露をふらせ。

100億光年先、初期宇宙の銀河団


この間借りてきた宇宙の図鑑に載っていた写真の説明書き。
小さな銀河が発光虫のように散らばっていた。
よびかけるルシフェリン-ルシフェラーゼみたい。昔々が今届く。
100億光年先、初期宇宙の銀河団。
気に入った言葉を口の中で転がして、それからメモ帳に書き留めて。


ペルセウス座流星群が降ってくる。家からとても近い河川敷へ降りてみた。


ケンタウル、露をふらせ。

河川敷にシートを敷いて座り込んだら星が多くなった気がした。
カシオペアを見つけた。エチオピア王家の星座は私から見て右側。星が降ってくるだろうか。


白鳥座は銀河鉄道の通り道。ぐるんと首をまわす。


ケンタウル、露をふらせ。ケンタウル、露をふらせ。


グスコーブドリもよだかも、カムパネルラも。自己犠牲のお話はあんまり好きじゃない。
それでも彼の紡ぐ世界に惹かれるのはなぜだろうね。


近所のお家で迎え火を焚いている。
向こう側にいってしまった人とはもう会えない。
どこにだって行ける緑いろの切符の入手先はひみつのまま。
石こ賢さんは、彼の物語をポケットに入れたまま乗客になってしまったよ。セロのような声の博士もいつの間にかいなくなって、空白だらけが地上に残された。


未完成の銀河が、地上でいっとうあかるく灯る。


カシオペアの反対側でサソリの赤い心臓がちかちか光る。
寝転がって見渡して、ああ今日の目当ては流星群だった。
3つ、小さく宇宙から降ってきた星を見つけた。しゅん、しゅん、しゅん。
尾を引くものは見られなかった。もっと山奥か、海の方に行きたいね。


寝ころんだら星が見えるなんて、流星群を見ようとしない限り気づかなくなっていた。
もっと奥には生まれたての銀河たち。エクストリーム・ディープ・フィールド。


ケンタウル、露をふらせ。


この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?