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1.救出 毎朝、山麓の町中にある社員寮を出て、山頂にある勤務先まで、車を走らせる。同じ寮か…
2.新たな敵 俺は、病院で生まれたことを除けば、人生で初めて入院した。 4〜5日は人工的な…
3.難航 俺は秘密裏に転職活動を始めた。 しかし、奇妙なことが起きた。 転職のための面…
4.凶行※警告!!: 主人公が、劇薬を使って自死を図る場面が含まれています。 転職に伴う引…
5.離脱 支離滅裂な夢を見た。 職場の まかない調理用の大鍋で、卵とわかめのスープが煮えて…
6.「隠居生活」 実家に戻ってきてから、2年近く経っているはずだ。 しかし、俺には未だに「…
7.新天地を求めて 誠に不本意ながら、父と2人で地下鉄に乗って出かけ、作業所の最寄り駅で、支援員と落ち合う。 俺は、未だにこの「相談支援専門員」という職業が、よく解らない。俺の担当であるはずだが、彼は いつも俺ではなく両親の相談に乗り、その要望を叶えている。(母が役所に申請して、紹介されたのが彼だ。) 定期的に、彼が家に来て、父か母を交えた3者面談がある。おそらく、俺の健康状態や生活状況を把握し、社会復帰に向けた支援をするのが、彼の仕事なのだろう。 俺の両親は、この「
8.社会復帰 俺の履歴書は、すっきりとしたものだった。大学を卒業した後に、働いた会社は一つ…
9.暗鬼に魂を喰われる 新しい職場で働き始めて、一週間以上経った。その頃には、警戒すべき人…
10.忘れ得ぬ 声 俺は布団の中で、とても幸せな夢を見ていた。課長と2人であの鶏舎の中を歩き…
11.見切り 作業所で働き始めてから、初めての【給料日】が やってきた。 昼休みに食堂で配…
12.リセット 俺は、その日も動物園でサイを見ていたはずだった。しかし、ふと目を覚ますと病…
13.脱出 この日も、俺は朝からサイを見ていた。 あの作業所を辞めてからは、一切「仕事探し…
14.先生の家 2人でサイを見た後、吉岡先生は、約束どおり俺を家に連れて帰ってくれた。 一時間以上は、電車に乗っていた気がする。 先生の家は、駅から歩くには少し遠い、山の上にあった。家出用に まとめた荷物を背負って急な坂を登っていると、だんだん息が あがってきた。 毎日この坂を登り下りしているのであろう先生は、平気らしい。平然と、家族構成や職業について流暢に語りながら歩く。 坂を登りきり、先生が「ここだよ」と言った住宅の表札は「吉岡」ではなく……あの課長と同じ「真