国内クリエイターの市場規模
◉興味深い結果が、一般社団法人クリエイターエコノミー協会より発表されてましたので、ご紹介を。国内クリエイターエコノミーの市場規模は1兆3574億円とのこと。かなり巨大ですねぇ。世界の推計規模の、8.989%に相当するそうです。世界の人口が77.53億人で、日本の人口が1.258億人。約1.62%の人口で、8.989%は大きいですね。三菱地所の売り上げが1兆3494億円、花王が1兆4187億円、大塚製薬を子会社とする大塚ホールディングスが1兆4982億円ですから、馬鹿にできいない数字です。3社はいずれも国内で売上高トップ100に入る、老舗の大企業ですからね。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、〝クリエイター〟で検索したら、ペン画のような素敵なイラストが出てきましたので、使わせていただきました。
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■これからはコンテンツ・ビジネス■
ちなみに、世界のGDPに占める日本の割合は2020年で6%ほどですから、ほぼ9%はこれまた大きいです。2050年には日本が世界のGDPに占める割合は3.2%に落ちるという予想もありますからね。大学や専門学校で教えていたとき、中国人留学生を延べ数百人教えたのですが。中国はモノ作りの次はコンテンツ・ビジネスとわかっていて、国内でも映画館がバンバン作られますし、ラノベ市場もどんどん大きくなっていますし、漫画やアニメのクオリティも高まっています。全体主義国家で、規制で表現が飛ぶ危険性はありますが、この市場は馬鹿にできません。
日本の政治家やお役人は、未だに製造業重視ですが。現実的には一次産業から二次産業、二次産業から三次産業に軸足が変化していくのは産業構造の歴史的必然です。コロナ禍に見舞われた2019年の日本のコンテンツ市場規模は11兆9552億円で、2021年は12兆7582億円と増え、かなり強いです。しかし対GDP比で見てみると日本はまだ1.6%に過ぎず、アメリカの2.5%や韓国の2.3%と比較しても、低いです。逆に言えば、アメリカ並みの2.5%なら19兆9347億円市場まで、育つ可能性があるということです。つまり20兆円市場の可能性。
■才能を育てる・構造を作る必要性■
コンテンツビジネスとして、小説・漫画・アニメ・映画・ゲームなどは、それぞれが上手く連帯して黒字を生み出し、才能にチャンスを与え、才能を育てていかねば。そのためには、個人の目利きに頼るのではなく、才能が出てくる構造を作らねば。このシステム作りに興味がある方は拙noteの【ジャンプはなぜヒット連発できるのか?】を参照してください。ところが、いろんなジャンルのクリエイターの中でも、自分たちはろくなコンテンツも作れないくせに、漫画やアニメをバカにする業界があります。これではダメです。
これで日本版CNC設立とか、「映画芸術がアニメを年間ランキングから排除していることには抗議しないけど、くだらないアニメの売上を、お芸術映画を作ってる俺たち芸術家に寄越せ」と言ってるってことでしょ? 女性の才能を排除しなかったマンガ業界が、『鬼滅の刃』というコンテンツを生み出し、コロナ禍で苦しむ映画界に300億円超えの超大ヒットをもたらしたのに、それを当てこする映画プロデューサーや平田オリザ氏の弟子とか、ふざけた人間が目立つわけで。まず、10億に届かなかった93.6%の作品を、80%台に減らす努力が必要でしょうね。
■セルフ・パブリッシングの可能性■
この件に関しては、鷹野凌氏がセルフパブリッシングについて、言及されていました。まったくです。個人出版とか今後は成長が見込まれるのですから、別途項目を分けて統計を取っておくべきだと思うんですよね。成長度合いを10年20年のスパンで比較研究する必要も出てくるでしょう。スマートフォンだって、たったこの10年で90%以上が所有する、必須のデバイスになったのですから。世界の音楽市場のように、インディーズ市場が全体の39.9%弱を占めるようなポジションに育ったように。セルフパブリッシング市場も、増える可能性だって充分あるのですから。
