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月森乙の「自分で選んだエッセイ」傑作選

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別サイトで公開しているエッセイの中からお気に入りのものだけを選び、一部修正してこちらに掲載しています。
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#コメディ

第2話 ギプス

第2話 ギプス

 追いかける、といえば。

 昔、昔の話です。まだ、子供はいませんでした。

 ダンナは某国人で、別の某国のあたりの某国基地の近くに住んでいました。

 ダンナの鼻の中に大きなポリープがたくさんできていました。そのせいで、顔の形まで変わっていました。医者はそれを、「白いぶどうをぎゅっ、ぎゅっと詰め込んだ感じ」と表現しました。

 わたしたちは遠いところに住んでいたので、手術をするのに片道四時間かけ

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第1話 シュネバル

第1話 シュネバル

ちょっと昔。
長女は十歳でした。
とある国に行きました。

その地域に、「シュネバル」というお菓子がありました。スノーボール。雪玉、という名前らしいです。

 中世の結婚式の時に供されてきた伝統的なお菓子で、リボン状に切ったクッキーをぐちゃぐちゃに丸めて揚げ、表面にたっぷり粉砂糖をかけたものでした。娘の顔くらいある、その大きなボール状のものを買いました。

 娘がかじりつこうと大口を開けたら、口に

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