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発狂できない、しない。

友人にオススメされ、しばらく積ん読になっていた本。ふと手に取ったら、止まらなくなり、1日で読み切ってしまった。

「セックス」も「家族」も、世界から消える……
中村文則・岸本佐知子氏驚愕! 朝日、読売、東京・中日、週刊読書人他各紙で話題。日本の未来を予言する圧倒的衝撃作。

↑これは販売用の紹介文の引用

性愛の行方も色々すごいのだが、主人公の母娘関係の描写がエグすぎる😱 いやーーしばらくトラウマになりそう(笑)万人に勧められる本ではないです。

なんて言ってみましたが、心に響く文章がいくつもあり、わたしには大変良かったです。そのうちのひとつを紹介。

「正常ほど不気味な発狂はない。だって狂っているのに、こんなにも正しいのだから。」

これな。

わたしも、何とは言わないけど、これを強く感じている案件がある。

発狂したほうが、この世では生きやすい(発狂できない宇宙人は生きづらい)。

☆☆☆

話を本に戻すと、 「風の谷のナウシカ(コミック版)」や「地球(テラ)へ…」で語られていたような、光しか認めないゆえの超絶ディストピアみたいなものが、今とそう変わらない日本を舞台に描かれているので、

割とリアリティがあって、やば、近未来にまじでこうなるのかな、と思わせるような感じでした。(人類の新しい繁殖システムは、ほぼ「地球(テラ)へ…」の設定そのままだったかと。改めて鳥肌。あーきもい。)

ナウシカが「否!」と叫んでいたことを、本の外から発したくなる。

不完全さというものが、ひとにとっていかに大事なのか、考えさせられます。人生や世界に深みを作るのは、闇や影なんだなと思います。

性教育でも、表現の話でも、これはすごく大事なことで、「極力、子供たちに失敗させないようにしよう」「『正しくないもの』に触れさせないようにしよう」という発想はヤバイです。と思います。

そういう人が、狂った世界をつくるんだ。

生きづらいと言ったけど、それでも、絶対に私は発狂しない。負けるもんか。



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