コーヒー豆の豆知識 その1 保管方法
前回まで、お店や豆の選び方、ドリップの基本について書いてきました。
皆さん、お気に入りのお店は見つかりましたか?
しかし、お気に入りのお店から、豆をドリップ1回分だけ買うことはないと思います。たいていは100g単位で買うのではないでしょうか。
そうなると、その豆をどのように保管したらいいのか気になりませんか?
あるいは、どのくらいの期間保管できるのかわかれば、何グラムくらい買えばよいのかの目安になるはずです。
というわけで、今回からは、豆の保管方法や賞味期限など、豆のもう少し気になるところについて書いていきます。
豆の保管について
買ってきた豆をどのように保管すればいいのか、迷う方が多いようです。
結論から言ってしまうと、基本的な豆の保管方法は
日の当たらない場所(冷暗所)で、密閉容器に保管
です。
まず、お店から買ってきたらすぐに袋から出して密閉容器に移しましょう。
たいていのコーヒー豆用の袋には、炭酸ガスを逃がすための小さい穴が開いています。厳密に言えば密閉されていない状態です。
逆止弁のようなものがついている袋もありますが、一度開封してしまえば密閉性はゼロに等しいので、いずれにしても密閉容器は必須です。
焙煎後の豆の保管をするにあたって、最優先で絶対に避けなくてはならないのは、「湿気を吸うこと」です。
なぜなら、以前ドリップの記事でもお話をしましたが、豆は「呼吸」することでエキスを吐き出します。
お湯を吸い、エキスを吐き出すのです。
保管時に湿気を吸ってしまったら、お湯を吸うことができなくなります。それは、エキスが出ないことを意味しますよね。
ちなみに、「コーヒー豆は生鮮食品と同じ」という考え方もあります(ある意味正しい)が、その考えですとちょっと誤解を生みそうな気がしています。詳しくは後述します…。
次に、やや長い目で見て保管する場合、もう一つ意識するところは「ガスの放出をおさえる」ことです。
ガスが抜ける=香りが飛んでいくため、ガスが抜けるとコーヒーの味は落ちていきます。
ガスの放出を抑えるには、「保管温度を下げる」と良いでしょう。
ここで、「生鮮食品」「温度を下げる」と聞いて、まず最初に浮かびそうな保管方法が「冷蔵庫」です。
しかし、これは大きな誤りです。
焙煎後の豆を保管しては絶対にいけない場所、それは冷蔵庫です。
冷蔵庫は、扉を開け閉めするたびにかなり庫内の温度が変化します。
豆にとってはかなり過酷な環境です。
しかも、家庭用冷蔵庫に保管すると容器はたいてい結露してしまいます。
結露する=湿気を吸いますから、豆の保管には全く逆効果です。
さらに、冷蔵庫の温度ではガスの放出を抑える効果はほとんどありません。
話はそれますが、生豆はちょっと扱いが違います。
これが生豆です。
これを焙煎することで私たちの目にするコーヒー豆になります。
銘柄や収穫年などで香りが違い、面白いですよ!
焙煎することでその違いがいっそう引き立ちます。
生豆は適切に冷蔵保存することでエイジングできます。
エイジングできるので、厳密には生鮮食品とも違うかも。
こうして年単位で保管してエイジングした豆を「オールドクロップ」といいます。詳しくはまた後の記事で…。
話を戻します。
もし温度を下げて保管したいのであれば、冷蔵庫ではなく冷凍庫です。
冷凍庫の温度であれば、ガスの発生を抑える効果があります。
ただ、結露するリスクはありますので、扱いは慎重に!
少なくとも、冷凍庫を頻繁に開け閉めしない、出したらすぐに使う、というような気遣いは必要です。
ちなみに私は「湿気を吸うことを避ける」方を重視するので、あまり冷凍庫も使いません…。
ガスの放出が心配になるほど長期間保管しないせいもあります。
ある程度の期間で飲み切れる量をこまめに買ってくることが原則かな…。
次に容器の置き場所ですが、直射日光が当たらない場所が良いでしょう。
直射日光が当たると、容器内の温度がかなり上昇します。
温度が上昇したからと言って再焙煎とまではなりませんが、必要以上に高い温度になるとガスが出てせっかくのアロマが揮発してしまいます。
また、温度変化が大きければその分湿気を吸うリスクが高まります。
なお、保管容器についてはガラス製で、ゴムパッキンをはさんで留め金で固定するタイプがおすすめです。
ガラスはにおい移りもしませんし、洗浄しやすいのでお勧めです。
ねじ込みフタ式は、
腕力によって密閉性に差が出る
何度も開け閉めすると、徐々にフタが歪んできて密閉性が下がる
ことからあまりおすすめしません。
プラスチックの保管容器は、
コーヒー豆がガスを放出するためかなり内側から圧力がかかる
ことから、耐久性の面でもおすすめしません。
焙煎後の豆の一時保管なら大丈夫ですが…。
美味しい豆をよりベターな状態で保管できれば、毎日美味しいコーヒーを楽しむことができます。ぜひ実践してみてくださいね!
次回は、コーヒー豆の賞味期限について触れていきます。
みなさんのおうちカフェがいっそう充実しますように!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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