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ジョジョラビット(2019年)【私はオバケじゃないわ。もっと悪いものよ。さあ言ってみなさい!「え、えっと映画紹介?」ぶー!違いますっ 】

ジョジョ君はスタンド使いではありません。
たまたま名前が同じなだけの、
どこにでもいるヒトラーユーゲントの小学三年生です。
(たぶんそれくらいだと思う)

男の子ですから戦争ごっこや兵器おもちゃが大好き。
しかし運動は苦手で、気が弱く、しばしば他の子どもにはバカにされ、
もちろんケンカとかは勝てません。
ナチスの理想像から程遠いヘタレボーイで、
でも頑張っていて、
ウサギがスキで(好きなのか?)
中の良い友達といつも遊びに行き(良い子はみんなデブだハイル脂肪!)

さらに彼にしか見えないイマジナリーフレンドは総統閣下ご本人。
しかしどう見てもチャップリンの総統閣下なんですが、
まあ誰にも見えないなら問題ないよね。
てかこれが奴のスタンドか?


(いや違うぞ、このチャップリンはなんと監督本人だ!)

かんとく!なにやってんすか?


とまあこんな感じでありふれた戦時生活が描かれていくんですが、
家の中に怖いおねーちゃんの幽霊が出てきたり、
おかーさんがいなくなってしまったり、

コメディ展開なんだけど、実際は大変なんです。
まあ学校の軍事教練の先生がザ変なおじさんだったり、
(本当は作中屈指の良い人だった)
そんなこんな。やっぱりコメディだと思うな。

****

第2次大戦末期やホロコースト、
ベルリン攻防戦などをコミカルに描く本作は、
シリアスでありながらコメディックという矛盾したオーダーを見事に描き切り、とてもバランス感覚のある、舞台設定の割に重くなりすぎない、少しだけしっとりとした名作です。
明るすぎず暗すぎず。そういうトコがイイ!

とりあえずナチ映画は観る、という方から、
コミカルだけじゃリアルじゃないという方、
あまり暗すぎるのもょっと、という方まで、
老若男女を問わず視聴できる映画ではないでしょうか。

時代設定からして、どうしても重くなりがちだし、まあ実際に重いシーンが出てくるのですが、それを可能な限り普通の日常に描いているのは、

日本が舞台だとこれっぽい感じですね。

これも重い部分に皆さんの視点が行きがちだけど、
やはり本質は、ああいう時代にも日常があったのだ。
という部分なんじゃないでしょうか。
今とはまったく違う想像を絶する世界、ではなくて、
地続きの日常があったわけです。
それこそ空襲の真っ最中にでもならない限りは、
シリアス一辺倒の世界という訳じゃない。

もっと笑ってよ。
そんな悲しい顔ばっかりしないでさ。

という悲劇を悲劇として見たがりすぎる現代人のエゴイズムに一石を投じるという、隠れた本質があるんじゃないかと思うのです。

ああいう場所にも日常があんだよ。
同情目線で見下さないで。

というウサギの心の声が聞こえた方は、もれなくオススメです。

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