見出し画像

オンライン読書ルーム担当者交流会【Möbius Open Library Report Vol.14】

 Möbius Open Library(メビウス・オープン・ライブラリー:略称MOL)は図書館と知の未来について考えるラボです。2020年の春、全国の学校が臨時休校となる中「オンライン朝読書ルーム」を開催し、図書館臨時休館閉館中もオンラインに図書館的な空間をつくる取り組みを行いました。
これに注目してくださった他大学の図書館が、同じようなオンライン読書ルームの取組みをされているということで、担当者同士の交流会を開きました。今回はその様子をレポートします。

開催の経緯

発端となったのは、今年の春3月8日に私(ななたん)が、キャンパス・コンソーシアム函館ライブラリーリンク研修会で「未来の図書館空間を考える~オンライン朝読書ルームの取組み」というお話をさせていただいたことにあります。参加者は主に函館市内の大学図書館の職員です。研修会当日はExplaygroundの取組みを紹介したり、実際にオンラインでの読書を体験してもらったりしました。参加された方々は「朝読書体験は意外と集中できる、安心する」といった感想を持ったそうです。
そして、この研修会後に、公立はこだて未来大学の図書館員の方が自分の大学でも学生中心に実践してみたとご連絡をいただきました。ちょうどその頃、神戸大学や徳島大学でも同じような取り組みをしていることを知ったので、それなら、四大学で担当者同士の意見交換会をやるとおもしろそうだね、ということになりました。

四大学の取組み内容

函館、東京、神戸、徳島と全国に散らばっている大学図書館員の交流会は、2021年12月9日にオンラインで行いました。最初にそれぞれの取組みを紹介します。

公立はこだて未来大学「未来大オンライン読書ルーム」
公立はこだて未来大学情報ライブラリーは、各自が好きな本を持ち寄り、オンラインでゆるくつながる場をつくるというコンセプトで、今年6月から7月にかけて毎週水・金曜日のお昼休みに実施しました。登校の機会が減り、友人と自由に交流できない状況においても、読書を通じて、情報ライブラリーの学習空間を提供し、つながりを維持することを目的としています。3月に学生にオンライン読書を紹介したところ、学生のほうからリクエストがあり実施に至ったそうです。ボランティアで協力してくれた大学生4名を中心に運営し、職員は裏方を担いました。気軽に集まれるように予約不要にし、10回実施して参加者は20名程度。図書館の担当者はゆるく本を読む場を提供するだけのつもりだったのが、学生達から本のことを語り合いたいという声があがり、理系の大学ならではなのか、意外と真面目に本の紹介や自分の研究関心を話し合っていたということでした。忙しい学生が多く、日時設定や広報には苦戦しましたが、参加した学生やボランティア学生からは、楽しかった、継続してほしいという声が強かったそうです。

未来大オンライン読書ルーム 

徳島大学「オンライン読書室」
徳島大学附属図書館の「オンライン読書室」は、本を通した交流によりコロナ禍における学生の孤独やコミュニケーション不足を改善することを目的に実施されています。2020年11月に学長から「コロナ禍で学生がつながれる機会が減っている。デジタルで交流できるような仕組みづくりができないか」という要請があって始めたそうです。神戸大学の取組み事例を見習い、「何となく近くに人がいるような居場所」であるオンライン読書会を実施することにしました。運営は、阿波ビブリオバトルサポーターの学生さんにファシリテーターとして入ってもらい、職員1名が担当しています。2020年12月から月1回ペースで開催し、すでに9回実施済み。毎回5名程度が参加しています。今年度内の予定は決まっているそうです。みんなが読んでいる本が分かるように、読書の前に読む本を紹介してチャットで流したり、何か発言の機会があったほうがいいということで、今日の感想など一言を全員に言ってもらうようにしたりと、試行錯誤しながら運営の形ができてきたということでした。
参加者からも「1人だと読書が三日坊主で終わる可能性が高いので本当にありがたい」とか「 本のセレクトが多種多様で、話を聞いているだけでも非常に面白かった」などの感想をいただいているそうです。

読書がつなぐ「ひとりだけど誰かと一緒にいる」時間オンライン読書室広報誌『国立大学』第60号, 2021.7)
イベント開催報告
https://www.lib.tokushima-u.ac.jp/news/news20/2021032501.html
https://www.lib.tokushima-u.ac.jp/news/news21/2021063004.html

