質とは何か、目的の言語化の方法、そして目的と現状のギャップの見つけ方について確認してきました。 このnoteは、優先順位の付け方についてまとめます。 あなたの前には、目的を達成しているあるべき姿になるために解決しなけれならない問題点が羅列されていることかと思います。 では、それらすべてに取り掛かるべきでしょうか。 おそらく無理だと思います。 臨床業務やマネジメント業務を抱えているなかで、いくつもの問題解決を同時進行でやれるほど暇ではないと思います。

          医療の質のために解決すべき、問題点の優先順位の付け方

          時間はかかろうともみんなで取り組むことに意義がある

          医療業界にいると、情熱と能力のある方による取り組みで、劇的に患者さんが改善したり、組織としてすばらしい取り組みができたりする事例を時々拝見します。 やはり、早く取り組みを立ち上げるときや切羽詰まった状況の時は、属人的な取り組みをしなければならないことは、すでに皆さんご存知の通りです。 しかし、その最初の一歩を踏み出したメンバーの情熱はいつまで続くのでしょうか。 そのメンバーは永遠にその組織に留まり続けることはできるのでしょうか。 永遠に生きることはできるのでしょうか。

          時間はかかろうともみんなで取り組むことに意義がある

          医療の質改善のための「目的と現状のギャップ」の探し方

          ここまでのnoteでは、医療の質とは部署の目的を達成している状態であること、その目的の探し方を言語化してきました。 今回のnoteは、部署の目的を達成するために必要な具体的な改善すること、つまり問題点の見つけ方を言語化していきたいと思います。 ここまでで「部署の目的」「あるべき姿」は言語化できていると思いますが、それを言語化しても、自然と問題点や改善点が発見できるわけではありません。 もうひとつの確認すべきこと、それは「現状の把握」です。 改善すべきこと、つまり問題点

          医療の質改善のための「目的と現状のギャップ」の探し方

          「システムに落とし込まないと人は動かない」からこそ、「システムを考えられる人」になろう

          金沢さんのツイートには、いつも共感します。特に今回引用したツイートは、結果責任が求められるマネージャーの心構えを示してくださっていると思います。 医療業界では、少子高齢化による人材不足と需要の拡大から、ようやくタスクシフトシェアや標準化などが重要視されてきましたが、まだまだ甘い面があると思います。 どうしても、医療業界は利他の精神で、自分を犠牲にするという文化が根強かったせいか、金沢さんがおっしゃる「10勝しかできない投手」に対して、「医療の世界に入ったんだから20勝しろ

          「システムに落とし込まないと人は動かない」からこそ、「システムを考えられる人」になろう

          医療の質改善のための「部署の目的の探し方」

          前回のnoteでは、医療の質を改善するための最初の一歩は、病院や部署の「ミッション」「存在意義」「目的」を言語化するところから…という話を書きました。 ただ、いきなりそれを言語化しようと言われても、難しいと思います。 なぜなら、本来、医療・サービスを業務で行うことは手段であり、目的は「患者さんのため」ですが、現在の診療報酬という制度上、医療・サービスを業務で行うことに報酬がついてくるため、手段が目的化しているのです。 でも、それは仕方のないことです。現場は求められた医療

          医療の質改善のための「部署の目的の探し方」

          正論は振りかざすものではなく、じっくりと浸透させていくもの

          品質さん(@chokyori_tsukin)のツイートが、非常にごもっともであり、ここ最近も「正論」について、非常に思うところがあったので、自分の考えを整理してシェアしたいと思います。 正論を振りかざしている人に対しては絶対誰も反論できないので、正論を言っている本人は気持ち良くなっていきます。 でも、相手は反論できないので、フラストレーションはどんどんたまっていきます。 正論を改めて押し付けられているその場所には、自分たちの正義とのギャップが生まれ、「自分たちが間違って

          正論は振りかざすものではなく、じっくりと浸透させていくもの

          医療の質改善の第一歩は、「ミッション」「目的」「存在意義」を言語化することから

          「医療の質とはなんなのか?」をまとめたnoteをたくさんの方に読んでいただきました。本当にありがとうございます! さて、今回は「じゃあ医療の質を上げるためには、どうしたらいいのか」というところの最初の最初を自分なりにまとめていきたいと思います。 病院や部署の医療の質を上げよう!となると、病院の医療の質担当者や部署の責任者の方々がまずやることは、 自分たちがやっている医療や業務のうち、何か指標が取れそうなものを探そう! しかし、これをやってしまうと、確実に改善活動が曲が

          医療の質改善の第一歩は、「ミッション」「目的」「存在意義」を言語化することから