読書 道化師の小径
アガサ・クリスティ著
嵯峨静江 訳
「謎のクィン氏」に収録
早川書房
アガサ・クリスティー作品の先入観を変える短編集「謎のクィン氏」の中から、本日は「道化師の小径」をご紹介させていただきます。
神秘的な謎のイギリス人青年、ハーリ・クィン氏と、裕福な60代英国紳士サタースウェート氏が主な登場人物。
著者であるクリスティ自身が大好きだったシリーズです。
サタースウェート氏が付き合いたいと思うタイプの人々は、上流階級や芸術家。
そのどちらにも該当しない、堅実な実業家デンマン氏とその妻。
保養地で知り合って以来、招待を受け、何度かデンマン家に滞在してしまう理由が自分でもよく分からないサタースウェート氏。
現在も世界中で好まれている、ヘップルホワイト様式の家具が置かれた、まるでショールームのようなデンマン夫人の部屋。
美術館や収集家が目に留めそうな、クリームイエロー地に淡い色のバラが描かれた、
中国製の漆塗りの美しいついたてが、なぜか不釣り合いに置かれています。
個性がなく、これほど表情に乏しい女性は見たことがないと思われていたロシア出身のデンマン夫人なのですが、実は…。
短編集「謎のクィン氏」の最終話です。
言い表せない寂寥感。
今日もご覧頂きましてありがとうございました。
皆様3連休もどうぞお元気でお過ごし下さい。
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