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狸の末路

散歩の途中で、古道具屋さんを見つけた。店のまわりにはいろんなタイプの絵が並べられている。わたしは足を止めて、何か掘り出し物はないかと物色した。犬の形をした陶器のボトルがあって、花瓶にしてもいいなと考えていると、女主人がまあまあの大きさの狸の置物を抱えて店のなかから出てきて、それらの絵の横に置いた。 すると、ちょうど自転車でその店の前を通り過ぎようとしたおっちゃんが急停車し、「その狸いくら?」と訊く。女主人は「千円よ」と返す。それを聞いたおっちゃんは、「買うわ。お金とってくる

    • 気まずい土曜日、とろろうどん、ミドリの本、文化的雪かき

      a.m. 6:00 最近、腰を悪くして、変な話、トイレも難しかったので、YouTube動画を見ながらストレッチ(今はちょっと痛いくらい)。そのあと、朝ごはんにアイスを食べ、英文の音声チェックの仕事にかかる。 a.m. 11:00 音声チェックを終えたくらいに、同居人のJunが起きてくる。「あれ、今日は神奈川でマラソン大会があるはずじゃあ」と寝癖がついたままの頭で、にやにやしながらわざとらしくにいう。そう、わたしは今日、マラソン大会に行かなかったのだ。(冒頭に伏線をはったのは

      • 高齢化社会とペーパーレス化・IT化への不安

        父はコンピュータエンジニアだったが、70歳を過ぎて、パソコンが使えなくなった。そんな父を見て、現代のIT化やペーパーレス化に不安を感じずにはいられない。 高齢化社会がくるぞ、きたぞ、といっているわりに、世の中はどんどん複雑になり、高齢者にとって、どんどん住みにくくなっているように思う。たとえば、携帯でQRコードを読み取って注文する店が増えているように思うが、高齢者は戸惑わないのだろうか。また、何か問い合わせたいことがあって会社のホームページをみても、問い合わせ先の電話番号に

        • 読書日記#5『猫語の教科書』ーー誇りもヒゲも一ミリだって失わない処世術

          昔、ちょっとだけ棚貸しの古本屋さんで棚を借りていたことがあり、そこの棚主のひとりが、自分の棚に『猫語の教科書』を並べていた。ただ、本の表紙に付箋が貼ってあり、「お気にいりの本なので、お店で読んでいってください」とあって、購入を許していなかった。買ってほしくはないけれど、棚に並べてまでもおすすめしたい本なのか、と印象に残った。そして、昨年十二月、高松にある古本屋YOMSの本棚にひっそりとあったそれを見つけたとき、彼女のメモ書きを思い出し、思わずわたしは手にとった。 『猫語の教

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          読書日記#4『なにごともなく、晴天。』ーーベーコンの姉さんのまかない飯

          読書のたのしみのひとつに、おいしいものとの出会いがある。たとえば、ただの目玉焼きだって、そこにストーリーがのっかると、それが悲しいものであっても特別な食事になる。 吉田 篤弘さんの『なにごともなく、晴天』(平凡社)は、高架下で働く人たちの物語だ。そこに謎の女探偵がでてきて、日常にちょっとしたミステリーが生まれる。ただ、わたしはどうもお腹がすいているので、今は、物語の内容よりも、この本にでてくるおいしそうなものについて語らせてほしい。 主人公B子(本名、美子)は、<高架下・

          読書日記#4『なにごともなく、晴天。』ーーベーコンの姉さんのまかない飯

          2024/01/06~07 美容室をめぐる週末のこと、祖母のくるくるパーマの思い出

          週末のこと。 まずはついてない土曜。 朝、わたしは川沿いを走る。川沿いには高層マンションが建ち並び、遠くにはスカイツリーがそびえたつ。田舎から出てきたわたしからすれば、ここはまるでNY(東京の下町に生まれ、そこで育ったJUNは笑う)。NYの朝、キャップをかぶり、髪の毛をひとつにくくった美女がぴたっとしたパンツをはいて、さっそうと走っているところを想像する。わたしはというと、パンツはぴたっとしているが、それはGUのものだし(ちなみにGUの1980円のパンツはすぐれもの)、ぴ

