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心理的安全性と職業倫理(モラル)は医療安全の両輪

安斎勇樹さんのVoicyが、本当に学びが深くて、ここ最近ずっと拝聴しています。

「#4 ”心理的安全性の誤解”の誤解」で話された内容が非常に学びが深かったのでシェアします。


「心理的安全性」は、ビジネスだけなく「医療安全」の分野でも注目されています。

心理的安全性とは、

組織やチーム内でメンバーが自由に意見やアイデアを出し合い、リスクを恐れずに行動できる状態

と定義されています。

医療現場において、心理的安全性が低い組織やチームでは、自分の意見や懸念などを言いにくくなったり、ミスを報告することができない状態が慢性化することで、安全性が低下すると言われています。

確かに、ミスやニアミスをしっかりと報告し、そのミスやニアミスがなぜ起こったのかみんなで分析し、対策を立てるなどの意見が言いやすい職場環境を作ることで、潜在的なリスクの早期発見により安全性は高まっていくはずです。

「心理的安全性を高めよう!」という動きは職能団体が主催する学会や医療安全系の学会でもシンポジウムが開催されるなど、注目されている分野のひとつです。

しかし、今回の安斎さんのVoicyでは、その動きに一石を投じる内容でした。

Voicyの中で、安斎さんは、伊達洋駆さんがおっしゃっていた言葉を引用されています。

心理的安全性という概念は、そのチームがもともと持っている性質や個性をより引き出す。
心理的安全性が低いと性質や個性が出にくくなるが、心理的安全性が高いと「らしさ」が良く出るようになる。

この言葉を聞いたときに、自分はゾッとしました。

その部署がもともと持っている性質や個性に、「医療安全と相反する価値観」があるとすれば、心理的安全性を高めることにより、その部署が提供する医療を危険な方向へ増強してしまう可能性があるからです。

「心理的安全性が高い=医療安全が高まる」という式が成り立つのは、あくまでチームの個性や特性に、「患者ファーストであり、倫理観が高い」という前提がある状態ではないでしょうか。

逆にモラルが低く、何か事が起こっても言わず隠蔽したり、効率を求めるあまりルール違反をしがちな特性があるチームや組織の心理的安全性が高くなると、その「らしさ」が際立って出てくることで、かえって安全性が低くなります。

そう考えると、むやみやたらに心理的安全性を高めるのは危険であり、その組織の状態、つまり倫理観やモラルを含めた組織の性質や特性をあらかじめ確認しておくことは重要だと言えます。

もし、そこに問題があるのであれば、倫理観やモラルといった、患者さん中心で働くという医療で働くうえで最低限の価値観を共有したうえで心理的安全性に取り組まなければならないと思いました。

「心理的安全性」と「職業倫理やモラル、価値観の教育」は、医療安全の両輪としてしっかり考えていきたいと思います。

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