神戸大学「オンライン読書室」
神戸大学附属図書館は、図書館にもともとあった読書促進を目的とした選書ワーキンググループの企画として開催しました。コロナ禍の制約の中でオンラインでのイベントを模索した結果、学芸大の例を参考に「オンライン読書室」に行き着いたそうです。第1回は昨年の夏休み(2020年8~9月)に実施し、冬休み(12月)にも第2回を実施、さらに、今年の夏休みも第3回(2021年9月)を実施しました。参加者間で共通の話をしやすいように「小説・エッセイ」「英語多読」「ノンフィクション」などのテーマを設定したり、学生の希望にあわせたお勧めの本を提供する「あなたの本探します」という企画を行うなど、毎回、改良を加えています。参加者は回によって増減がありますが、10名前後。映像や音声はOFFでもいいことにしているので、両方をONにする参加者はあまりいなかったそうです。学生が運営に入っていない図書館主体のイベントなので、参加しやすいように開催時間を調整してみたり、企画内容を工夫したり、学生のニーズをつかもうと努力されているようでした。

イベント開催報告
https://lib.kobe-u.ac.jp/libraries/17365/
https://lib.kobe-u.ac.jp/libraries/18124/
https://lib.kobe-u.ac.jp/libraries/20801/

東京学芸大学「オンライン朝読書ルーム」
東京学芸大学附属図書館のオンライン朝読書ルームは、このnoteのMOLレポートでもVol.4Vol.5Vol.9で紹介しています。コロナによって学校や図書館が閉鎖する中、近くに他者がいることによって集中力をもって学習できる「図書館的な空間」をオンラインで提供することと、「朝読書」という形で生活のリズムを整え、学校休校中のサポートになることを狙いとして実施しました。2020年4月20~30日と5月20~29日の平日毎日、そして夏休み8月17~22日に開設し、申込者は4月225名、5月76名、8月102名でした。運営は、最初はExplaygroundのフジムーの協力を得ながら、毎日ななたん1人でZoomを開いていました。学芸大の場合は、コロナ下で一早く実施したこと、大学図書館メンバーを中心としたExplaygroundのラボ活動としての運営であったこと、大学生よりも附属学校の児童の参加が多かったことが特徴でした。

学芸大オンライン朝読書ルーム  
MOLレポート
No.4 「朝読書ルーム」オンラインに図書館的な読書空間を作る試み
No.5 「朝読書ルーム」ふたたび
No.9 詩をよむ日 

今後に向けて

四つの大学は、同じように「オンラインで繋がりながら読書をする」取組みなのですが、それぞれに目的や対象・運営が異なる活動を展開しています。各大学の取組みを発表した後に、意見交換・質問タイムを設け、日ごろの悩みを相談し合いました。
どの大学でも、ただ読むだけではなくて、参加者が交流する時間を設けているので、どうすれば活性化するのかに関心が集まりました。参加者の発言をうまく汲み取るファシリテーターの力量が大事になりそうです。学生主体の運営をしている大学では、協力者の学生に助けられている面もあるそうです。
どのように広報すれば、学生がたくさん参加してくれるのかというのも、各大学の職員共通の悩みでした。各大学によって学生の行動パターンが異なりますが、学生は忙しいという点も共通しています。「参加者数より継続して実施することが大事と思っている」「オンライン読書ルームは地味イベントだけれどそういう場所を用意しているという姿勢をみせたい」といった意見も出て、細く長く続けたいという担当者の思いも見えてきました。
MOLで考えてきた図書館的なオンライン空間については、「図書館のようにいつでもフラッと参加できるようにしたい」という意見も出ました。図書館ではない事例でいえば、いつでも接続できるZoom上のコワーキングスペースがあるといった話題も紹介されましたが、この事例のように24時間開放するのは運営が難しそうです。なお、今のところ、どの大学もオンライン上での変なトラブルは起こっていません。いつの日か、毎日、リアルな図書館の開館作業しているのと同じように、毎日、オンライン読書ルームを開設する日が来るのかもしれません。
最後に、今後も四大学で連携して、来年は合同企画をやってみようという話で盛り上がりました。コロナ禍が収束すれば、単独の大学として実施するオンライン読書ルームは使命を終えるのかもしれませんが、函館・東京・神戸・徳島での交流により、また何か新しい価値が生まれるかもしれません。MOLでもこの繋がりを大事にして、何かオモシロいことを考えていきたいと思います。(文責:ななたん)

【これまでのMOL Report(抜粋)】
No.4 「朝読書ルーム」オンラインに図書館的な読書空間を作る試み
No.5 「朝読書ルーム」ふたたび
No.9 詩をよむ日
No.12 MOLの成果を発表する
No.13 デジタル書架ギャラリーアップデート

【Explayground URL】 https://explayground.com/





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?