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七回死んだ男(著:西沢康彦)【読書紹介は七回死んだ。その時、会社から「今日、出勤日だよ」死んだ】

タイムループを繰り返すミステリ。
本作はミステリ枠です。
SFチックですがSFには分類されないかもしれません。
ループがなぜ起こるのかについては説明がないので。

なぜタイムループを繰り返すのかという理由はどうでもよいです。
問題なのはループの中で祖父の死が発生するようになり、
それが毎回のループで異なった展開になってしまう。

だいぶ古い作品なのですが。
最初からふしぎな設定を持ち込み、その世界観でミステリをやるというスタイルの小説です。

どこかで紹介したと思うけど、どこでかは忘れた。

*****

まず主人公は偶然にループが起きてしまう体質です。
ループの発生は予測できません。
そしてループは9回続きます。
9回目のループが決定版として未来に残されるわけです。

そういう体質をもった主人公が、
たまたまループする日に祖父の死に巻き込まれてしまい、
しかもそれが殺人だと言う。
そして。ここが重要なんですが、
1日目。つまりオリジナルの世界ではそんなことは起きなかった。
しかし2日目で何かをどこかで変えてしまったため、
それ以降は祖父の死が発生することになってしまった。
しかも祖父は遺言を発表するとかいいつつ死んだのです。

さて、こうなっては主人公も謎を解かなくてはなりません。
そして・・・

******
ミステリなので深くは語りませんが、

トリックの解説は素晴らしいものでした。
私としてはグッドミステリとして推したいと思います。

ちなみに著者の西澤先生は「恋はデジャブ」という映画にインスパイアされたと後書きに書かれていますが、その映画を私は未視聴です。

先生の作品はこのように、不条理設定が先に立つミステリがいくつかあり、
もうひとつオモシロそうなのが、
「人格転移の殺人」ですがまだ読んでいません。
もうタイトルだけでイイ!期待できそうな感じがしますネ。

こんな感じで、初期設定をおかしなものにしても、
そのあとの本筋の整合性を高くすれば、
良いミステリは成立します。
まだまだミステリの世界は発展するでしょう。
別に現代社会を舞台にする必要はまったくないし、
相当に異質な設定を舞台として採用してもまったく行ける。

剣と魔法のファンタジーの世界でも、魔法で出来ることが厳密に決められていて、そのルールをあらかじめ開示した上で謎を提出するなら、ミステリは成立するでしょう。
ミステリ好きな人には嬉しい知らせです。
あと千年くらいはびっくりできそうですよ。

↓ ネタバレはこちら。ご注意!


こっちも面白そうなんだよな。

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