          2024/01/06~07 美容室をめぐる週末のこと、祖母のくるくるパーマの思い出

          2024/01/05 朝ランからの初朝市で醤油漬け丼、アリの声で話す子ども、起業相談、せいろで肉まん

          雑談です。 ここ最近いらないお肉が腰のあたりについてきた。体力も落ちた。こんなんじゃだめだと、正月ムードに背中を押されてハーフマラソン大会に申しこみ、1月3日の朝から走り始めた。ちなみに私は小・中学校とびりっかす。高校はマラソンなし。 川沿いを走っていると、朝っぱらからカモ(まだ暗いのでただの黒い物体)がすいすい泳いでいる。橋の下に、人が住んでいなくてほっとする。いたら怖いなと思ってしまうのだけど、やはり住む場所を奪うのは酷だし、ならどうすれば……などといない人のことを考

          2024/01/05 朝ランからの初朝市で醤油漬け丼、アリの声で話す子ども、起業相談、せいろで肉まん

          読書日記#2『とんこつQ&A』

          久しぶりに好きな小説家ができてうれしいので、今回は今村夏子さんの本について。 今村夏子さんといえば、『むらさきのスカートの女』(朝日新聞出版 、2019年)で芥川賞を受賞している作家だ。受賞当時は読めていなかったが、映画『こちらあみ子』を観たのがきっかけとなって今村さんの本が読みたくなった。2023年12月は、時間をみつけては今村さんの本ばかりを読んでいた。 『こちらあみ子』は、空気の読めない(人の気持ちが分からない)あみ子のせいで家庭が壊れていくという物語だ。わたしは、

          読書日記#2『とんこつQ&A』

          読書日記#1『東京百景』

          先日、わたしのYouTubeのおすすめに、芸人ピースの又吉直樹さんの「渦」チャンネルがあがってきた。動画のサムネイルには、渡米して話題になっていた相方の綾部裕二さんもいる。同居人のJUNは、綾部さんのインスタをフォローしていて、聞いてもいないのに、ちょくちょく「今日はピザ食べてる」と嬉しそうに報告してきていた。みてみると、ピザを食べるMr. 綾部の写真に「pizza」と英単語がひとつ添えらえている。渡米したわりに、なんてシンプルな英語しか使わないんだと、馬鹿にしているのではな

          読書日記#1『東京百景』

          読書記録#3 『パンどろぼう』

          MY ねずみ Storyにからめて、柴田ケイコさんの絵本『パンどろぼう』への愛を語りたい。 今の家に住む前、ねずみの家を間借りしていた。そこはザ・東京の下町にある、一軒家。家がひしめきあっているので、カーテンを開けると、「まぶしいねえ」と隣のおじさんが江戸っ子口調で愚痴をいう。このおじさんは、窓をあけて、煙草を吸うのが何よりの楽しみのようだった。暗闇のなかで吸う煙草はたまんないのだろう。ただ、ひとつ問題だったのは、ある窓にカーテンレールがないこと。わたしとJUNはそこに段ボ

          読書記録#3 『パンどろぼう』

          2023/12/23 旅の記録②ー映画の町、尾道を歩く

          二日目の朝。 この日はJUNの趣味で、大林宣彦監督による『転校生』(1982)のロケ地を訪ねることになった。ただ歩きだして気づいたのだが、特に目印はなかった(あとで調べたところ、監督の意向でそういった看板などは掲げないことになったという)。道に迷ったけれど、それでよかったのかもしれない。坂を上がったり、下がったりして、尾道の町を堪能しながら、ロケ地にたどりつくことができたから。 『転校生』は、中学生の男女の身体が入れ替わるというストーリーだ。わたしはリメイク版(観月ありさ

          2023/12/23 旅の記録②ー映画の町、尾道を歩く

          2023/12/23 旅の記録①ー深夜の古本屋

          ひさしぶりに、旅にいってきたのでその記録。 目的地は尾道にある深夜の古本屋、弐捨dB。営業時間が夜11時から翌朝3時くらいまでという一風変わった古本屋だ。東京で一緒に暮らしているJUNが以前からこの古本屋のSNSをフォローしていたこともあり、かねてから行ってみたい古本屋さんのひとつだった。というわけで、もしなにかの都合で当日閉まっていたらどうしようと不安もあったものの、この古本屋を旅の目的地に据えた。 当日、JUNが昼3時まで仕事だったので、尾道についたのは夜9時半くらい

          2023/12/23 旅の記録①ー深夜の古本屋