問い合わせた結果、こんな回答が。
現状、まだAmazonのプリント・オン・デマンド(POD)サービスは始まったばかりですけど、個人的には手応えと可能性を感じています。 10年後には個人出版市場が、漫画・小説・画集・写真集・詩集などで結構な比率を占める事になると思っています。ただ現段階では正直、出版業界に30年ほど関わってきた自分ですら、AmazonのPODサービスはアメリカ本国仕様の版下作りの押し付けで、完成に骨が折れました。でも情報が共有されれば極端な話、小説とか詩集、写真集や画集は簡単にテンプレートに流し込むだけで、データ化するサービスが出てくる可能性があります。
■地方在住でも作品を発表できる!■
俳人の杉田久女は生前、一冊の句集を出すことも叶わず亡くなりました。優れた才能がありながら、環境や時代に翻弄され、師匠の高浜虚子にも破門され、作家としては不遇でした。しかし現在だと、普通のアマチュア作家がAmazonやDMMやDLsiteの個人アカウントを取得し、出来上がったデジタル・データをアップすれば、全国どこからでも購入できる本を売ることができます。表紙のデザインや、装幀の問題はありますけれども。しかしこれだって、テンプレートの充実でかなりカバーできてしまう部分ですから。
例えば地方在住ののカメラマンとか、デパートのチラシの写真とか、記念写真とか、そういう仕事がメインの人が多いでしょう。個展を開けるのは、まだしも恵まれた大都市の人間ぐらいか。しかし、その地方の風景を撮りためて、写真集にすることも可能です。その地方に住んでいないと撮影できない、四季の風景とかあります。資料的な価値も含めて、数千円の価格でも需要はあるでしょう。フルカラー印刷の写真集なんて、一握りの一流カメラマンしかは出せなかったものが、(印刷の発色の問題は置いておいて)出版できる時代です。
叶精作先生のこちらの画集、少数とは言えアメリカやドイツからも、購入があるんですよね。東京に出ていかないと本が作れないどころか、地方でもインターネットさえあれば、世界を市場にできるのです。1.258億人には100冊も売れなくても、77.53億人には1000冊売れる可能性だって、あるんですから(確実に売れるとは言っていない)。個人出版に興味がある人は、実際に電子書籍番とプリント・オン・デマンド版を購入して、プレミアムカラーでどれぐらいの発色なのか、確認するといいでしょう。以上、営業トークでしたm(_ _)m
■個人で本を出せる時代に備える時■
小森健太郎先生も、英文の論文をAmazonで発売し、主にアメリカの読者をターゲットにした本を、出されていますしね。そして、セルフ・パブリッシングの世界は極端な話、儲けが出ない自己満足でもいいんです。出版代行とかに騙されるより、遥かに安い額で、電子書籍はもちろん、印刷書籍も作れるんですから。そうやって市場が大きくなれば、スケールメリットが大きいです。松尾芭蕉が奥の細道の旅に出たとき既に、地方には俳句のサロンがあり、芭蕉は弟子宅を泊まり歩いて、句会を開き、路銀には困っていません。
これらの本を、作るのは、実はそれほど難しくないです。小説や詩集などの文字系の本は、それこそ電子書籍製作アプリLeMEで、かなり簡単に作れます。問題は表紙のデザインや、本の書式ですが、これだってなんとかなります。MANZEMI事務局の番野くんが立ち上げたコチラの企画【出版の編集ノウハウを大公開! 誰もが個人で電子書籍を出版できる講座を立ち上げます(noteクリエイターサポートプログラム)】では、そういうノウハウを伝授したいなと思っています。企画が通るように、皆さんイイネを押してくださいm(_ _)m
この成長市場を今から見越して、ちゃんと細かな統計を取っていてもらいたいな……とは思います。どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ
売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