女子である前にわたしなんだわ。

女子である前にわたしなんだわ。

字で見るとびっくりするくらい不遜だけど、長年思っていることです。

女性であることは、わたしの特徴のひとつだけど、アイデンティティではないのよね。
なのに、女性であることに人生が影響されすぎな気がします。

「女子校で、男子と見分ける必要ないのに、どうして制服がスカートだけなの」
「どうしてストッキングとタイツをはかなきゃいけないの」
「どうして女性もののスーツのポケットはカスなの」
「どうして生理用品は楽しくないのに花柄なの」
ずっとずっと思ってた。
声に出したらこともあるけど、大抵共感は得られず。
え、みんな、違和感感じてないの?
女子であることに誇りを持たないと、かっこよくないのかな。
いま女子であることは不可抗力だし、自分で自信を持って選択したことじゃないのに。
女子であるって、性染色体にX線が二つあることでしょ。
わたしそのものではない。
言えるほどかっこいい中身は、わたしにはないけどね。

こんなこと言えるのは、ひとりで部屋にいるときだけ。
男性と歩いていたり、母の前にいると、わたしはわたしがよくわからなくなります。

親に急かされて婚活していた時も、男性とデートしていると、俯瞰の自分からのツッコミが凄かった。
斜め上、ちょうど監視カメラの目線から、小さい自分がこう言うのよ。
「ねえ、あんたのカップルの女子役、あんたでいいの?」

【私は肌が弱いから化粧しない】
【私は背が高いからヒール履かない】
【私はお腹が弱いからひらひらスカート履かない】
普段はこんな感じで、ガチガチに理論を武装してるのに、とたんにおどおどしてしまう。
「世間に認められるカップルにならなきゃ、相手がかわいそう」
と焦ってしまうんです。
なんでだろう。


冷静に考えると、わたしは、男性の向こうに母を見ている気がします。
男性の前では、母が認めてくれる自分であろうとしている。

デートに行く前、母に服装チェックされて、認めてもらえないと着替えたくなるのも、そのひとつ。
「その服にその靴?」
「それで口紅塗ってるの?」
こう言われると、自信なくなるのよ。
ただでさえ気重なのに、ますます遠のいてしまう。
母が認めてくれるような、かわいい女の子でないと、デートする資格がないような気がして。

…でも、デートしたいって、本心で思ったことはないのに。
どこかで、「あなたの娘は三十路だけど、デートする相手がいて、頑張ってる」って、母に言ってあげたいのかも。
だからチェックが終わって家を出た瞬間、ひとつ達成した気持ちになるのかな。
まあ、帰ったら、何があったかひとつひとつ説明しなきゃいけないんだけど。(異常ですよね…)


母の望むわたしは間違いなくメスなんだけど、わたしは、自分の中にメスがいると思うと、プライドが許せないんです。
大人になることがメスを受け入れることなら、わたしはまだできていません。
自意識の塊すぎてできないよ。
だからといってオスでも男でもない。

納税するし選挙に行くし、その他大人であることに全力を尽くすから、ひとりでいさせてほしい。
独身でいると、社会的に欠如している感じ、どうにかなんないのかなあ。

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