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父が語る愛についての話

母が亡くなったのはもう2年も前の事
いまだに毎日思い出すが
ふと思い出した事なので書きとめたい

思い出すという表現になったと言うことは
やっぱり時間は経っているのだなと
書いてみて実感した
これは忘れたく無い家族の思い出話です


母は病室で亡くなった
連絡があって父と2人で駆けつけたが間に合わなかった
病院のベットで事実を知った父は母を抱きしめて人目も憚らず大声で名前を叫びながら泣いた

ドラマのようだとも思ったし
娘としては辛すぎて見ていられなかった

それは父ではなく
おじさんではなく
若い少年のように見えた
父は30年添い遂げた後でも
母に恋していたのだとその時初めて知った

母の事が大好きだった父
家族でいる時は母を叱る事も多かったが
家に帰ってからも泣きながら母への愛を吐き出した

出会いや思い出話
今まで聞くことのなかった
私たち子どもが居ない世界の彼らの話

喧嘩ばかりしてる姿が印象的だったから
子どもだった私には信じられなかったが
本当に仲良かったんだなと実感した

そんな中で父はふと
独り言でもいうかのようにぽつりと
2人だけの時に使っていた
母の呼び名を使って
愛について語ってくれた

俺は、ぜんぶ、さぁちゃん。
愛とは居なくならないでと願う事だ。

父の深い深い愛情
それは母に向けられたものであり

我が家がアットホームだと言われるのは
2人の愛が漏れ出したものだった

そばにいて ではなく
「居なくならないで」

2人らしい気がして
それこそ本物だと娘ながらに共感し
強く憧れた

この深い深い愛情の末に
生きている私は
彼らの尊い愛を知っておくべきだし
私が愛されている事を忘れてはいけない

そして何より自分自身も
この感動を息子たちに伝えられる
そんな人生にしたい

決意のような覚悟のような
心がぐぐぐと音を立てて
熱を帯びたのを感じた


パパもまだまだ居なくならないで
私の成長を見守ってね


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