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みだれ髪の読書記録:2023年11月21日~12月31日(重力ピエロ、黄色い家 他)

この期間に読んだのは8冊。
すでに記事を書いた2冊と、後で書く予定のシェイクスピア全集の2冊を除き、今回感想を書くのは4冊。

①    『重力ピエロ』 by 伊坂幸太郎

伊坂幸太郎の作品を読むのは3作目。
第129回直木賞候補作品、第1回本屋大賞ノミネート作品、2004年版このミステリーがすごい!第3位など。

あらすじ―
兄と弟、やさしい父、美しい母。家族には、過去につらい出来事があった。
兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、家事を予見するようなグラフィックアートの出現。そしてそのグラフィックアートと遺伝子の奇妙なリンク。
謎解きに乗り出した兄弟が遂に直面する圧倒的な真実とは―。

テンポの良い展開。
重そうな話の中にちりばめられるユーモラスな会話。
知識欲も満足させてくれる内容。例えば、遺伝子の話、絵画の話、ガンジーの話。
しっかりとした謎解きの要素も。
ややうやむやな終わり方だが、それもこの展開だと絶妙ともいえる。
完璧な小説、と言いたいところだが、女性の描き方には全くリアリティがなく、楽しんだとは意地でも言いたくない気がする。

②    『Live and Let Chai』 by BREE BAKER

2023年の洋書7冊目。
勉強会でお世話になっているMさんに頂いた英語の本2冊目。
9月1日に読み始めて、11月24日まで。総時間は15時間5分。

なんか軽いミステリーらしい、というだけで、作者のことも内容も何も知らずに読み始めた。
これだけ情報なく英語の本を読むのも初めてかもしれない。そういう意味では新鮮だった。
登場人物の名前だけはメモしながら、辞書はたまに、という感じだったが、展開を追うこと自体はさほど難しくなく、怪しげな人がやはり怪しかった、とりあえずハッピーエンド、という感じ。
途中で出てきた人が、その後登場せずに終わったり、もっと伏線回収してよ、と思ったりしたが、読み終わってから調べてみたら、この本はシリーズの1作目で、続きが少なくとも5巻まではあるらしい。なるほど。
続きを読むかどうかは微妙だけど。

FIRST BOOK IN A NEW BEACHSIDE COZY MYSTERY SERIES!
When a body turns up on the boardwalk outside Everly Swan's iced tea shop and café, she becomes the number one suspect in a murder case. Can she bag the culprit, prove her innocence, and dish up the real killer before it's too late?

アマゾンの紹介文

③    『ロミオとジュリエットと3人の魔女』 by 門井慶喜
これはすでに記事を書いた。

④    『カラー版 世界の教養が身につく ローマ史の愉しみ方』(宝島新書 本村凌二監修)
これもすでに記事を書いた。

⑤    『シェイクスピア全集17 から騒ぎ』 by 松岡和子
⑥    『シェイクスピア全集18 冬物語』 by 松岡和子

⑦    『知の発見双書31: シェイクスピアの世界』byフランソワ・ラロック (監修 石井美樹子)

知の発見双書」のシリーズは何冊か読んだことがあるが、前半はカラフルな写真入り、後半三分の1くらいは、白黒の資料編となっている。

前半の内容は
第1章      生誕地ストラットフォード
第2章      16世紀のロンドン
第3章      劇場と演劇人
第4章      エリザベス朝という舞台
第5章      シェイクスピアー永遠の記念碑

シェイクスピアの生い立ち、当時の社会情勢、当時の劇場や作家の様子など、シェイクスピアの作品も取りあげながらの解説は、わかりやすく興味深い。
社品もカラフルで、美術作品としても楽しめるものばかりだ。

資料編に入ると、シェイクスピア作品のやや長めの引用ばかりとなり、読んだことのある作品は、重要な部分が引用されているな、とわかるし、読んでいない作品は、その辺に注目しよう、などとなるものの、前半に比べるとやや退屈な感じもある。
映画化された作品の紹介などは、ずいぶん古いものばかりだな、最近でも結構あるのに、と思ったら、この本は1994年の発行だった。それでも、シェイクスピアの時代から考えれば、まだ最近の発行ではあるけど。

コンパクトな本のサイズの割には、中身が濃くて読みでがあった。

⑧    『黄色い家』 by 川上未映子

だいぶ前に予約していて、やっと来た頃にはどんな本だか忘れてしまっていた。
すごく厚くて重い(ハードカバーで600ページ近く)ので、これは持ち歩けそうもないから、ちょこっと読んでみてつまらなそうだったら返しちゃえ、と思っていたけど、読み始めると止まらない。重いのを持ち歩く羽目に。

十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。危ういバランスで成り立っていた共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解し……。人はなぜ罪を犯すのか。世界が注目する作家が初めて挑む、圧巻のクライム・サスペンス。

アマゾンの紹介文より

主人公の女性、花が、ある女性が逮捕されたという記事をネットで見つけるところから物語が始まる。
花の回想の形で物語が進むが、はじめは、家庭的に恵まれないとはいえ、それなりに楽しそうな雰囲気も漂っている。それがどこで狂ってしまったのか?

犯罪を犯した人々を擁護するわけではないが、根本は社会の構造に問題があると意識させられる。重い話題だが、日常的にありそうな光景に微笑むこともあり、自分が全く知らない世界を手を汚すことなく覗いてみられる興奮も与えてくれる、すごい小説だ。


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