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「感情」を知り向き合う

カウンセリング中、感極まって涙を流されるお客様って結構いらっしゃいます。
その時私はいつも、しつこいくらいにこんな問い掛けをします。

「その涙はどんな涙ですか?」

涙が流れる状況って、感情が動いた、ココロが動いたからそうなっているわけですけど、この問いかけをすると多くのお客様は「?」となってしまいます。
自分は今、泣いているんだけど何で泣いているのか、どうして涙が流れているのかが分からないんです。

アダルトチルドレンにはよくあることで、機能不全家庭で毒親に育てられると、その環境で生き延びるために「自分の感情を押し殺す」ということを覚えます。

「話すな・信頼するな・感じるな」
これは「アダルトチルドレン 3つのルール」というモノなんですけど、機能不全家庭で自分が生き延びるために、その環境に順応するためにこの3つのルールを無意識に守るようになります。
自分のこと、自分の想いや希望、夢などは話してもそれを受け入れられたり、認められることもないし逆に毒親から否定されたり罵倒されることがあるので自分の事を話さなくなります。

本来、親との関係とは信頼によってつながるはずなのですが、毒親ではそのつながりが始めから出来ないどころか、信じようとして裏切られることの方がたびたびなため、信頼しなくなります。

更に「話すな」というルールを身に付けるということは、それら自分の感情を感じないようにする、想像しないようにするようになります。
結果的に自分の感情が分からなくなってしまうことで、オトナになっても自分が何をしたいのか、どうなりたいのかが分からなくなってしまいます。

これらの始まりは毒親との関係からになるのですが、これが一番始めに学ぶ人間関係の作り方になってしまうため、成長してもこのような人間関係の作り方をしてしまいます。
それがコミュニケーション不全となったり、相手に合わせる自分を作ってしまい、人間関係でいつも躓いてしまいそれが生きづらさとなってしまいます。

私が「その涙はどんな涙ですか?」と訊くのは、まさに自分の感情を意識してもらうためなんです。
皆さんはどんな時に涙を流すでしょう?

悲しい時、寂しい時、つらい時、苦しい時は泣けて来ますよね?
ですがそれだけでしょうか?

人間は嬉しい時とか楽しい時、感動した時にも涙が流れます。
先日遅まきながら「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を観たのですが、その時「ヴァイオレットちゃん、良かったねぇ」といい歳したオッサンが号泣でした。

つまり「涙が流れる時」には必ずそこに何らかの感情があります。
そこで、上記のような問い掛けをすることでその時の自分が何を感じているのかを言葉にする練習も兼ねているんです。

自分の感情が分かるようになると、自分自身が分かるようになり、そこから「なりたい自分」が考えられるようになって来ます。

最初はその感情がプラスの感情なのかマイナスの感情なのか、大まかでも構いません。
それが意識出来るようになってきたら、どの感情が一番近いかな、と後で振り返ってみることで、自分の感情が表に出てきやすくなります。
それを他人に伝えることが出来るようになれば「正しい自分」が相手に伝わるため、良い人間関係が築けるようにもなります。


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