賞味期限と消費期限(小話) レプンカムイ
夏の終わる頃、東京で大学へ通う友人宅を訪ねた。
友人は酒に弱いが酒が好きという可哀想な男である。
その日も呑みに繰り出して帰ってきたかと思えば軽い晩酌の準備をしていた。
友人がおつまみにといって出してきた沢庵の透明なパックには
「10/1」とマジックで書かれている。
友人に聞くと、それが賞味期限なのだという。
若干の恐怖を感じながらも口にすると意外にいける。
どうやら本当だったようだ。
賞味期限とは「美味しく食べることのできる期限」を表し、消費期限とは「消費しなければならない期限」を表している。
(つまり賞味期限切れの食品は、美味しくないが食べることは可能なのだ…)
何をもってこれを定義しているかというと、「腐る・変質する」といった化学反応による変化が起こる期間をもって決められている。
一方で、食品には「腐敗⇔発酵」のような、特定の条件下であれば違った変化をするものもあるのだ。
例えば、魚などは(魚種にもよるが)、釣れたてピチピチの刺身を食すよりも、2~3日熟成させた刺身のほうが、美味しい。
これは菌や酵素といったものの働きによるものであり、その利用方法は多岐にわたる。
新たな食の期限を模索するのも面白いのかもしれない
攻めすぎてお腹を壊しては元も子もないが
帰りに友人の冷蔵庫を覗くと、いつ作ったのか分からない鳥の料理があったが、あれは熟成されていたのであろうか…
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