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在宅医療介護の非効率な営業コストを削減するためのプラットフォームを創る、高木大地さん

近年では少子高齢化の影響もあり、看護師・介護士の不足が社会問題となっています。

在宅医療介護とは、医療や介護が必要な利用者さんが、ご自宅で治療や生活の支援を受けることです。

また、このような自宅で医療や介護サービスを提供する事業者のことを、”訪問看護事業所””訪問介護事業所”と呼び、今後大きな市場拡大が見込まれています。


しかし、驚くことに、独立起業した訪問看護介護事業所では、ただでさえ通常の業務で忙しい訪問看護師・介護士さんは、自らが営業をして仕事を獲得しなければなりません。

人手不足なのに、営業までしなくてはならない。

そんな在宅医療業界の”非効率な営業”を解決するプラットフォーム”chokowa (チョコワ)”を創るのが、今回インタビューさせて頂いた”高木大地”さんです。

chokowaができるきっかけは何だったのか?お話を伺いました。

ITを使って、在宅医療業界の懸け橋へ

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ーー高木さんは、現在どのような活動をされているのですか?

在宅医療介護向けのシステムを作っています。

在宅医療介護とは、医療や看護が必要な高齢者の方や、障害を持たれた方に対して、”お家で医療や介護を提供する”ことです。

そして、この在宅医療介護には、非効率な部分が多いと感じているんです。


なので、ITを使って、この問題を解決したいと考えています。


”在宅医療業界の架け橋になる”

これが、僕のテーマです。

在宅医療介護事業者のの営業を無くすサービス”chokowa”

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ーー在宅医療介護は、どのように非効率なのですか?

元々僕は、看護師として訪問看護をしていました。

訪問看護をしている中で、

「非効率だな」

このように思うことが多かったんです。


例えば、訪問看護事務所の訪問看護師は、自分で営業を行わないといけないんですよ。

訪問看護師の営業では、主にケアマネージャーソーシャルワーカーに営業させて頂きます。

※ケアマネージャー(CM)とは…
介護のケアプランが作れる人
※ソーシャルワーカー(SW)とは…
病院に属しており、患者さんの退院支援をする人


営業が非効率だと感じているんです。

例えば、営業はタイムリーではなく、お仕事依頼が、半年後・一年後に遅れることもある。

あと、僕は看護師だったので、営業が苦手という部分もありました。


以上の背景から、訪問看護師・介護士とCM・SWを、営業がなくても繋がれる。

そんなリアルタイムマッチングサービス”chokowa”を作っています。

患者さんの時間軸を大切にしたい

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ーーどのような過程を経て、看護師から起業に至ったのですか?

専門学校を卒業してから、まず急性期病院で2年ほど働き、次に慢性期病院で3年働きました。

※急性期病院とは…
高度で専門的な医療を行い、 患者さんの年齢層は幅広く、 入院期間が短い病院
※慢性期病院とは…
急性期後の継続的な治療を行い、 患者さんは高齢者で長期入院が多い病院


実は、慢性期病院で患者さんのケアに当たっている中で、嫌なことがありまして。

それは、”病院の時間軸に縛られること”です。


例えば、学校では授業があるじゃないですか。

学校と同様に、病院にも”食事の時間”、”おしめ交換の時間”、"寝る時間"があるんです。

慢性期病院の、このような時間割を見ていて、

「利用者サイドに寄り添ってないな」

このように思って。


自分たちなら、好きに生きられるのに、病院に入ったら自分たちのペースで生活できない。

これが凄く嫌だった。


このような疑問を抱えていたところ、”訪問看護”の存在を知りました。

「これだったら、患者さんの時間軸に寄り添えるな」

このように思い、訪問看護に興味を持ち始めました。


そして、ここから個人クリニックで1年半くらい働かせて貰いながら、社内ベンチャーの立ち上げに参画し、独立起業をしました。

これが看護師から独立に至った経緯です。

独立当初は、訪問看護の事業をしていなかった!?

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↑ おばあちゃん子だった、高木さん

ーー独立した当初から、”chokowa”を始められたのですか?

いえ、起業初期は相続事業をしていたんです(笑)


僕は小さい頃から、おばあちゃん子でした。

そして、おばあちゃんのために何かしたいなと思い、看護師になったんですよね。

そして、先ほども言いましたが、看護師をしていく中で”病院の時間軸に縛られる”のが嫌になって。


そして、私の親族でも相続トラブルがあったんです。

なので、相続業はニーズがあるのかなと思い、挑戦しました。


そして、相続業を始めて分かったこと。

それは、”自分1人では何も出来ない”ことです。

相続業をしようとなったら、司法書士さん、弁護士さん、税理士さんとか、たくさんの人が必要で。

これを、会社を立ち上げてから気づきました(笑)


そして、相続業をしながら、ベンチャーの考え方を教えてくれる塾に参加してみたところ、

「相続業って、高木君がすることじゃないよね」

って言われて。

そして、今までずっと看護師をしていたことを言うと、

「看護師としての経験を生かせるもの何かないの?」

この質問に対して、僕は、

「慢性期病院で、
患者さんに寄り添えない時間軸を
解決したいと思っています」

と答え、この問題解決の事業を行う決心をしました。


そこから、介護の窓口となるコンシェルジュサービス(ケアシェルジュ)を始めまして。でも競合もいて…

その次に、”chokowa”を作りました。

山口豪志さんとの出会い

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↑ 高木さん(中央右)と、山口さん(中央真ん中)

ーー高木さんが事業をしてきた中で、何かターニングポイントはありましたか?

