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女性が

「そういえば、先ほどのママ。多分殺されてますね。」佐伯は遠い目をしていった。「え?体調崩しただけなんじゃないですか?」「実は僕のところに依頼人が来たんです。ママを殺してくれって。もちろん僕がママと繋がっているとは知らないです。当然依頼は断りましたが。誰かほかの殺し屋でも見つけたんでしょう。」「ママに狙われてること教えなかったんですか?」「教えましたよ。でも良い殺し屋を雇ったんでしょう。多分ドラゴン。ドラゴンと呼ばれる殺し屋です。会ったことはないですが。狙われたら最後。必ず殺されます。」「そうなんですか・・・。」「山田さん。介護の仕事は楽しいですか?」「楽しいですけど給料は安いし、体力がいるしずっとやってるつもりはありません。」「なら何をしようとしてたんですか?」「何と言われても・・・。」「山田さん。拳銃を打ったことは?」「グアムに行ったときに打ちましたけど・・・。」「どうでした?」「どうだったか忘れました。」「今度練習をしましょう。」「え?日本でですか?」「そうです。サイレンサーを付けて山奥で打てば大丈夫です。」「え・・・。犯罪ですよ!」「殺しは犯罪ですよ。」「まあそうですが・・・。」「では今日はお開きにしましょう。」
次の日。高木が死んだ。「ケアチーフ!高木さんが亡くなったんですか!」朝早番で来て太郎はチーフに言い寄った。「そうなの。4時の見回りに行ったときは死んでたんだって。」「どうして亡くなったんですか!」「検死に来た医者は心不全って言ってたけど。」「そんな・・・。」
その夜、太郎は佐伯に呼ばれて例のバーに行った。「高木ちゃん死んだんですね。」佐伯の目には覇気がない。「知ってるんですか?」「そういう情報は皆好きみたいで。情報屋から聞きました。」「そうなんですか・・・。」「これから拳銃の練習に行きませんか?気分がすっきりしますよ。」「・・・。分かりました・・・。」佐伯の運転で二人は近くにある山へ向かった。「山田さん。殺し屋になる気は固まりましたか?」「あ、ええ・・・。殺されたくないですし・・・。」「若いうちに金をためて楽しい老後を暮らそうと思えば歳をとってから後悔しませんよ。」「そんなものですかね。」「さあ、着きました。」二人は山奥の橋のところに来た。「ここは夜はまず人が来ませんし、私も新しい拳銃の試し打ちに来ます。」「そうなんですか・・・。」
ドン。小さな鈍い音が鳴った。「や、山田さん・・・!」「あ、言い忘れてました。僕はずいぶん前から殺し屋なんです。」佐伯の背中にナイフが刺さっていた。「とある人から依頼を受けましてね。高木と佐伯を殺してほしいと。高木は毒殺しましたよ。年寄りの急死なんて大して調べませんからね。」「くそっ!」「僕もあなたたちみたいにならないよう。用心しますよ。あはははは!」


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