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中国水晶彫りの世界

今回の主な目的は水晶の仕入れでした。中国は水晶を愛でる文化が古く昔からあって、その趣向は他のどの国とも違いとてもハイレベルです。中国を見ずして水晶は語れないと思うほど、この国には水晶が溢れています。

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飾り石の文化
特に内包物を活かして彫りを施した飾り石は、他では見られないようなものばかり。この写真はどれも素晴らしい!というレベルではないものの、色々なモチーフが一枚の写真で紹介できると思って撮ったもの。原石を生かした形から、お決まりの観音様、茶器など、それぞれ石のインクルージョンや色のある部分を活かして創られているのです。いかにも中国的なデザインが好みではない方もいらっしゃると思いますが、その技術や芸術性は見れば見るほど素晴らしく、またそれぞれに意味合いが込められています。

HOW MUCH ??
いきなりですがこのペンダントがいくらかわかりますか?なんと答えは......市場価格約350万円です!!一面の花畑にふんわりと佇む観音様。その美しさと、石とは思えない柔らかさはまさに天界の風景。自分自身はこういう趣味ではないですが、それをも超えて一目惚れしてしまった、ため息の出る作品です。でも水晶は貴石とは違いどこにでも産出し価格も安い。どうやってこの値段になるの?ここに今回の旅の素敵な出会いがありました。

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水晶愛
台風直前の便で(数時間後から全て欠航) 危機一髪、上海で合流した夫と一緒に、次のフライトまでのわずかな時間を使って行きつけの石屋へ。小売店ですが、この道30年の店主の水晶愛が素晴らしくて、興味があれば色々な話をしてくれ、店頭に置かないものも沢山見せてくれるのです。彼のお店には彫りものが沢山のあるのですが、その日見せてくれたのがこのペンダント達。

石から発想を得て
これはクォーツインクォーツを使ったものですが、透明度と中の結晶の形もパーフェクトながら、更に水入り!!これほどまでに完璧なピースはなかなかないという事は、石が好きな方ならよくお分かりになるかと思います。ここに彫られた観音はよく見ると水入れを持っていて、水を注いでいる様子を描いているんです。しかも下書きなどはせずに頭に全てをイメージして彫るんだそう。この他にも一本だけ入ったトルマリンを杖に見立てたり、どれも石がくれるインスピレーションでデザインされています。

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彫り師がトップレベルの人だから
まずよーく見て頂きたいのは彫りの技術、この龍も同じ彫り師さんの作品です。表面を削るだけの彫りではなくて、中から立体的に彫ってある完璧な手彫りの3D。サイドからも映り込んでいるのがわかります。どの角度から見ても違和感のない立体感、でもそれを中から彫るってすごい技術ですよね。これは守護神となる龍が雲の上を舞うイメージ。そして龍自体が "孫" という字を描いていて、子孫反映を意味しています。外側だけを彫る職人は山ほどいる、でもこれができる人は限られるのです。ペンダントの裏側を見ると中を彫っているのがよくわかります。

運命的な出会い
いいもの見せてもらったなぁ〜と翌日仕入れに向かったら、なんとこれらを彫った彫り師に、まさに”ばったり”出会った!!嘘みたいな話ですが本当に向こうから歩いて来たのです。ちょうどその時は上海のお店で紹介してもらった人に挨拶して一緒にブラブラしていたところで。その時点では、目の前の人があのペンダントを彫った方だとは知らず、ただ水晶彫りをする職人なんだと思っていました。(実は夫は既に分かっていましたが、彼らとずっと話していたので私にそこまで伝えてられなかったんですね)

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そのまませっかくならと、その彫り師さんのオフィスに招待して頂きました。(もちろん普通は入れない場所です) まず出迎えてくれたのはこちらの百人羅漢、お弟子さんの作品だそう。そして奥に飾ってある作品を見ていたら、ふと上海で見たペンダントと似たものが。それで上海で撮った写真を見せたら『そうそうそれは僕が彫ったよ!』と!!!!

導きに感謝
なんと。。。全ての行動が導かれて繋がっていく不思議さと、このご縁のありがたさに本当に感謝した瞬間でした。ご本人も、『私に会えるなんてあなた達はラッキーだよ!』というくらいこの彫り師さんは中国でもトップの技術者。大統領など海外からの国賓に贈答する作品を政府から依頼を受けて製作することが多く、この日も私たちとばったり出くわす前と後は政府との会議でした。石を売る商売というよりも水晶文化の底上げを目指していている名誉ある方です。だから彼の作品の多くは海外にあり、売り物として出回るもの自体が少ないんだそう。

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名誉ある人の作品は高い
日本で人間国宝の人の作品が高いのと同じですが、人口の差を考えればどれだけの確率の人かという事は想像できます。お弟子さん達が同じデザインを彫っても同じ値段にはならないわけなんですね。実際彼の過去の作品と最近の作品で、同じ千手観音をモチーフにしたものを見比べることができたんですが、繊細さを表現するテクニックが進化しているのが容易に見て取れました。きっとこれから更に値段があがるんでしょう。

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販売用はこちら!
さてこちらは平面で彫ったものです。巨匠の立体彫り作品ではないですが、ペンダントサイズで中国の水晶彫りを気軽に楽しめるもの。また、実際に彫っている様子は動画をインスタグラムに載せていますので、そちらも合わせてご覧ください。

一番大切なのは 出会い
海外のマーケットへ、エージェントを通さず直接出向いて仕入れをすることのメリットは沢山ありますが、一番大切なのは ”出会い” これが最大の財産です。今回のようなことが不思議と起きる、そしてその場限りでなくその後もご縁が続くのです。いくらインターネットが発達して、海外から簡単に買い物ができるようになっても、そこからは得られない経験値と出逢いがあって、現地に行かなければ得られない情報が沢山あります。

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中国カーヴィングの世界を
今月はカービングの商品を多めに掲載するので、せっかくなら一つの商品だけではなくて、その背景にあるストーリーや技術もシェアしたいと思い、こんなトピックスで note を書きました。巨匠の作品以外にも様々ありすぎてとても載せきれませんが、中国の水晶彫りの世界が少しでも伝われば良いなと思います。

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websiteではジュエリーと合わせてルースストーンの販売も月に一度のペースで行なっています。新しくアップするものや日程などはインスタグラムの別アカウント SELSHA STONE でご紹介しています。今月は8月25日 21:00〜 今回中国で仕入れたフレッシュなアイテムが並びますので、石好きの方是非ご覧ください!


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