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三月の俳句など

春の風邪いきいき乳酸菌特売

春光のまぶたぴくぴくむぴよこぴよこ

春陰の微熱映りてルイボステイー

微熱なる春闌を子らのこゑ

ねてさめてねてさめて春さめて夢

雛壇の裏に沈んでゆく童

雛壇の天地をあそぶたづが音や

雛壇の奥へ奥へとのべる闇

皇后の口密満ちたり梅ふふむ

皇后の棺あらはなり梅にほふ

梅ひらく石窟に妃の睡りあり

葬られてひとり皇后梅一輪

姫舞うて梅散りぬるを月夜かな

ルイボスティ寝るしかなくて寝てました

啓蟄の無人駅内喫茶店

啓蟄の金平糖をよりわける

啓蟄や干菓子ひとつぶ消ゆる時間

春北斗こんぺいたうを泳ぐ魚

チヨコレートパルフエノクターンへと朧

佐保姫に底のすくへぬパフエグラス

春闌の薔薇のかほりのジエラートを

窓のある柩の蓋や坐禅草

坐禅草ビロード張りの棺かな

春闇てふ水琴窟でをどらんか

佐保姫の割ればかならず黄身ふたつ

流星と双子たまごの契約す

春分の夜を海苔茶漬で終ふる

何にでもたまご落として彼岸かな

マヌルネコ溢るる街や春一番

珈琲をえらぶ囀りかも知れぬ

一欠のチヨコと珈琲灯朧

三寒の四温の炒飯燦燦燦

春光へ挑まむとする炒飯よ

春寒し牛スジ幾度噛むべきや

長靴をうつして地図やしじみ花

水仙のすすぎし石を借りうくる

萌ゆる春天ぷらなべて抹茶塩

叉焼の沈む厚さや龍天に

ざる蕎麦へ春の光を盛りつけぬ

新蕎麦にあかるい部屋を与へたる

火の鳥の道跡明かし筒姫来

落椿どこまで濡れてゐらるるか

曇天を啖ひつくさんと紫木蓮

始祖鳥の空を呼びたる紫木蓮

差押予告警告花万朶

固定資産税(土地・家屋)花筏

ベランダに吊り下がりたる花火かな

はんざきの置かれる昼のスナツク店

特急の窓より漏れてゐる流星

だんごならみたらし恋は虹の端

春闌みたらしのタレ余りなし

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