「システムに落とし込まないと人は動かない」からこそ、「システムを考えられる人」になろう
金沢さんのツイートには、いつも共感します。特に今回引用したツイートは、結果責任が求められるマネージャーの心構えを示してくださっていると思います。
医療業界では、少子高齢化による人材不足と需要の拡大から、ようやくタスクシフトシェアや標準化などが重要視されてきましたが、まだまだ甘い面があると思います。
どうしても、医療業界は利他の精神で、自分を犠牲にするという文化が根強かったせいか、金沢さんがおっしゃる「10勝しかできない投手」に対して、「医療の世界に入ったんだから20勝しろ」という根性論が、まだまだ根強く残っているような気がします。
かつかつの人数で、すべての人間が10割働かないと成り立たないシステムのうえに、人が休んだり、急に辞めたりするので、残された人間たちは耐えて120%働くことが、さも当たり前のような風潮があります。
金沢さんがおっしゃっている「誰がやってもできるワークフロー」とはつまり、標準化された手順のことです。
その手順通りに動くことができるように、教育をして、評価をして、フィードバックをしていく。そのために本当に価値があることに注力できるように余計なことをやめていく。誰しもが特別な能力を使わずしてできるように落とし込んでいく。
そういうマネジメントや思考法が重要なのではないかと思います。
一見して、冷たそうに見えますが、我々はお友達として一緒に働いているわけではありません。
患者さんのための労働、そしてチームの一員としての労働を対価に給与が発生しているのです。
逆に経営者(病院などの施設)から見ると、この「システムを考えることができる人間」は貴重です。
大多数が標準化された手順で業務を行う側であるが故に、無理なく誰でも行うことができる手順を、目的達成のために考えることができる人間は少ないです。
安全に、誰もができ、矛盾なくできる手順で、個人を、そしてチーム全体をつなげて動かし、価値を作っていくことができる人材が必要です。
医療スタッフも、患者も、多様性が許容される時代です。
患者は医療に求めること、医療の最終的なゴール、求めるプロセスは様々です。
医療者においても、働き方や能力、特性、目に見えない働く動機も様々なで、一様なアプローチではなかなかひとつにチームをまとめることもできません。
そのような中で人をまとめていくためには、他者を理解し、他者を受容し、そこからさらに論理立ててシステムを考えるという高度なテクニックが必要です。
それでも、やはり結果を出すためには、システムを考える側にまわっていかなければならないと思います。
これからも自分は、医療に携わる誰もが余裕をもって、でも働き甲斐を持って働くことで、質の高い医療を提供できるようなシステムを考えていきたいと思います。
それこそが、「遠くに行くためには、一人ではなく、みんなで行く」ということの体現になるはずです。
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