僕のターニングポイントは、山口豪志さんとの出会いです。

山口豪志さんとは
岡山県岡山市出身の起業家。プロトスター株式会社取締役COO、株式会社54代表取締役社長など、幅広い活動をされている。


山口さんとは、2018年3月のスタートアップキングダムという、ピッチイベントで出会いました。

この時、僕はケアシェルジュのサービスを紹介したところ、

「面白いサービスだけど、これ高木さんにしか出来ないサービスなの?」

このように、山口さんに言われました。


そして、僕は、

「僕じゃなくても出来るかもしれません」

と、返答しました。


その後の言葉が響きました。

「高木君にしか出来ないサービスをすべきではないか?」

こんなメッセージを頂きました。

そして、このメッセージが、本当に刺さったんです。


そして、最後に、

「いいアイデアを事業にするのではなく、
もっと自分で動いてみて、
やってみたほうがいいのでは?」

このように言って、頂きました。


スタキンのピッチで、山口さんからたくさんのアドバイスを頂き、訪問看護事業に挑戦。

これによって、”chokowa”は誕生したんです。


なので、山口さんとの出会いが僕の中のターニングポイントだと思います。

ーーその後、山口さんとはお話をされたのですか?

はい。

その後、山口さんの前でもう一度”chokowa”のピッチをする機会がありまして。


そして、ピッチ後に山口さんから

「やっと、自分のやりたいことが見つかったんだね」

このような言葉を貰いました。

この時は、本当に嬉しかったです。

”ありがとう”の一言

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ーー事業をしていく中で、最も幸せな瞬間を教えて欲しいです。

たくさんあります。

例えば、知り合いの岡山県内のコアケアマネージャーさんから良いフィードバックを貰った時。

※コアケアマネージャーとは…
岡山県内で長年活躍され、経験豊富で、ケアマネージャーのハブのような存在

実際に”chokowa”を使って、看護師さんや介護士さんを紹介した時。

紹介した後の”ありがとう”。


色々ありますが、一番うれしい瞬間は、

それは、やはり利用者さんからの”ありがとう”を貰った時ですね。

中四国へ”chokowa”を広め、IPOを目指す

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ーー高木さんの、これからの将来像を教えて下さい。

令和3年1月に、僕は出資をして頂きました。

なので、株主のためにも、IPO

つまり、上場を目指したいと思っています。


そこまでの具体的なプランではありませんが、まず”chokowa”の岡山モデルを作る。

その後、来年の1~3月くらいに中四国に展開。

そのためにも、今年の10月くらいにもう一度出資を受けられるようにしたい。


このような短期目標があります。


もっと長期的な目標で言うと、IPOを目指し、僕と同じような価値観を持つ人たちと、一緒に”chokowa”を動かしていきたいと思っています。

これからの起業家へ一言

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ーー最後に、これから起業した人へメッセージをお願いします。

アドバイスになっていないかもしれませんが、僕は勉強をしておいた方がいいと思います。


僕は元々、会社を作るつもりはありませんでした。

また、今このような立場にいるなんて想像もしていなかったんです。


なので、昔は情報にアンテナを張れていなかった。


もし、昔から問題意識についてアンテナを張ることが出来ていたら、僕はもっと早く起業できたでしょうし、ITが進んでいない時から、”chokowa”を思いついていたかもしれません。

なので、僕はもう少し早く情報を仕入れて勉強をしとけばよかったなと後悔しています。


以上の事から、これから起業したい人は問題解決意識とか、疑問に感じたところがあれば、そこを勉強をしたらいいのかなって思います。

取材を終えて

高木さんは、インタビュー中いつも笑顔で、複雑な看護業界のシステムを丁寧に教えて下さいました。


訪問看護の非効率な”営業”を失くす、プラットフォーム”chokowa”。

この”chokowa”には、忙しい訪問看護師・介護士さんを手助けし、もっとたくさんの高齢者を手助けする可能性を秘めています。


また、インタビュー中に筆者が特に驚いたことは、高木さんの”勉強意欲”です。


独立前まで、高木さんは、ずっと看護師をされていました。

なので、ITの勉強はいつされたのだろうと思い、

「どのようにITを勉強したのですか?」

とお聞きしたところ、

「忙しくて看護師として働きながらITの勉強ができないので、他のコミュニティに参加して激をもらいながら、今も自分自身で勉強をしている」とおっしゃっていました。


自分が成し遂げたいことのために、今まで全く知らなかったITの勉強を、ゼロから始める。

こんな勉強熱心な高木さんに対して、改めて高木さんが持つ”熱量”を感じさせられました。


>>高木さんのfacebookはこちらから

>>”chokowa”はこちらから


執筆:堂本一樹/編集:やぶなお

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