スタジオ・ジブリが日テレ傘下に
◉ついに、ですね。もともとスタジオ・ジブリ自体は、宮崎駿監督と高畑勲監督という2人の天才に、存分に力を振るってもらうために作られたものですから。2人がいなくなったら潰してしまうというのは、規定路線だったのですが。あれほどの名作を量産すれば、そこで生み出される利益や雇用や、いろんなものが絡んできますからね。個人的にはプラスに受け止めています。ジブリというブランドを利用して、できることもたくさんありますから。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、東京スカイツリータウン・ソラマチのどんぐり共和国にて撮影とのこと。
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■人材の育成に期待■
東映動画出身の高畑監督と宮崎監督は、劇場用アニメ映画というのを特別視している部分があって。テレビが普及する前にアニメ制作に入ったのですから、それはある意味で仕方がない部分はあります。石原慎太郎氏が、新聞を読むときのインクの匂いや紙の手触りに、ノスタルジックな好感を持っていたように。手塚治虫先生の虫プロのテレビアニメを、電気 紙芝居と馬鹿にしていたのも、その流れです。
もっとも、その馬鹿にしていたテレビアニメのおかげで、劇場版アニメではその力を発揮できなかった高畑勲監督が、高い評価を得たのは皮肉ですが。スタジオジブリは基本的に、劇場用アニメ制作に特化した制作会社となり、『海が聞こえる』や『ギブリーズ』や『アーヤと魔女』以外は、テレビアニメは 制作していません。またそれらは単発作品で、1クール以上の連続作品は制作していませんが。
ジブリが日本テレビのグループになったことによって、公開してみないと当たるかどうかわからない劇場版長編アニメ制作とは別に、テレビアニメを制作することで仕事の効率化 や、バッファとなるスタッフの雇用や契約によって、人材育成も可能になるのではないか……と期待しています。宮崎監督らがなしえなかった後継者育成も含めて、組織として制作と人材育成と、両方を達成できるような組織に、生まれ変われば嬉しいのですが。
■ジブリのTVアニメ■
自分の勝手な妄想を書き連ねるならば、『となりのトトロ』とかはテレビアニメとして、非常に有望だと思うんですよね。世界観が確立されていますし、レギュラー ドラマとしてのポテンシャルを持っている。それこそ15分とか30分のアニメとして、毎年 1クール放映する。そうやって露出しすぎないことによって、『サザエさん』や『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』とはまた違った意味で、国民的アニメになれる可能性がありますから。
そこで、脚本家とか監督など若手を抜擢し、一話完結形式で経験値を積ませる。TBS系の『日本昔ばなし』が、一話完結の10分前後のドラマを作る、練習の場になっていたように。いやらしい話をすれば、トトロはグッズ関係の売上で莫大な利益をジブリにもたらしましたから。新しい妖怪キャラクターを出すことで、新規の商品開発も楽になりますからね。そして、この枠はジブリ作品でローテーションする手もあるでしょう。
TBS の時代劇で、『水戸黄門』と『大岡越前』とを、交互にローテーションすることで 時代劇枠を維持しつつ、マンネリ化を防いだように。トトロ・名探偵ホームズ・魔女の宅急便・新作を、1クールずつ年間ローテーションさせるのは、ありではないでしょうか。たまに未来少年コナンの再放送を挟んだり。名探偵ホームズはテレビ朝日系列でしたが、日テレとして新シリーズを作るのは問題ないでしょうし。
■ジブリと財政と■
この件に関して、ホリエモンがコメントしていますね。見出しはちょっと過激ですが、言ってる内容は会社経営者らしい視点で、なるほどと思いましたけれど。宮崎駿監督は、石原裕次郎さんの石原プロと一緒で、自社の作品の DVD 化などにあまり積極的ではなかったんですよね。劇場版用に作った作品は、映画館で見てほしいという考えから。確かに、ナウシカとかもののけ姫とか劇場の大スクリーンで見てこその迫力という面はあります。
ですが、ジブリが日テレ傘下になることによって、日本テレビとしては作品配信のキラーコンテンツを手に入れたわけですから。海外ではジブリ作品が配信されているのに、日本だけ配信されていないという、いびつな状況が改善されるでしょう。こちらの収益も、馬鹿にならないでしょうし。上で提案したようなジブリブランドを生かしたテレビ番組が軌道に乗れば、200億円は10年ぐらいでペイできる可能性はありますけれどね。
ジブリ作品を元にした、実写ドラマや実写映画の、リメイク権も日テレが独占したようなものですから。『ONE PIECE』のNetflixドラマの成功を見るに、『風の谷のナウシカ』とか海外の製作会社に 実写ドラマとして制作を委任するのも、ありでしょうね。もっと言えば、庵野秀明監督に『風の谷のナウシカ2』を制作 以来することも可能でしょう。いや、細田守監督に依頼することさえ可能でしょうね。ということで、宮崎駿監督の後継者問題も。
■後継者は誰?■
広い意味での宮崎駿監督の後継者は、もし今敏監督が存命ならば、問題なく進んだでしょう。宮崎監督 囲碁のジブリを兼任するという意味での後継者も、近藤喜文監督が存命ならば、何の問題もなかったでしょう。現時点では庵野秀明・新海誠・細田守・片渕須直監督らが、後継者と言えるでしょう。片渕監督と1歳しか違わない原圭一 監督もその意味では、日本を代表するアニメ監督というポジションでは 後継者の一人でしょう。
でもスタジオジブリという、組織の後継者となると。息子の宮崎吾郎監督には、個人的には期待していますが、まだまだ経験不足。そういう意味では、テレビ版のアニメを手掛けることで 経験値を積む チャンスかなとは思うのですが。米林宏昌監督は正直、厳しいと思っています。『借りぐらしのアリエッティ』は高く評価しているのですが、新作が出るたびに これじゃない感が強くなるんですよね。
個人的に期待しているのは『若おかみは小学生!』の高坂希太郎監督です。寡作のタイプなので、内情は分かりませんが。ジブリの問題は、プロデューサーの問題になりますから。たとえ現場に嫌われても、放漫財政ではなく、きちんと利益を生み出し次の作品の制作費を確保できるような、ビジネスのプロが必要でしょうね。そういう意味では鈴木敏夫プロデューサーが現場から離れるのは良いことではないかと思っています。
新作を毎年1クール、テレビで実験的にチャレンジし、評判がよければ劇場版につなげていくという形で、ジブリの経営が安定化し、日本のアニメ文化の新しい才能の育成の場になることを願っています。自分が日テレのプロデューサーなら、細田守監督に『ハウルの動く城』をオファーしますけどね。
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