Oo 編集部

料理とカルチャーをテーマにした雑誌『Oo』編集部の公式noteアカウントです。更新中!

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最近の記事

燻製という選択 レプンカムイ

寒い時期になると、火の暖かさが身体に、心に染み渡る。 古来より日本は水産物に対する調理・保存法に富んでいる。 献上品として各地の漁村より京へと味を運ぶには、発展せざるを得なかったともいえる。 シンプルなものは、干物・塩蔵・燻製だろうか。冬はやはり燻製だろう。 暖かい火に当たりながら、その燻煙で温まるなども乙なものだ。 最近では100均でも簡易燻製セットが手に入るようだ(個人的にはチーズの燻製+蜂蜜というのがお気に入りである)。 芳醇な香りをその身に凝縮した旨味は、干物や

    • 賞味期限と消費期限(小話) レプンカムイ

       夏の終わる頃、東京で大学へ通う友人宅を訪ねた。 友人は酒に弱いが酒が好きという可哀想な男である。 その日も呑みに繰り出して帰ってきたかと思えば軽い晩酌の準備をしていた。 友人がおつまみにといって出してきた沢庵の透明なパックには 「10/1」とマジックで書かれている。 友人に聞くと、それが賞味期限なのだという。 若干の恐怖を感じながらも口にすると意外にいける。 どうやら本当だったようだ。  賞味期限とは「美味しく食べることのできる期限」を表し、消費期限とは「消費し

      • 生でサバを食べた話 レプンカムイ

        「海の幸」と聞いてまず頭に浮かぶのは何だろうか マグロ、ウニ、ホタテ… 様々な魚が頭に浮かんでくるであろうが、そのほとんどが刺身などの「生」を連想するのではないだろうか 日本の生食文化は歴史が長く、海鮮以外にも多くの食材を生で食べる風習がある 最近、大学の研究の関係で鹿児島県へ訪れた 鹿児島県といえば「鳥刺し」が有名な生食大国である 勿論、到着した日に美味しくいただいたが、本命はやはり海の幸であった 今回訪れたのは、ブリの一大ブランド“鰤王”を生産する、鹿児島県

        • 食事の意義とは? グリニャンコ

          突然のご報告になりますが、コロナ禍の中で私は鬱に悩まされていました。と言っても今では笑い話にしているくらいなので、軽い気持ちで読んで貰えると嬉しいです!  さて、鬱になっていた僕ですが、布団から出る気もなく、ご飯も冷凍の食パンを解凍してそのまま食すのみ、つまるところ何にも無気力な生活を送っていました。  また、その生活の中で食事を一種の流れ作業の様に捉えている自分がおり、テレビを見ながら、音楽を聴きながら、仕事をしながら適当に食事をしていました。そんなある日、ふと「食事っ

        燻製という選択 レプンカムイ

          緊急事態宣言中の海、あるいは北海道での赤潮について レプンカムイ

          「緊急事態宣言」 今ではもう聞きなれてしまったという方も多いのではないだろうか。  新型コロナウイルスの感染拡大により発令された緊急事態宣言も、当初は人々の危機感を煽り、感染予防対策への画期的な措置かと思われていたが、今では、はた迷惑な宣言へと変わり果ててしまっているように思う。  そんな緊急事態宣言を、これから最盛期を迎える秋・冬の味覚にも発令しなければならないようだ。    今秋初めから北海道にある道南地域にて発生していた赤潮により、北海道の秋を彩るサケの定置網漁やウニ

          緊急事態宣言中の海、あるいは北海道での赤潮について レプンカムイ

          『グルメ漫画50年史』 グルメ漫画に詳しくなってしまう 原田泰稔

           この本の筆者はグルメ漫画がいったいどのように生まれ、いかなる発展をしてきたかを解き明す。グルメ漫画は1970年に誕生した。そして、誕生から今日までの半世紀を通して、本書ではその見取り図を鮮明にしていく。  グルメ漫画が生まれてからのこの50年のうちに約700作品発表された。しかし、2010年代に新たに始まった作品は400作品以上もあり、2020年代に入ったいまもその数は増え続けている。ここでは数に含まれないような短編や同人を含めると、グルメ漫画はこの10年で発表されたもの

          『グルメ漫画50年史』 グルメ漫画に詳しくなってしまう 原田泰稔

          8月16日、昆虫食、セミを食べる グリニャンコ

          こんにちは!グリニャンコです!  8月16日、私は長年抱いていた目標の一つである「虫を自ら取って調理し、食べる」という事を達成することが出来ました。    食べたのはこの時期大量にいる“セミ”です。セミは、昆虫の中でも特に美味しく、比較的簡単に手に入るとネットでも評判ですね。今回は最も美味しいと言われる幼虫を手に入れようにもなかなか手に入らず、半ばがっかりしながらそこそこ美味しいと言われる成虫を食べることになりました。  キツい日差しを避け、夜の公園に集まり、2時間近くも

