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SF思考が活躍する場面

こんにちは。
SF思考研究所 代表の武田です。

「どうしてSF思考が大事なんですか?」という質問にお答えしたいと思いまして、今回はSF思考が活躍する場面について解説したいと思います。

※そもそも、SF思考(Speculative Fiction Thinking)とは?はこちら。

「正解」が分からないときでも、「共感」はつくることができる

Aさん:「そうだ!極小サイズのセンサー技術を開発しない?」

Bさん:「なんか凄そうだけど、AI技術の方が良いのでは?」

Aさん:「うーん、自分ではすごく良いと思うんだけどなぁ」

一世一代の大チャンスかも知れないのですが、残念ながらAさんのアイディアの良さがBさんに伝わることはなさそうです。もちろんアイディアそのものが良くないこともありますが、「共感」できないと伝わらない価値は多い様に思えます。

こんなときSF思考では、フィクションにすることで共感できる可能性を上げます。

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夢物語に聞こえますか? すみません、このままだと架空のSF小説のようですよね。実際の開発現場ではこんなゆるーい観点で決めることは無いように思えますが、逆に言うと誰が未来の「正解」を知っているのでしょうか?

SF思考では新しいことを考えるときの「そんなこと起きる保証ないじゃないか!」という思い込みのバイアスを乗り越えるために、「よく考えられたフィクション」をつくり出し、「共感」によって発想を柔軟にすることを得意としています。いわゆる0→1のステージで効果があります。

得意分野は不確実性へのチャレンジ

なぜ、わざわざフィクションを使ってバイアスを破壊してまで、頭を柔軟にしたいのか? それは私がBOP向け化粧品の開発を行っていたときに「自分達には予測できないことが多い」と実感したからです。

電化されていない村落。物々交換の日常。舗装されていないメインストリート。もしマラリアに感染したら1時間かけて街にでて、そこから首都プノンペンまでヘリで搬送。高床式住居の蚊帳の中で寝ている真下には家畜の牛。今食べている痩せた鶏肉はさっき外を歩いていた雄鶏・・・カンボジアの村落で村長宅にホームステイさせて頂いた時のこの状況、日本に住む私にとってはフィクションのレベルでした。でも、この状況下でも「美白ニーズ」は存在したのです!

当時「リバースイノベーション」で、途上国という厳しい状況下で必要とされる技術を、他の地域でも転用したいと期待していました。しかし問題は、この10年前(2010年)の経験から、今という未来を予測できず、結果的に成果につなげることができなかったという事実です。

現在のカンボジアはスマホが普及し、容易に海外の情報が入手出来ます。「美白ニーズ」ではなく「◯◯という化粧品が欲しい」と具体的な購買行動が生まれています。誰がこの急速な変化を当時予測できたでしょうか?当時すべきだったことは化粧品開発だけでなく、美白ニーズに適切な情報を提供するWebマーケティング手法の開発だったのだと、今なら思います。

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でもきっと、当時帰国した私が「アジアの多言語に対応し、モバイル端末でも見やすいレスポンシブデザインを採用したECサイトを開発しましょう!」と社内提案しても、「そんなこと夢見ていないで、まずは低コストの美白化粧品をつくりなさい」と言われたことでしょう。

業績責任を持つ役員の発言は当然です。不確実性が高すぎたのです。「そんな無責任なことを言って、失敗したらどうするんだよ!?」だと思います。そこでSF思考は、不確実性が高い状況で、少しでも0→1を成功させたいという思いから生まれました。

「共感」した「ファン」と「みんなでつくる」と成功の確度が上がる

「不確実性が高い」ことは、成功するとリターンのインパクトも大きいですが、失敗リスクが伴います。ところが、テクノロジーの急速な変化が、世界中で同時多発的に生じている現在、「予測」でリスク回避することは困難ではないでしょうか?

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SF思考ではこのリスクを「ファン」をつくることで回避します。未来のことを「予測」しにくいなら、「みんなでつくろう」という発想です。アイディアを先に見せて、一緒につくってくれる仲間、買ってくれる仲間がいる状態からみんなでつくるのです。

問題は「みんな」を見つけることです。仕事で出会う人、街ですれ違う人、友人、家族・・・誰と一緒につくることができるのか、頭で考えただけでは想像できないかと思います。

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そこでSF思考が大切にすることは「共感」です。なかでも「フィクションを使った共感」です。国籍、年齢、性別、職業が異なっても、同じ映画を観て泣けるのです。ストーリーがドラマチックだから感動できるという要素はもちろんあると思いますが、例えそうだったとしても「共感できる」ことには変わりありません。

映画を観た感想を語り合って、互いの理解が深まった経験がある方も多いのではないでしょうか?共感から相互理解が生まれ、「みんな」に発展するためのしくみを考えることがSF思考です。

SF思考ではアイディアが成功した結果「どんな気持ちなるか」を表現するフィクションに仕立てることが重要です。共感してくれた人がファンとなり、ある人は共につくり、ある人は情報を拡散し、ある人は必要な資源を提供することで貢献し、「共に楽しむ」ことで成功を望む共同体にします(ちょっとアドラーっぽいですねw)。

以上、今回はSF思考が活躍する活躍する場面について解説させていただきました。最後までお読みいただき、ありがとうございましたm(__)m

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