【漬物レシピ】四季漬物鹽嘉言(3) 梅干しなど 7 mominaina 2024年1月21日 22:33 出典:国立国会図書館デジタルコレクション『四季漬物鹽嘉言』梅干うめぼし漬づけ梅うめの実みの 能よくいりたるを、一時いつとき斗ばかり 水みづに浸ひたして洗あらひ、梅一斗に 塩三升、紫蘇しその葉は 多少たせう 見み斗はからひにて 漬つけるなり。はじめは 押おしをかるくして、梅うめに塩しほのしみたるに従したがひ段ゝだん/\ 押おしをつよくかけるなり。十四五日、又は、廿日を経へて、日和ひよりよき日を見み定さだめ、簀すへあげて 日に干なり。当座とうざ喰ぐひには、一日か二日ほして、器うつわにたくわふ。年とし久ひさしくかこひおくには、一日ほしては 夜は梅うめ酸すに漬つけ置おき、又、翌日ほすなり。かくすること三日にして、夫それより四五日ほしあげて、からびるほどになりて、壺つぼに入べし。たとへ十年、廿年に及ぶとも、味あぢわひかわることなし。梅干うめぼしの艶つやもよく風味ふうみ格別かくべつなり。右の梅酸うめずに、大根を花はなに切きり、又は、薄うすくきざみて、生姜しやうがなど一所に漬つけるは よく人のすることなり。上方かみがたにては、蓮根れんこんと生姜しやうがを多おほくつけて、座禅ざぜん豆まめのかやくにも 赤い蓮根れんこんを用ひ、鮓すしを 漬つけるには、せび 紅べに生姜しやうがを遣ふこと 常つねの事なり。此この 梅酸うめずに、しそのしぼり汁しるを入て、徳利とくりにたくわふべし。料理れうりにはをり/\入用の物なり。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『四季漬物鹽嘉言』青梅あをうめ漬づけ青梅あをうめの若わかきうちにとりて、一夜いちや 水みづに浸ひたし置おき(是は苦にがみをとるためなり)、翌日よくじづ 水をきりて、青梅一斗に、塩二升をいれてかるく押おして漬るなり。水あがりたらば、其水をこぼしすて、ざつと洗あらひて水気みづけをかわかし、又、すこし ふり塩をして漬るなり。先せんの水にては、にがみありて 其その苦味にがみをさりてたくわふべし。ついでにいふ。甘露かんろ梅ばいを製せいするには、右の青梅あをうめの苦水にがみづを去さりて、砂糖さとう蜜みつに漬つけ置おき、紫蘇しその葉はに包つゝみて白しろ砂糖さとうをふりて、軽かるく|押《》おしをかけるなり。千枚漬せんまいづけ紫蘇しその葉はを一枚いちまいづゝ 能よく洗あらひ、百枚、二百枚、段々だん/\と重かさねて、麻糸あさいとにてとぢ、ざつと湯ゆをくゞらせて 板いたにはさみて、水気みづけをとくとしぼり、味噌みそ桶おけの底そこに並ならべて、竹たけをわりて、動うごかぬ様やうにおさへおくなり。みその 溜たまり、自然しぜんとしみわたりて、日ひあらずしてつくなり。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『四季漬物鹽嘉言』牛蒡ごばう味噌漬牛蒡ごばうの本末もとすへを去さり、中なかの所ところ 斗ばかり、六七寸に切きり、是これも ざつと湯ゆをくゞらせ、味噌みそに漬つけるなり。是は、沢庵たくあん大根のみそづけと、一所に桶おけの下の方に漬おくべし。一年余も経へざれば 漬つきかぬるものなり。三年、五年とふるくなる程ほど、殊更ことさらよし。印篭いんらう漬づけ醬瓜まるづけの後先あとさきを切きり、中実なかごをくりぬき、其その中なかに穂蓼ほたで、紫蘇しその葉は、若わか 生姜しやうが、青あお 蕃椒とうがらし 等とうをおしいれ、甘塩あましほ加減かげんにして、壓おし強ついよく漬つけるなり。六七日 立たてば、喰くひ比ころなり。瓜うりへとうがらしのからみ移うつりて至極しごくよし。輪わ切ぎりにしたる所、印篭いんらうに似にたるゆへ、名なづくるものか。又また云いふ、胡瓜きうりもかくの如ごとくするもよし。歯は切ぎれありて、まるづけ瓜うりにおとらず。※ 「本末もとすへ」は、上と下という意味。※ 「中実なかご」は、中央、中心のこと。中子なかご。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『四季漬物鹽嘉言』渦巻うづまき漬づけ胡瓜きうりの季すえの比ころ、とうがらしを 沢山たくさんに入いれて、甘塩あましほに壓おしをかけて漬つけ置おき、水十分にあがりたる時とき、二ツにはわらず、立たてに 包丁はうちやう目めを入れて、中実なかごをすき取とり、一日天日てんぴにほして、能よくさまし置おき、片かたはしより しつかりと巻まき、竹たけの皮かわをさきて解とけぬやうにまきしめ、糠ぬか五升に、塩しほ一升を合あはせ、沢庵たくあん漬づけのごとくつけこみ、しつかりと押おしをかけて漬つけるなり。十五日ほどたてばよし。糠ぬかを洗あらひ、結ゆわひめをときて、木口こぐちより切きるに🌀の如し。味あぢ辛からく、甘あまくして歯はぎれよし。達磨だるま漬づけまるづけ瓜うりの季すえなりを 二ツにわり、中実なかごをとり、甘塩あましほにして押漬にする。瓜うりの形なり □ □ 手て遊あそびの達磨だるまに似にたる故ゆへに、呼よぶものか。皮かわこわくして、中うちに 禅味ぜんみを甘あまんずるか、そもさん。捨すて小舟をぶね越瓜しろうりを二ツに割わり、中実なかごを 能よく取とりて、塩しほを盛もりて日にほし、あげ水をこぼさずしてほしつける。六七日もほしてからびたる時ときに、重かさねて 壺つぼやうな器うつわにたくわふべし。冬ふゆの中うちより春はるへかけて、味醂みりんに浸ひたしおき、珎客ちんきやくにもてなすに妙めうなり。当座とうざ喰ぐひには 一日干ほして程ほどとす。誰たれやらが 夕立ゆふだちや 干瓜ほしうりの身みを 捨すて小舟をぶねといふ句くによりて名なづけしとぞ。※ 「そもさん」は、作麼生そもさん。禅問答において、相手の返事を促すのに用いる言葉。『四季漬物鹽嘉言』📝(1) 沢庵漬など (2) ぬか漬け 奈良漬けなど (3) 梅干しなど (4) 塩漬け他筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖 ダウンロード copy #古文 #梅干し #漬物 #古文書 #手作り梅干し #お漬物 #千枚漬け #漬物レシピ #四季漬物鹽嘉言 #捨小舟 #青梅漬け #印篭漬け #渦巻漬け #達磨漬け 7