マガジンのカバー画像

ふわふわ《休止中》

8
noteを始めて、最初の少女小説です。只今、休止中。 昔読んだ少女漫画がモデルになっております。 イラストは、どんむ様のイラストをお借りしました✨
運営しているクリエイター

記事一覧

ふわふわ  序

ふわふわ 序

 〜それははじめて恋を知った少女の、心の幸と不幸の癒やしと再生の物語〜

『…そして、お姫さまは王子さまと結ばれ、幸せに暮らしました』

「…ですって。ちょっと美羽、まともに話聞いていたの?」
 名前を呼ばれ、あたしは振り向く。
 あたしの名前は七瀬美羽。公立宮坂中学校3年生の…いわゆる受験生ってやつ。身長体重は平均的で、特出した美貌も何もないごく普通のどこにでも居る女の子…なのだが、どうしても外

もっとみる
ふわふわ #1

ふわふわ #1

〜それははじめて恋を知った少女の、心の幸と不幸の癒やしと再生の物語〜

「かっ…家庭教師?あたしの?」
 裏返った声が我ながら情けなく、でもママに反射的に尋ねていた。
「ちょっ…ちょっと待って!なんで急にそんな話…。されても…困るよ…」
 頭を鷲掴みにしてパニックに陥るわたしに向かい、ママは至極冷静に言う。
「…美羽、あなた夏の期末の数学の成績見て、ママがどれだけショックだったか分かる?」
う。思

もっとみる
ふわふわ #2

ふわふわ #2

〜それははじめて恋を知った少女の、心の幸と不幸の癒やしと再生の物語〜
翌朝。
今日は土曜日。眸が覚めて、半分寝ているようにぽーっとしながら、パジャマ姿のまま一階に降りていき、キッチンのスツールに座った。先に起きていたママがあたしの隣のスツールに座り、新聞を読んでいた。
 眸の前のカウンターにはママ専用のマグカップが置いてあって、コーヒーの香りがした。
「おはよう、ずいぶん早く起きたわね。学校の日も

もっとみる
ふわふわ #3

ふわふわ #3

〜それははじめての恋を知った少女の、幸と不幸そして癒やしと再生の物語〜

 

 部屋に戻ったあたしは、真っ直ぐクローゼットに向かった。頭の中では美人お姉様の眸に好印象に映る服…だよね…うーん、迷う。あたしは、あれこれハンガーに掛かった服を取り出しては姿見の前で合わせてみた。
 と、そこへ開けっ放しになった部屋のドアをコンコンと叩く音がした。ママが腕組みをして仁王立ちになり、ついでに言えば鬼の形相

もっとみる
ふわふわ #4

ふわふわ #4

〜これははじめて恋を知った少女の、幸と不幸とそして癒やしと再生の物語〜

「…は?」
 プラチナブロンドの美形お兄さんの質問に、あたしは間抜けた声を漏らしてしまった。
 え…ええと、キルメニイは見えるのか?だったっけ。
「…え…は…はい。こちらのプラチナヘアの可愛らしい子なら…見えますケド…それが?」
 キルメニイちゃんは、パステルブルーのフリルがふんだんにあしらわれた《不思議の国のアリス》のアリ

もっとみる
ふわふわ #5

ふわふわ #5

〜それははじめて恋を知った少女の、幸と不幸とそして癒やしと再生の物語〜

 あーびっくりした。あんな美しい外人さん、いる所にはいるんだ。心臓が飛び出ててもおかしくないくらいの美麗なお兄さんと、可憐な美少女の組み合わせ。チュッパチャプス気に入ってくれて良かった。でも…あの美形のお兄さん、男の人にしては身体の線が細くて…ちゃんと食べているのかなぁ…。それに忘れてはいけない…あの紅い眸…あれはカラコンだ

もっとみる
ふわふわ #6

ふわふわ #6

〜それははじめて恋を知った少女の、幸と不幸とそして癒やしと再生の物語〜

「あ、あたし大丈夫です。ちょっとすり傷ができちゃったみたいで、ヒリヒリ痛むけど、本当に大丈夫だから…そんな…そんな泣きそうな顔しないで下さい。わ…わたしも泣きそうに…なっちゃいます…」
 あたしは手のひらで顔を覆い、胸の奥から湧き上がる涙を流すまいと必死になった。
「わたしは…依月先生を恨んだり憎んだりしていないから、殴るな

もっとみる
ふわふわ #7

ふわふわ #7

〜それは初めて恋を知った少女の、幸と不幸そして癒やしと再生の物語〜

 カランカランっとベルが鳴る。カツンとローファーの踵の音を立てた依月先生に抱えらて入った喫茶店は、老舗の純喫茶店で、あたしが普段利用しているスタバとかとは大違いだった。スタバを悪く言うわけではないが、老舗ならではの格調高い優雅で品のある空間、狭くもなく広くもなく、挽き立ての珈琲の香りが微かに鼻をくすぐる。右側の会計の陰に隠れるよ

もっとみる