みずは無間【今週のびっくりどっきり読書紹介!】(著:六冬和生:2013年)
今回はまたSF小説を紹介してみます。
今回紹介するのは「みずは無間」です。
探査機文明ネタというのがあります。
宇宙探査機に人工知性を載せた結果、
その探査機それ自体がある種の文明になってしまう。
中には人間とか異星人の意識をコピーされたケースもあります。
トランセンデンスと同じネタですね。
以前に紹介した作品でもそういうのが幾つかありました。
今回の主人公「天野透」はある現実から逃げ出すために、
どうにかして探査機人格へと転生したようです。
さて文明SFにおいては、文明の内在的論理というのがとても重要視されます。
たとえば攻撃的なのか。
引きこもりがちなのか。
知識欲が異常に強化されてるのか。
それとも特定のこと以外に関心がないとか。
あるいは特殊な宗教ぽい哲学を持っており、それを基準に森羅万象を考えようとするか。
ここで面白い設定とは、その文明の母体となった生命体の進化的要件から逆算して、文明の性格を決定することです。
まあ生物由来の文明でなくてもいいのかもしれませんが、今のところはそういう知生体は想像されていません。
この探査機君の場合、それはかつて人間時代のトラウマに由来してます。
それが摂食障害の彼女、みずはちゃんです。
いや、元カノというべきでしょうか。
みずはちゃんの個人的悲劇から逃げ出したいけど逃げ出せない。
そういうトラウマによって、この探査機文明は性格づけられてしまいます。
探査機君は自分自身を分裂させて増やしていきます。
幾つかの異なるバージョンの主人公が出てくるのはそのせい。
しかしいずれも、みずはちゃんの呪いから逃れられません。
さらに探査機文明は新たな探査機文明を作ります。
その探査機文明も自分自身をコピーして分裂します。
そしてそのすべてがやはり、みずはちゃんによって汚染されています。
いずれもすべてが内在論理をみずはちゃんによっておかしな方向に捻じ曲げられ、やがて不吉な結末へと・・・
まあ、ざっとこんな話ですね。
一言でいうと、
ひとりの女の子の摂食障害が宇宙的悪夢をもたらすという内容です。
まあ、でも。
これはこれで。
これくらいだったら何とか映像化できるんじゃないか?
これでもネタバレは控えめにしています。
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