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寄生獣(著:岩明均)【シンイチ、マンガ感想を読んでみたけど、いちばんマンガっぽいのはやはり人間だと思うぞ】

寄生生物がスキです。

まあ、実害がない限りは。
大抵の寄生生物は、宿主を食べ殺してしまうような奴だけど、
(コロナとかね)

しかし、中にはイイ感じで共生してくるやつもいる。
まあ、ジョンメイナードスミスの仮説で、
ウイルスは時間が経つと弱毒化して、共生的になってくる。
というのがある。

いわゆる、ヴァンパイアのジレンマというやつ。
ヴァンパイアは、宿主である人間が絶滅すると、
友連れで滅んでしまうので、
どうにかして人類に滅んでもらっては困る。と考えるのだ。
まあ、彼らなりに家畜化を試みているのだろうけど。

↑ アニメ化されたもの。

そんなわけで、どっちが家畜化されてるか分からないけど、
寄生生物は共生的に進化してくる可能性があるのだ。

まあ、しかし。
本作にそういうの、関係なかった。

寄生獣たちは、突然に表れて、
人間の頭部を食べて、入れ替わってしまう。
そして、その人間のフリをしつつも、
周囲の人間を捕食して生きていくのだ。

捕食者である。

しかし、何かのはずみで頭部以外の部分と入れ替わってしまった寄生獣は、人間と共生的になる。

まあ、このタイプは、人間から栄養をもらわないと生きていけないので、宿主を守ろうとするわけだ。
人間を捕食対象にしようとか夢にも思わない。

しかし、
この2種類の寄生獣の在り方は、軋轢を生む。

寄生獣たちは基本的にサイコパスなので、
仲間同士で殺し合うことをなんとも思わない。

そんなわけで、
頭を食われずに済んだシンイチと、
右手のミギィのデコボココンビが、
物語を進めていくんだけど。

*****

まあ、シンイチも、
人類のために他の寄生獣狩りをしようとか、
楽天的な使命感を抱かない合理主義なところが。
いいのだ。

そういう、簡単なやつじゃないのだ。

分かりやすいのは、ダメなのだ。
といっても、捕食型の寄生獣が徘徊する社会で、
どうしても対決の止むなきに至ってしまうわけで、

そこらへんを、実に丁寧に描いているのだ。

復刻版を弟が買いこんだので、それで読んだ。
名作枠だ。
名作なのは、そうした「理由」を丁寧に描いているからだと思う。

正義とか人類とか、安っぽい言葉を排している。
むしろ敵側が使ってくる。
(変な悪役がいるのだ。しかも彼の正体は・・・)
こういうのは、絶対的な基準軸を持たない日本人のお家芸だろう。

他の国だと、正義と悪の戦いになってしまう。
深みがない。

しかし名作はそんなことはしない。
まずは個人的な欲望や思惑を描き、
そこから大きな世界にさりげなく繋げていく。
上手いなー。ひとつのアイデアを掘りつくしている。

寄生生物もので、やり切れることは、ほぼやってしまったんじゃないかな。
まあ、寄生生物の見せ方を変えればいいけど。


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