          8月16日、昆虫食、セミを食べる グリニャンコ

          深い深い海の底 レプンカムイ

          久しぶりの投稿となります。レプンカムイです。 この度、国立研究開発法人海洋研究開発機構、通称JAMSTECの若手人材育成プロジェクト「ガチンコファイト航海2020」のクルーに選出され、実際に参加して参りました。  航海を通して、新たな知見を得、古き自分に別れを告げて、人間として一回り成長したと確信しております。この航海の素晴らしさについて語りはじめたいところですが、これについてはTwitterで「レプンカムイ」宛に直接ご質問ください。  さて、前回の「あぶら」にて紹介したよ

          深い深い海の底 レプンカムイ

          冬虫夏草(3) 人生観を変える食事 ~当時の思い出を振り返りながら~ グリニャンコ

          最近はコロナがまだまだ猛威を振るっており、中々美味しいものを探して食べ歩くことが出来ていません。ただ、そうしたレビューの様な記事は他の方々に任せることにしましょう。本日私が書こうと思っているのは私の高校時代の話です。 そもそも私が昆虫食の普及を目指してこの活動を始めたということはお話しさせて頂いていますが、そのきっかけは大学受験勉強に勤しんでいた高校3年生の時まで遡ります。 私の母校は山に囲まれており、夏になると大量にテングチョウが大量発生するため、高校同期とそれを食べてみ

          冬虫夏草(3) 人生観を変える食事 ~当時の思い出を振り返りながら~ グリニャンコ

          三浦哲哉『食べたくなる本』から 原田泰稔

           本書は料理本についての連載をまとめた本です。料理本とはよくよく考えればヘンなもので、指示通りに作れば作るほど馴染みのないものが出来上がったりする。食材や調味料を入念にそろえ、忠実につくった結果、嫌いな野菜を入れるはめになり案の定マズくなることだってある。それらを著者は「書物」のもつ作品性の具現として肯定的に語りはじめるところから本書は始まる。  たとえば、この本で取り上げられるような理論派の料理研究家たちが書く料理本には小説や学術書と同様、筋だった内容があり、レシピの順番

          三浦哲哉『食べたくなる本』から 原田泰稔

          あぶら レプンカムイ

           北海道沿岸は、ニシンの産卵に伴って海に白い帯ができる「群来」が春の訪れを告げる。春と言えば鰆が旬であろうか。よく旬の魚は脂がのっていておいしいと言われる。旬の魚についている多量の脂は、産卵期前に豊富な餌を食べることによってついたものである。ドコサヘキサエン酸(DHA)やイコサペタエン酸(EPA)などは聞いたことがあるのではないだろうか。魚の脂は、脂それ自体がおいしいわけではなく、満足感や旨味の増強効果、接触意欲の発現などが示唆されている。    脂について身近なところでい

          あぶら レプンカムイ

          冬虫夏草(2) グリニャンコ

           こんにちは!グリニャンコです! 近頃は世間がコロナの話題一色となり、暗い雰囲気が日本全体を覆いつくしています。飲食店が軒並み感染拡大の一端を担ったとして非難され、臨時休業や短縮営業を余儀なくされるケースが多々ありました。つねづね誰も正解か分からない世の中ではありますが、”集団”での会食が問題なら一人で静かに外食を行う分には大きな問題とならないのでは?という意見も散見され、私も概ね賛成しています。  一人で外食することと関連させて、今回は私のソウルフードを紹介させて頂きます

          冬虫夏草(2) グリニャンコ

          土井善晴『一汁一菜でよいという提案』を提案する 原田泰稔

           明けましておめでとうございます。はじまったばかりの活動でまだまだやれるぞと気合いをみせていきたいOo(ウー)二号です。 しかし、創刊号の掲載に気合いを入れすぎた結果おどろくほど早いガス欠をおこすこととなりました。このままだと僕自身の次の記事がかけない。そこで逆転の発想ともつかない苦肉の発想が思い浮かびました。Ooで記事を書いてくれているグリニャンコの"ゆるさ"に負けない全体的にゆるゆるの号があってもいいのではないか。ゆっくりとした本の紹介こそがみんなの興味をもっとも掻きたて

          土井善晴『一汁一菜でよいという提案』を提案する 原田泰稔

          Oo創刊号2020年12月

          おいしいから遠く離れて(1) 原田泰稔 2016年に日本でもサービスを開始したオンラインのフードデリバリーサービスUber Eatsと政府がコロナ渦の飲食業の支援策として始めた需要喚起策go to eat は記憶にも新しい。2020年のいまに至るまで食に対する話題はたえない。新型コロナによって外食することも難しくなっているが、ほんの数か月前まではそんなこともなかった。僕たちの日常にはいつもうまい、安い、早いが紛れ込んでいた。  うまい、安い、早い。この3

          Oo創刊号2020年12月