レンズの向こうに。

2021年6月。
引きこもりから脱出して早3ヶ月。

私にとってものすごく濃い時間だった。
こんなに時の流れを感じたのは久しぶりでうれしかった。

あと〇〇日。
そんな風に友達に会うのを心待ちにしたのなんて何年ぶりだろう。

摂食障害の症状はしぶとくて、楽しい日をすべて台無しにするパワーがあって。
自分の体型が許せなくて、鏡に映る姿が醜くて許せなくなるけど。

3ヶ月、外に出れた。

世間にとっては当たり前のことでも、わたしにとってはものすごくハードルが高く、そんな当たり前の日々が送れただけで涙が出そうになるんだ。

ファミレスでドリンクバーを頼んでおしゃべりする時間も。
友達の運転する姿を眺めながら助手席に座っている時間も。
自分の運転する車で出かけるのも。
行きたいなと眺めては諦めていたカフェに行けたことも。

四季の移ろいを感じて、季節の匂いを感じて。

行きたいと思ったその瞬間、行きたい場所に行けるこの感じ。

今までなんてちっちゃい世界に引きこもっていたんだって、よく生き延びたなって。

そんなことを思った3ヶ月。

間違いなく、今までで一番がんばった3ヶ月。

***

カメラを手に、楽しそうに話をする友達の姿に刺激されて、カメラを買った。

外に出れて趣味が増えてよかったね。

そんな父親の言葉に泣きそうになった。

カメラのレンズを覗いた。

なんだか新しい世界が広がってるような気がして、わくわくした。

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