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私が私を表現できるようになるまで

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怖くて自分を押し殺していた私が、表現を届けるようになるまでの葛藤と気づきの物語。
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2022年10月の記事一覧

【ep.5】いつか必要としてくれる "誰か" のために

【ep.5】いつか必要としてくれる "誰か" のために

18歳。大学生になってから始まったのは、神戸での一人暮らしと音楽にあふれた毎日だった。

「発達科学部人間表現学科」という、今はなくなってしまった不思議な学科には、現代芸術を専門とする教授がいて。個性的な先生や仲間たちとの、なかなかカオスな日々。笑

聴いたこともなかった現代音楽の世界に、最初は付いていけなかったけど。だんだん「音楽ってなんでもありなんだな」と、私の固定概念をいい意味で崩してくれた

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【ep.6】"ふつう"を諦めた、25歳のわたし

【ep.6】"ふつう"を諦めた、25歳のわたし

会社の中でほとんど使われていない、薄暗いロッカールームが。
めまいがして、呼吸ができなくて、デスクにいられなくなったときの唯一の逃げ場だった。

数時間おきに逃げ込まないと、立っていられないくらい憔悴していた社会人2年目の6月。会社の片隅で、涙を必死にこらえて検索したのが「会社に行くのがつらい」で。

今でも、あのときの浅い呼吸を覚えている。



大学4年でシンガーソングライターを始めた後は、

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【ep.7】夢は叶えたはずなのに

【ep.7】夢は叶えたはずなのに

本当は、ずっと知られるのが怖かった。
歌を作りたい、作るなら歌いたい、歌うなら届けたい、だけど…。

そうして、ライブ活動をしているのに周りの人に「来てね」なんて言えず、SNSでアピールすることもできず、会場にお客さんが少ないと心のどこかでホッとしていた。その方が「本気を出せば、認めてもらえるはず」って淡い期待を抱けたからなのかもしれない。

でもそのままじゃ、先に進めないから。2019年は怖さも

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【ep.8】"いい子ちゃん" はもうやめる

【ep.8】"いい子ちゃん" はもうやめる

「もえかちゃんは "いい子ちゃん" をやめれば、もっといいアーティストになれるよ」

尊敬する先輩アーティストからの核心を突く言葉に、内心よろけながらも。「やっぱり、そうですよね〜」とすぐ返すくらいには、納得していた。

自分の想いを表現して届けるため、歌い続けてきたはずなのに。まだどこかで "守っている自分" がいる気がしていたんだ。



2019年にワンマンライブを終えた後、「企画する」楽

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